脱サラ後の収入が不安、給料がなくなる怖さはどう乗り越える?

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

役職定年が近づき、このまま会社にいるより脱サラを考え始めました。ただ、毎月決まった給料がなくなることが怖くて踏み出せません。

脱サラして起業すると、収入は本当に安定するものなのでしょうか? 現実を知ったうえで判断したいです。

起業前質問集

● 回答

正直なところをお話しします。脱サラした直後に収入が自動で安定することは、ほとんどありません。大事なのは「大きな収入を1本作ること」ではなく、「小さな収入の流れを複数持つこと」です。ここを取り違えると、給料という1本の柱を失っただけで、足元が一気に不安定になります。

「1本の太い蛇口」を狙うと危うい

日本政策金融公庫の2024年度起業と起業意識に関する調査では、勤めながら小さく起業しているパートタイム起業家のうち、月商が50万円未満の人が90.2%を占めていました。多くの人は、いきなり大きな売上を立てているわけではありません。小さな売上の積み重ねから始めています。

拙著『1億円稼いでいる人は何をしているのか?』では、貯えを守る「ストック思考」から、流れを作る「フロー思考」への転換を紹介しています。1本の太い蛇口に頼るのではなく、細い蛇口をいくつも持つ。これが、収入が途切れにくい構造の作り方です。

退職前と退職後、何が違ったか

あなたなら、収入の柱が1本のときと3本のときでは、どちらが安心して眠れるでしょうか。起業18フォーラム会員の室伏さん(仮名・50代前半・子どもは独立済み・物販の経験あり)の話が、その答えのヒントになります。

室伏さんは過去に一度、勢いで小さな物販を始めて行き詰まった経験がありました。1つの売れ筋商品に頼り切り、それが売れなくなった途端に収入がゼロに近づいたのです。立て直しのヒントを求めて起業18フォーラムの勉強会に通うようになり、先輩会員が複数の収入源を組み合わせている様子を見て、「入り口は一つに絞らない」という発想を持ち帰りました。

そこからは、売り方を組み替えました。物の販売だけでなく、仕入れのコツを教える小さな講座と、まとめ資料の販売を加え、入り口を3つに分けたのです。一つひとつは小さな金額です。けれど、どれかが落ち込んでも全体が崩れにくくなり、本業の月収の3割ほどを別の収入が安定して占めるようになりました。この手応えを得てから、退職の判断ができたそうです。

安定は「辞めた後」でなく「辞める前」に作る

多くの人が、脱サラを「ゴール」のように考えます。けれど、収入の安定は退職してから探すものではなく、退職する前から少しずつ作り始めるものです。細い流れをいくつか試しておけば、退職はその延長線上の一歩になります。逆にいえば、辞めてから慌てて作ろうとすると、焦りが判断を狂わせます。

役職定年という区切りは、不安の種に見えて、実は準備にちょうどよい時間でもあります。後がない状態ではなく、まだ余裕のある今のうちに失敗を重ねておけるからです。小さな入り口を一つずつ増やし、どれが自分に合うかを見極めておけば、脱サラのときには「すでに動いている事業を本格化させるだけ」という状態に持っていけます。

収入を不安定にしないための順番

  • 太い1本でなく、細い入り口を複数そろえる
  • 勤めているうちに小さな流れを作ってから退職を判断する
  • 1つが落ちても全体が崩れない構造を先に用意する

脱サラを決める前に、まずは今の暮らしで毎月いくらあれば生活できるかを、1カ月の支出をただ眺めて把握してみてください。守るべき金額が見えると、必要な収入の規模も具体的になります。

退職を決める前に、給料を受け取りながら小さな収入の入り口を一つ作ってみてください。月に数千円でも、給料以外のお金が入る感覚は、判断の材料になります。

収入の作り方をもう少し具体的に知りたい方は、こちらもどうぞ。

本業の収入という土台が残っているうちは、足元が崩れる心配はありません。だからこそ、焦らず小さな流れを育ててから、退職のタイミングを自分で選んでいけば大丈夫です。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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