副業と本業の両立で潰れそうなときどう動く? 時間を増やさず進める3つの線引きは?

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

本業のITエンジニアとして6年目、副業で個人のWebサイト制作を週末に受注し始めて半年が経ちました。子どもが小学生になり、家計のためにと思って動いてきたのですが、寝るのが午前1時前は数えるほどです。納期前は朝の通勤電車でもコードを書いていて、本業のミーティングで頭が回らなくなる日が増えました。

両立はあきらめるしかないのでしょうか?

起業前質問集

● 回答

両立に行き詰まる人と続けられる人の差は、性格や体力ではありません。時間を増やそうとしているか、増やさない範囲を先に決めているか、の違いです。厚生労働省も副業・兼業ガイドラインで、健康管理と労働時間通算の重要性を繰り返し示しています。両立は気合の問題ではなく設計の問題なのです。

段階1:作業時間に最低保証ラインを引く

まず引くべき線は、副業に使ってよい作業時間の「上限」と「最低保証ライン」の2本です。上限だけ決めると、本業が早く終わった日にずるずる伸びます。最低保証ラインを決めると、本業が炎上した週でも30分は事業の歩みが残り、来週の自分が再開しやすくなります。

拙著『会社を辞めずに朝晩30分からはじめる起業』にこの「朝晩30分」という枠組みが出てきます。平日に朝の通勤前30分・夜の家族就寝後30分の2枠を固定にすると、本業がどれだけ揺れても週で合計5時間は確保できる計算になります。

作業時間に引く2つの線

  • 上限:平日2時間まで、週末は連続4時間×1日まで
  • 最低保証:朝晩30分の固定枠だけは何があっても確保
  • 判断基準:上限を超えそうな日は納期延長を打診、最低保証を割る週は撤退検討
段階2:返信時間と納期の2本の線を分ける

次に引くのは、返信と納期の線です。両立で潰れる人は、作業時間より「返信のために脳が常時オンになる時間」で疲れています。LINEやチャットがいつ来るか分からないと、本業の会議中も無意識に気になります。返信時間を朝の30分枠の中だけに集約すると、それ以外の時間は本業に集中できる体感が戻ります。

納期は「自分の処理速度の7割」で見積もると安全です。週末でしか動けない人が、平日含めた稼働を前提に納期を切ると、ほぼ確実に直前に詰まります。納期は処理速度ではなく「生活を壊さない範囲」で逆算するのが、続けるための線です。

段階3:週1回の判断日を決め、毎日の判断をやめる

最後に引くのが、判断の線です。両立で消耗する人ほど、毎日その日に「今日は副業を進めるか、本業を優先するか、休むか」を悩んでいます。判断は1回あたりのエネルギーが大きく、回数を重ねるほど疲れがたまっていきます。

週1回、たとえば毎週日曜の朝に30分だけ「今週の振り返り」と「来週の予定」を決める時間を固定すると、平日の判断はゼロに近づきます。月1回の月次レビュー、週1回の週次レビュー、日々の作業は決めた通りに動くだけ、というリズムに切り替えてみてください。

起業18フォーラム会員Tさんが週1回の判断日に切り替えた結果

起業18フォーラム会員のTさん(仮名・37歳・男性・SaaS企業のサーバーエンジニア6年目・小学生1人・朝活で起業準備中)は、ここまで毎晩翌日のタスクを並べ替えて寝つきが悪くなっていました。日曜朝に「翌週の朝晩30分で何をやるか」を決めるだけのルールに変えたところ、本業のレビュー指摘が月に2件から月0件へ減り、副業の納期遅延もゼロになっています。

両立を続ける週次レビューの3項目

  • 今週、本業と副業のどちらでミスが多かったか
  • 来週の本業の繁忙度を10段階で見積もる
  • 来週の副業は「最低保証30分のみ」か「通常モード」か事前に決める

両立は、時間を増やす技術ではなく、時間を増やさないと先に決める技術です。今夜寝る前に、来週の日曜朝の30分だけ「両立判断日」としてカレンダーに固定で入れてみてください。毎日の細かい悩みが減るだけで、本業と副業の両方で集中力が戻ってきます。

起業準備の6ヶ月ロードマップ|会社員のまま朝晩30分で進める100階段の登り方
「いつか動こう」と何年も止まったまま、また一週間が過ぎてしまう。ロードマップが見えていない状態で行動を起こそう

両立できる人は体力で勝負しているのではなく、生活を壊さない設計図を先に描いている人たちです。設計図さえあれば、自分を責める夜はぐっと減っていきます。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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