記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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● 質問
28歳で、夫婦共働きです。クリエイティブ系の仕事をしていますが、独立を考えると「まだ実力が足りない」と感じてしまいます。一年ほど夜の時間に練習を続けてきましたが、スキルを磨くほど、かえって自信がなくなってきました。
スキルがないと、起業はできないのでしょうか?

● 回答
「スキルがないと起業できない」と思っていませんか。実は、順番が逆のことが多いのです。スキルを磨くほど不安になるのは、磨く方向に、お客様が見えていないからです。
お客様が買っているのは「スキル」ではない
拙著『会社員が働きながら月30万円を稼ぐ起業法』に、「お客様が買うのはドリルではなく穴だ」という言葉が出てきます。人はドリルの性能ではなく、開けたい穴のために対価を払う、という意味です。つまりお客様が見ているのは、あなたの腕前そのものではなく、その先で自分の困りごとが消えるかどうかです。
この発想に立つと、磨くべきものが変わります。技術そのものより、相手の「開けたい穴」を深く知ることに時間を使うようになるのです。同じ一時間でも、自分の腕を磨く一時間と、相手の困りごとを聞く一時間とでは、半年後の結果がまるで違ってきます。クリエイティブの仕事は、腕の差より「誰の何を解決するか」の差で選ばれることが多いのです。
- 完璧な技術を身につけてから始めようとする
- 同業のうまい人と自分を比べて落ち込む
- 「誰に向けるか」を決めずに練習だけ重ねる
足りないのは「腕」より「相手の特定」
同じ技術でも、相手を一人に絞ると価値は一気に伝わります。日本政策金融公庫の新規開業実態調査でも、開業費用は平均と中央値に開きがあり、少額で動き出す開業者も一定数います。大きな設備より、まず相手を決めることのほうが先です。
腕を上げる努力は、相手が決まってからのほうが、ずっと速く実を結びます。
今夜は練習をいったん止めて、「自分の作品で一番喜んでくれそうな人」を一人だけ思い浮かべてください。
- 喜んでくれそうな相手を一人に絞る
- その人の困りごとを言葉にしてみる
- 今の腕前のままできることを一つ差し出す
Web制作の仕事をするWさん(20代後半)も、自己流で一年ほど技術書を買い込み、腕を磨くほど動けなくなっていました。起業18フォーラムで「相手を一人決める」ことを学び、近所で評判の悪い飲食店のメニュー写真を撮り直す提案から再スタートします。そこから口コミが広がり、今は月5万円ほどの撮影依頼を、勤めと両立しながら受けています。
Wさんが変わったのは、腕を上げたからではありません。腕を向ける相手を、一人だけ決めたからです。相手が決まると、次に何を練習すべきかも自然に見えてきます。スキルは、目的地が決まってから磨くほうが、ずっと速く伸びます。先に相手を決める。これは、才能のあるなしとは関係のない、誰でもできる一歩です。
腕に自信がないうちは、むしろ相手の話をていねいに聞けます。その姿勢そのものが、相手にとっては安心につながっていきます。

腕が足りないのではありません。腕を向ける相手が、まだ決まっていないだけです。明日、あなたの仕事で助けられそうな身近な人を、一人だけ書き出してみてください。
その一人に何を渡せるかを考えると、次に磨くスキルも自然に決まります。学ぶ順番は、相手を決めてからで大丈夫です。
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