記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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● 質問
ハンドメイド販売で作品を一生懸命増やしているのですが、なぜか売れません。たまに売れても次が続かないので、もっと作品数を増やすべきか悩んでいます。
会社員のまま続けたいのですが、何を変えればいいのでしょうか?

● 回答
ハンドメイドで作品数を増やしているのに売れない、という相談が起業18フォーラムには毎月のように届きます。私のこれまでの起業支援の経験では、この状態にいる方ほど「作品をもっと増やせば売れる」と信じていて、それが伸びを止めている、ということが繰り返されてきました。売れる人は、作品を増やさずに、世界観のほうを1本に絞っています。
作品数を増やすほど売れなくなる構造
クリエイターエコノミー協会の2025年版調査では、2024年の国内クリエイター経済圏の市場規模は2兆894億円と推計されています。市場の約7割はモノ・グッズ販売、動画投稿広告、スキルシェアが占めており、ハンドメイド販売もその周辺に位置する領域です。市場は拡大しているのに、個別の作家が伸びないのは、競合の作品数が増えるほど、買い手側の選び方が「世界観で選ぶ」方向にシフトしているためです。
起業18フォーラム会員の金井さん(仮名・40代後半・女性・パートタイム勤務・既婚・子ども2人)は、最初の1年で典型的な失敗を経験した方でした。手取り月収14万円、minneに30点出品、内訳はピアス・布小物・編み物・名入れと幅広く、半年での売上は5,000円。手は止まらず作っているのに、ショップは「器用な人の棚」になり、リピーターも記憶も残らない状態だったのです。
- ピアス・布小物・編み物・名入れなど、ジャンルを横に並べていく
- ショップ全体の世界観がそろわず、検索面で記憶に残らない
- 説明文が商品の説明だけで、誰のどんな生活に届くのかが書かれていない
- 「もっと作れば売れる」と信じて、在庫だけが増える
転機は世界観の1本化だった
金井さんの転機は、起業18フォーラムへの参加から1ヶ月後でした。勉強会で「作品を増やすのは横展開、世界観を増やさず守るのは深掘り」という整理に出会い、自分の30点を再点検します。そこで気づいたのが、自分が一番手が止まらず作れるのは「昭和レトロ×実用品」というジャンルだった、という事実です。母から受け継いだ昭和の生地と、現代の生活で実際に使えるポーチ・コースター・小物入れの組み合わせに絞り直しました。
拙著『1億円稼いでいる人は何をしているのか?』に「自分発信2割・他者発信8割」という考え方があります。作家が自分から「これを買って」と発信するより、買った人が「この作家の世界観で生活が少し良くなった」と他人に発信したくなる構造のほうが、長く残るのです。世界観が1本化されていると、買い手は他人にも紹介しやすくなります。
金井さんは、minneのショップ説明文を「昭和の生地と、令和の暮らしを橋渡しする実用品」と書き直しました。作品数は40点から12点に減らしたのに、12ヶ月目で月5万円、18ヶ月目で月12万円の継続収入に到達しています。変えたのは作品の数ではなく、世界観の1本化でした。
- 手が止まらず作れる組み合わせを1つだけ選ぶ
- 作品ジャンル・色・写真の背景・言葉づかいをそろえる
- ショップ説明文の冒頭1行を「誰のどんな生活を少し良くするか」で書く
- AIは説明文の下書きに使い、最後は自分の実感で仕上げる
GMOペパボの2025年トレンドでも、「自分らしさ」を演出するカスタム需要や、昭和・平成レトロの再評価が顕著に伸びているとされています。手の器用さで競う時代から、誰の生活に届くかで選ばれる時代へと、市場の評価軸そのものが移っているのです。今週末、自分の作品写真を1か所のフォルダにまとめて、色・背景・言葉づかいが揃っているか並べて見比べてください。
今日中に、自分が今扱っている作品ジャンルを紙に書き出し、その中で「自分が手を止めずに作り続けられる組み合わせ」1つに丸を付けてみてください。その1行が、半年後のショップの世界観を決めていきます。

作品数を増やす指は、もう動かさなくていいのです。代わりに、自分の世界観の1行を、今日のうちに書いてください。
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