記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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「LINE公式アカウントを作ったのに、配信するたびに友だちが減っていく気がします」。先日、起業18フォーラムの面談で40代男性の営業企画の方からいただいた、最初のひと言でした。
友だち42名、半年運用で月収500円、ブロック率は30%超。本人いわく「配信ボタンが怖くて押せなくなった」。
この記事は、ここから1年で月収118,000円・スポット相談3件まで戻った同じ方の運用設計を、26年の起業支援現場で見てきた典型パターンと重ねて整理します。
LINE公式アカウントを起業準備に活かす全体像

LINEヤフー株式会社が2026年1月29日に発表したリリースによれば、コミュニケーションアプリ「LINE」の国内月間利用者数は2025年12月末時点で1億ユーザーを突破しました。アカウント数ベースの月間利用者数である点には注意が必要ですが、国内で非常に大きな接点を持つインフラです。
背景として、経済産業省『令和6年度 電子商取引に関する市場調査』(2025年8月26日公表)では、2024年の物販系BtoC-EC市場規模は15兆2,194億円・前年比3.70%増と報告されています。買い物や相談の入り口がオンラインに移るほど、最後に決済や予約まで導く「1対1で連絡が取れる接点」を持っているかが、売上の差として表れる時代です。
そのうえでLINE公式アカウントは、LINEヤフー for Businessの公式サイトによれば、コミュニケーションプラン(月額無料・月200通まで)/ライトプラン(月額5,000円〈税別〉・月5,000通まで)/スタンダードプラン(月額15,000円〈税別〉・月30,000通まで)の3段階で提供されています。

起業準備の入り口としては、まずコミュニケーションプランの無料枠で十分です。なお2026年10月1日から改定されるのは、スタンダードプランで無料通数を超えて配信する追加メッセージ料金で、月20万通まで1通3円、20万通超過分は1通2.5円(税別)の2段階になります。
拙著『会社で働きながら6カ月で起業する』第6章「集客の流れをつくる」にこんな考え方が出てきます。メディアはプル型・プッシュ型・中間型に分けられます。プル型の代表はブログ、中間型がSNS、プッシュ型はメルマガとLINE公式アカウント。役割を分けて配置することで、集客導線が機能します。LINE公式アカウントを単独で頑張るのではなく、まず3つの役割の中での位置を決めるところから整える発想です。
在職中の方ほどLINE公式アカウントが効くのは、本業の関係性をそのまま小さな顧客リストへ転換できるからです。退職後にゼロから友だちを集めるよりも、いまの職場・取引先・趣味のつながりが薄れる前に1対1の連絡先を整える順番のほうが、半年後の手元が変わります。
LINE公式アカウントが向いている方・向いていない方

批判ではなく整理として、向き不向きを先に書きます。LINE公式アカウントを使い始める前に、自分がどちらのタイプかを冷静に見ておくと、最初の100日が違ってきます。
- 本業の業界知識・専門スキルがある方:
すでに顔の見える知り合いから「あの件、相談したい」と声がかかる経験がある - 発信を半年以上続けている方:
ブログ・note・SNSのどれかで読者は少しずつ増えているが、リピートが残らず連絡先が手元にない - 1対1で対価が動く商品を想定している方:
将来コンサル・コーチング・スポット相談などを商品化したい
- 商品の輪郭が未確定の方:
誰に何を売るかの仮説すら立っていない段階(LINE公式は商品が決まってから始めるツール) - 顔出し・実名出しが一切できない方:
LINE公式アカウントは1対1の信頼ベースで運用するため、匿名運用の壁が大きい
向いていない側に当てはまる場合は、先にプル型のブログでロングテール記事を10本書く・本業のなかで「自分が何屋さんか」を一行で言い切る作業を済ませる、というようにLINE公式アカウントを開設する前段で済ませるべき準備があります。逆順で進めると、配信ボタンが怖くなる現象が起きやすくなります。
LINE公式アカウントで成果が出る方の3つの共通点

起業18フォーラムで延べ6万人以上のご相談に乗ってきたなかで、LINE公式アカウントを使って在職のまま月収を積み上げる方には、共通する設計の癖があります。
- 友だち数より個別返信履歴を数える:
配信先の母数を増やすゲームをやめ、誰に・いつ・どんなメッセージで反応があったかを月1回見直す習慣に切り替えている - プル・中間・プッシュの順で導線を組む:
ブログ(プル型)→SNS(中間型)→LINE公式アカウント(プッシュ型)の順に役割を分け、LINEだけで集めようとしていない - 本業の業界知識を専門タグにする:
「営業企画歴12年・電子部品メーカー」のように本業の輪郭を友だち追加直後の挨拶文に明記し、誰のための窓口かを一行で言い切っている
逆に多くの方が止まる典型パターンは、友だち数を毎日数えて配信のたびに減ることに動揺し、配信頻度だけを上げてブロック率が伸びる流れです。先日も会員さんから「配信ボタンが怖くて3週間押せていない」というご相談をいただきました。この状態は運用設計の問題で、ご本人の努力不足ではありません。
会員さんの実例:自己流の停滞からプル・中間・プッシュ役割分担へ

40代半ばで電子部品メーカーの営業企画歴12年、年収720万円、神奈川県在住、奥さまとお子さま2人。Kさん(仮名・複数の事例を組み合わせた起業18フォーラム会員さんの像)は、2024年6月にnoteで発信を始めましたが、半年で月収500円、月1記事ペースで停滞していました。
翌2025年1月にLINE公式アカウントを開設。「友だち◯名」の表示を見るたびに焦り、月4回・週1ペースで配信を続けた結果、2025年4月時点で友だち42名・ブロック率30.9%・月収500円・配信のたびに2〜3名がブロックするという負のスパイラルに入っていました。
転機は2025年5月、起業18フォーラムの勉強会に参加されたタイミングです。お伝えしたのは、プル・中間・プッシュの役割分担と、本業の業界知識を旗にする順序の話だけです。Kさんは自分流を一度全部やめ、運用を組み直しました。
- noteは週1・電子部品調達の意思決定プロセスを業界向けに書くプル型に再配置
- Xは週3・現場の小さな気づきを共有する中間型に位置づけ
- LINE公式アカウントは2週に1回・通勤時間帯の朝7時台に限定したプッシュ型に絞り、配信内容は「note最新記事の補足+1対1無料相談の案内」のみ
- 挨拶文を「電子部品メーカー営業企画歴12年が答える業界の現場相談窓口」に書き直し
- 初期60日は新規友だち全員に1対1の個別メッセージを返す運用に変更
修正後、12ヶ月後(2026年5月)の時点で、友だち287名・ブロック率8.4%・月収118,000円・スポット相談3件・取引先2社からの正式コンサル契約打診1件まで動かれました。「配信ボタンが怖くなくなった」と笑顔で話されていたのが印象に残っています。
運用設計を変えたあとに残ったのは、配信頻度を増やしたい欲ではなく、1人ずつのメッセージ履歴を読み返す時間のほうでした。
起業18フォーラムの最新の現場メモにも、「来てくれたお客様1人に前略で向き合うのみ。それが結果を作る」という気づきが残っています。Kさんの1年は、まさにこのひと言を運用に落とし込んだだけの1年だったと感じています。
LINE公式アカウントと組み合わせると効果が倍増する3つの行動

拙著『会社で働きながら6カ月で起業する』第6章には、もうひとつ大切な数字の目安が出てきます。プッシュ型メディアの配信頻度は、最高1日1回、最低2週に1回が一般的です。あまり頻繁に送ると解除されますし、送らなさすぎても忘れられます。
会社員対象であれば通勤時間帯に送るなど、相手の生活パターンに合わせて配信時間を選ぶ視点も同じ章で触れられています。LINE公式アカウント単独で考えると迷子になりがちですが、プル・中間・プッシュの三役を分けて配置すれば、自然にこの上限・下限の幅に収まります。
- プル型と中間型を先に育てる:
ブログ(note・自社サイト)で本業の業界知識を月4本/SNS(X・Instagram)で日常の気づきを週3本。LINE公式アカウントは最後に置く - 配信時間を読者の生活時間に合わせる:
会社員対象なら朝7時台の通勤時間帯/主婦対象なら午前10時台の家事のひと段落/自営業対象なら火曜21時台の翌週準備時間帯 - 個別1対1返信を60日続ける:
新規友だち全員にスタンプではなく1〜2行の手書きメッセージを返し、相手の業界・困りごとを一行ずつメモする
これら3つは、LINE公式アカウントの管理画面上の数字ではなく、運用者の手元のノートに残るものです。数字より「誰の何が変わったか」を月1回見直す習慣を持つかどうかが、半年後の手元の金額を決めます。

LINE公式アカウントは、開設の瞬間に何かが始まるツールではありません。本業の関係性、ブログのロングテール記事、SNSの日常の気づき、それらを一本の道としてつないだ先に置く、小さな受け皿です。配信ボタンが怖くなったら、配信頻度ではなく、いま手元にある関係性のほうを先に見直してみてください。半年後に動いている数字は、配信回数ではなく、向き合った1人の数のほうです。
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