記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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● 質問
メーカーの設計部門で18年働きながら、図面チェックの業務委託を1年続けています。月収は本業の40万円とは別に3.5万円ほどで安定したのですが、ここから月10万円まで伸ばす道筋が見えません。
本業の繁忙期と重なると副業の作業時間も取れず、依頼を増やしても受けきれない感覚があります。月10万円という壁は、どう越えればいいのでしょうか?

● 回答
月の終わりに残業を抱えて帰り、それから夜の起業準備の作業に向かう日が続いていませんか。起業18フォーラムにも、同じ場面で止まる起業準備中の方からの相談が毎月のように届きます。月3万円までは「作業時間を伸ばす努力」で届きますが、月10万円からは「単価そのものを変える設計」がないと届きません。26年の起業支援で見えてきた、もっとも再現しやすい壁の構造です。
拙著『会社員が働きながら月30万円を稼ぐ起業法』にも書いたのですが、月収の壁は時間量ではなく単価の階段に紐づいています。会社員のうちに起業準備を進める方の単価には3段階があり、階段を1つ上がるごとに同じ作業時間でも月収は2.5倍ほど変わります。階段の名前は順番に、作業代行・判断代行・結果設計です。
第1段階:作業代行(時給1,500〜3,000円・月5万円が天井)
作業代行は、指示された手順をその通りに実行する仕事です。データ入力、文字起こし、図面の清書、議事録作成、定型的な資料の体裁整え。クラウドソーシングの未経験者向け案件はほぼここに入ります。時給換算1,500〜3,000円が相場で、起業準備中の方が夜と週末を全部使っても、月収の天井はだいたい5万円前後です。
作業代行の最大の問題は、依頼者が「誰でもいい」と思っていることです。あなたではなく、別の安い人に切り替えても結果が同じになる仕事は、単価が永遠に上がりません。
第2段階:判断代行(時給6,000〜12,000円・月10〜15万円が射程)
判断代行は、依頼者が判断に迷う場面で、専門知識を使って判断を肩代わりする仕事です。図面の妥当性レビュー、契約書の論点抽出、採用候補者の評価、提案書の改善ポイント指摘、見積もりの妥当性チェック。判断を伴うため、依頼者の「あなたじゃないと困る」が生まれます。時給換算6,000〜12,000円で、起業準備の時間が週10時間程度でも月10万円が射程に入ります。
図面チェックの業務委託は、すでに判断代行の手前まで来ている仕事です。「指示された手順で図面を見る」のか、「設計の意図を読んで論点を抽出する」のかで、同じ作業時間の単価が2〜4倍変わります。本業の設計経験18年は、判断代行の単価を支える資産そのものです。
第3段階:結果設計(月額10〜30万円・月10万円以上の安定)
結果設計は、依頼者の事業目標から逆算して、必要な打ち手を設計し、実行まで伴走する仕事です。設計部門の品質改善コンサルティング、新人エンジニアの育成プログラム設計、図面審査基準の整備、外注設計会社の評価制度づくり。月額契約で10〜30万円が現実的な水準で、月10万円以上を安定させたい方にとって、第3段階が事実上のゴールです。
起業18フォーラム会員の中島さん(仮名・40代前半・男性・大手機械メーカー設計部14年勤務・既婚・夫婦のみ・繁忙期中で起業準備の時間が削られていた方)は、起業準備を始めて12ヶ月目に同じ壁にぶつかっていました。自己流で図面チェックの案件をクラウドソーシングで月20件こなして月収が3.8万円で頭打ちになり、本業の繁忙期と重なり週末も寝込む日が続きました。
「これ以上仕事量を増やす気力がない」と勉強会で相談されたのが転機でした。
勉強会で単価の3段階を整理し直し、自己流で増やしていた図面の単純チェック案件を半分に減らして、本業の設計知識を生かした「新人エンジニア向け図面審査の判断基準づくり」という月額契約に切り替えました。
最初の3ヶ月は月収が2.5万円まで下がりましたが、12ヶ月目に月額契約2件で月収11万円、起業準備の時間は週14時間から週10時間に減りました。作業時間を減らしながら月収を増やした転換が、単価の階段を1段上がった具体例です。
厚生労働省の副業・兼業ガイドラインでも、副業の選び方として労働時間管理と健康管理が論点として挙げられています。Job総研の2025年副業・兼業の実態調査では、副業経験者の実際の月収は平均5.4万円、中央値3.0万円、最頻値1.0万円という結果が出ました。
多くの方が第1段階の作業代行から抜け出せず、月5万円前後で止まっている現実が見えます。
本業の業務時間中に身につけた判断力と専門知識は、起業準備の場では「あなただからこその判断」として高い単価がつきます。今夜、自分が直近の半年で受けた起業準備で受けた案件を1枚の紙に並べ、作業代行・判断代行・結果設計のどの段階に入るか分類してみてください。第1段階の案件がほとんどを占めているなら、月10万円までの距離は時間量ではなく単価設計の話です。
明朝、本業の繁忙期前に通勤電車で、自分の本業の業務範囲のうち「判断を伴う部分」を5つ書き出してみてください。その5つが、第2段階・第3段階の単価で売り直せる種です。

月10万円の壁は、作業量の壁ではなく単価設計の壁です。本業で積み上げた判断の経験を、そのまま価格に乗せ替える発想から始めてください。
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