記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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● 質問
平日はほぼ毎日残業で、家に着く頃にはくたくたです。机に向かっても頭が回らず、起業準備はどうしても週末にまとめてやる形になってしまいます。こんな進め方で、本当に準備は進むのでしょうか?
平日に少しずつやっている人に比べて、遅れていく気がして不安です。

● 回答
結論からお話しすると、週末にまとめて取る進め方でも、準備はちゃんと前に進みます。むしろ、平日に無理して机に向かい、眠い頭で同じ行を何度も読み返すより、効率はよくなることさえあります。問題は「週末だけ」かどうかではなく、平日夜と週末で同じ作業を奪い合っているか、役割を分けているかのほうにあります。
ここを分けないまま「平日もやらなきゃ」と焦ると、くたくたの夜に手をつけては進まず、自己嫌悪だけが残ります。先に役割を決めてしまえば、平日の自分を責める必要はなくなります。
「週末だけ」が遅れて見える本当の理由
「平日に少しずつやる人に遅れる」という不安は、時間の総量を比べるところから生まれます。けれど実際は、平日夜の時間は思っているほど準備に使えていません。
総務省の社会生活基本調査(令和3年・2022年8月公表)によると、有業者が仕事に使う時間は週全体の平均で男性が6時間27分、女性が4時間42分でした。平日はこの仕事時間に通勤と残業が乗り、夜に残る時間はわずかです。だからこそ、自由に動かせるまとまった時間は、仕事のない週末に寄りやすくなります。
つまり、あなたが週末にまとめているのは、サボりでも遅れでもありません。使える時間がもともと週末に集まっているという、働き方の現実に沿った配分です。これは多くの会社員に共通する形で、特別に出遅れているわけではありません。
平日夜と週末で「作業の種類」を分ける
では、どう分けるか。コツは時間の長さではなく、作業の性質で振り分けることです。週末は頭を使ってまとまった成果を作る時間、平日夜は手を動かさずに点検する時間、と役割を変えます。
- 週末にやること(仕込み):
商品やサービスの設計、告知文の作成、試作、見込み客への提案など、まとまった集中が要る作業 - 平日夜にやること(点検):
週末に決めたことの進み具合を5分だけ眺める、反応や問い合わせの有無を確認する、次の週末にやることを一つ決める - 平日夜にやらないこと:
ゼロから考える作業、長文を書く作業、新しい教材を読み始めること
この分け方の利点は、くたくたの夜でも「眺めるだけ」なら続けられる点にあります。手を動かさない点検なら、ソファに座ったままでもできます。準備を毎日触り続けられると、週末に再開するときの立ち上がりが速くなります。
平日夜の点検は「決まった指標」を短く見る
この平日夜の点検を、ただ何となく眺めるだけにしないことが大切です。拙著『1億円稼いでいる人は何をしているのか?』では、お金の流れを枯れさせないために、決まったサインを定点で見続ける習慣を紹介しています。毎回ばらばらの場所を見るのではなく、いつも同じ指標を眺めて、小さく直していく考え方です。
起業準備に当てはめるなら、見る場所を最初に決めておきます。たとえば「告知への反応はあったか」「次にやることは一つに絞れているか」の2点だけ、と決めてしまう。平日夜はその2点を見て、ずれていたら週末の予定を少し直す。それだけで、準備は止まらずに転がり続けます。
反対に、見る場所を決めずに毎晩あれこれ気になる箇所を触ると、疲れた頭では消耗するばかりで前に進みません。点検は短く、見る場所は固定する。これが平日夜を味方につけるコツです。
週末まとめ取りから抜け出した会員さんの話
起業18フォーラムの会員さんに、メーカーで品質管理の仕事をしている飯島さん(40代)という方がいます。平日はほぼ毎日残業で、起業準備は土日にまとめて取る形でした。最初は週末に頑張って進めても、平日の5日間で熱が冷め、月曜にはどこまでやったか思い出すところからやり直していたそうです。
潮目が変わったのは、起業18フォーラムの勉強会でこの「平日夜と週末の役割分担」を相談したときでした。週末は手を動かす仕込み、平日夜は決めた指標を5分眺めるだけ、と分け、勉強会のメンバー同士で週に一度、進み具合を報告し合う形にしたのです。報告のために平日夜の点検が習慣になり、週末に作った素材が放置されなくなりました。
変化は、作ったものが消えずに積み上がっていくところに表れました。それまでは週末ごとにゼロから作り直していた告知文や事例の記録が、点検を挟むことで一つずつ資産として残るようになったのです。準備を始めて7ヶ月目には、過去に作りためた素材だけで提案の下書きがその場で組めるようになり、新しく一から作る負担が目に見えて減りました。飯島さんは「毎週ゼロに戻していた頃がうそのよう」と話しています。
この方が特別だったわけではありません。週末にまとめて作ったものを、平日夜の短い点検で積み上がる資産に変えていく。その仕組みを持てたかどうかが、分かれ目でした。
よくある質問

Q.週末しか時間が取れないと、準備に何ヶ月くらいかかりますか?
かかる期間は事業の中身によって変わるため、月数だけを一律にお伝えするのは難しいところです。ただ、週末の仕込みを平日夜の点検でつなぎ、作ったものを消さずに積み上げていけば、同じ週末2日でも進み方は大きく変わります。期間の長さより、毎週ゼロに戻していないかを先に点検してみてください。
平日夜と週末でやることを分けたら、今度はそれを今週の予定に落とし込む番です。下の記事では、限られた準備時間をどう配分するかを具体的に整理しています。

くたくたで迎える平日の夜に、無理して新しいことを始める必要はありません。まずは平日夜と週末でやることを分けて、それぞれを今週の予定に枠として入れてみてください。週末に作ったものを5分眺めて次の一手を一つ決める、その軽さこそ、忙しいあなたが準備を止めずに続けられる入口になります。
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