商品設計はどこから始める? 業務知識を最初の1円に変える順番

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

メーカーで18年、設計と若手指導をしてきました。この経験を起業の商品にしたいのですが、PDF教材を作る時間も気力もなく止まっています。先に1時間の相談メニューを作るのと、教材を作り込むのと、どちらから始めるのが正しいですか? 順番を間違えて時間を捨てたくないので、判断軸を教えてください。

起業前質問集

● 回答

順番は明確に「相談メニューが先・教材は後」です。理由は、教材は読み手の悩みが分からないと作れず、悩みは相談を受けないと分からないからです。順番を逆にすると、書きあがった頃には需要のずれた厚いPDFだけが残ります。

相談メニュー先行の3段証明

段階1は「需要があるか」の確認です。1時間の相談メニューを朝活枠でモニター3名に提示し、申込が0件なら、そもそもPDFを作っても売れません。段階2は「価格帯の確認」です。無料モニターの後に、有料化を提案して何円で承諾されるかを実測します。

段階3は「再現性の確認」です。同じ説明を3名に繰り返してみて、毎回同じ反応が返ってくる箇所が、教材化すべき中身です。

拙著『起業神100則』第3章で書いているのですが、商品化には「商品力・発信力・信用力」の3要素が同時に育つ設計が要ります。教材を先に作り込むと、発信力と信用力が育たないまま在庫だけが増えます。相談メニューはこの3要素を同時に動かせる、もっとも軽い起点です。

相談メニューの最小設計

朝活30分の枠を週3回確保し、無料Zoomなら40分・準備15分・記録10分の合計65分構成にします。料金は最初の3名は無料、4人目から3,000円〜5,000円で提案します。会場は不要・名刺も不要・LPも不要。Googleフォーム1枚と提案文1通で立ち上がります。

相談メニュー立ち上げ最小セット

  • 提案文1通(メールまたはLINE)
  • Googleフォーム1枚(質問項目は最大5個まで)
  • Zoomの40分枠(無料アカウントの場合。45分で行うなら有料プランか別ツールを使う)
  • 記録用ノート1冊(手書きで会話メモ)

ここで重要なのは、最初から完成品を狙わないことです。最初の3名は「自分の話が誰の役に立つのか」を確認するための実験で、売上ゼロでも合格と決めて始めます。

値付けは経営の入口

4人目から有料化するとき、最初の値付けで多くの会社員さんがつまずきます。原則は「相手が払うとき惜しくない金額」を一段下回るラインに置くことです。中小企業庁『2026年版 中小企業白書・小規模企業白書』でも、適切な価格転嫁や差別化による価格設定は、稼ぐ力を高める戦略の一部として整理されています。

拙著『起業神100則』第59則「値決めは経営である」にこんな言葉が出てきます。価格は商品の値段ではなく「相手の意思決定の覚悟料」だという考え方です。3,000円なら相手は「お試し」、5,000円なら「ちゃんと聞こう」、1万円なら「準備して臨もう」と姿勢が変わります。

起業18フォーラムの田所さんの軌道

起業18フォーラムの田所さん(仮名・30代後半・男性・メーカー営業職・既婚・未就学児1人)は、業界知見をPDF教材化することに半年詰まっていた方です。月収42万円・本業に支障なし・朝晩30分の時間枠は確保できる状態でした。

転機は、自己流での教材設計をやめて起業18フォーラムに参加し、勉強会で「相談メニューを先に立てる順番」を学んだことでした。3ヶ月目に未就学児を寝かしつけた後の朝活枠で、業界の元同僚3名に「業界向け1時間相談」を無料提供。4人目から3,000円・2ヶ月後に5,000円に値上げ。

6ヶ月目に月8万円の継続収入が立ち、現在は本業を続けながら継続中です。教材は今もまだ作っていませんが、相談記録の蓄積からFAQ集が自然に出来上がっています。

教材化に進む見極め

相談メニューから教材に進むタイミングは、「同じ質問が10回以上繰り返された」が目安です。10回ということは、その質問は確実に需要のあるテーマで、しかも答えのパターンが安定している証拠です。ここまで来てから教材化に動けば、書く前から売れる構造ができています。

教材を先に作る発想は「発信が苦手な自分でも、教材なら売れる気がする」というロジックから生まれがちです。実際には、教材を売る方が発信量も信用も必要で、ハードルは高いほうの選択肢です。

最初の1円は、対面で相手の声を聞く相談メニューから取りに行くと、ずいぶん早く動き出せます。

送り出し相手の選び方は、本業で過去3年に名指しで仕事の話をした人から始めると外しません。新規開拓ではなく、すでに自分を選んでくれた人に「45分だけ話を聞かせてほしい」と声をかけるのが最短です。

今夜、その候補となる名前を1つ紙に書き出し、明日の朝に目に入る場所に置いてください。

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書く前から売れる構造を、相談メニューが先に作ってくれます。書いた紙が翌朝の自分への合図になります。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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