親の介護をしながら起業準備を続けるには時間と気持ちをどう整える?

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

会社に勤めながら、実家の親の介護も始まりました。いつか自分で何か始めたいという気持ちはあるのですが、毎日が手いっぱいで起業準備まで手が回りません。

介護をしながらでも準備を続けるには、時間と気持ちをどう整えればいいでしょうか?

起業前質問集

● 回答

起業18フォーラムにも、介護と仕事の合間で準備を進めている会員さんが何人もいます。総務省の令和4年就業構造基本調査では、働きながら介護をしている人は全国で365万人にのぼります。介護をしながら自分の準備も進めたいという悩みは、決して特別なものではありません。同じ立場の人が、すぐ隣にたくさんいるということです。

会員さんで母親の介護をしていた黒田さん(仮名・50代前半・メーカーの事務職・きょうだいなし)は、最初「介護が終わってから本気を出す」と考えていました。けれど、いつ終わるか分からない介護を待つうちに、何年も準備が止まったままになってしまったそうです。

自己流で「まとまった時間ができたら一気にやる」と決めていたことが、かえって動けなくなる原因でした。フォーラムの勉強会で「まとまった時間は来ない前提で、細切れの15分を積む形に変えては」と助言を受け、黒田さんは進め方を大きく変えました。

送迎の待ち時間や、親が眠ったあとの15分だけ、自分の事業の構想をノートに書く。これを続けた結果、12ヶ月目には介護用品の選び方をまとめた有料note販売を始め、現在は会社に勤めながら月4万円の収入になっています。まずは一日の中で必ず生まれる「待ち時間」を一つ見つけて、そこを構想メモの時間に決めてしまってください。

時間は「足す」のではなく「拾う」

介護をしながらの準備で大切なのは、新しい時間を生み出そうとしないことです。今ある一日の中から、すでにある細切れの時間を拾い上げる発想に切り替えます。

介護中の準備は、まとまった時間を待つより、毎日15分を拾い続けるほうが前に進みます。1日15分でも、1年続ければ90時間を超えます。これは決して小さくない蓄積です。

気持ちを整える鍵は「3つのチェック」

気持ちが折れそうになるのは、たいてい事業の規模を大きく考えすぎているときです。拙著『起業がうまくいった人は一年目に何をしたか?』では、起業ネタを3つのチェックで選ぶことを紹介しています。一人で始められるか、一人で続けられるか、大きなお金がかからないか、の3点です。

介護中の方ほど、この3点をすべて満たすネタを選んでください。人を雇う前提や、まとまった資金が要る事業は、今の生活と両立しません。一人で細々と続けられる形にしておけば、介護の波があっても準備は止まりません。規模を欲張らないことが、続けるための一番の工夫になります。

そして、自分が今まさに介護で困っていることこそ、同じ立場の人が知りたいことだったりします。黒田さんが介護用品の知識を商品にできたのも、当事者だったからです。今日、介護の中で「これ、最初に知りたかった」と感じたことを一つ、スマホのメモに書き留めてください。それが、あなたにしか書けない最初の商品の種になります。

介護をしながらの準備は、健康な人と同じペースを目指す必要はありません。止まらないことだけを目標にすれば、その15分が半年後のあなたを確かに変えていきます。

今夜、親御さんが眠ったあとの15分だけ、自分の構想に向き合う時間にしてみてください。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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