記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:
● 質問
会社員のまま個人事業主として活動を始めて2年目に入りました。「年商が増えたら法人化したほうがいい」と聞きますが、具体的にいくらが目安なのでしょうか?
節税のためだけに動くのは違う気がしていて、判断軸が分かりません。

● 回答
法人化のタイミングは「年商1,000万円超・所得500万円超・取引先からの法人格要請」のいずれかが現実化した瞬間です。国税庁の発表によれば、令和4年分の個人事業者の所得税申告で事業所得が600万円を超える層は申告者全体のおよそ12%にとどまります。つまり年商ベースでざっくり1,000万〜1,500万円のラインで個人事業主のままの人が大半で、法人化はそこから先のテーマです。
売上規模で見る4つのステージ
拙著『会社員が働きながら月30万円を稼ぐ起業法』では、起業の進度を「STAGE I(月5万)→ II(月10万)→ III(月30万)→ IV(独立水準)」の4段階で整理しました。法人化を検討する売上水準は、ざっくりSTAGE IVに乗ったあたりからです。
- 年商1,000万円超:消費税の課税事業者になる節目(インボイス制度との兼ね合いも検討)
- 所得(売上−経費)500万円超:個人の所得税率と法人税率の逆転点
- 取引先から法人格を求められた瞬間:信用面の理由が顕在化したタイミング
節税効果だけで言うと、所得が500万円を超えるあたりから法人化メリットが見え始めます。ただ、社会保険料の負担増・法人住民税均等割(最低でも年7万円)・税理士費用などが新しく発生するので、所得が安定して600〜700万円を超えるまで様子を見る判断もよくあります。「節税のため」だけで法人化すると、固定費負担で逆に手取りが減るケースが少なくありません。
意外と効くのが取引先側の事情です。一定規模以上の企業は反社チェックや与信管理の都合で個人事業主と継続契約を結びにくいことがあります。「法人格があれば継続発注したい」と相手から言われた瞬間が、現実的な法人化タイミングになります。
会員さんで言えば、起業18フォーラムにいた高橋さん(仮名・40代前半・男性・元IT営業・独身)は、年商750万円の段階で焦って法人化したものの社会保険料の自己負担が想定の2.4倍になり、3期目で個人事業主に戻しました。「数字だけで決めず、取引先の要望と固定費負担の実額を1年分シミュレーションする」を徹底することで、現在は売上1,300万円規模で法人化し、安定した経営に移れています。

年商の数字だけで法人化を判断するのは、地図を見ずに目的地を決めるのと同じです。売上の中身・取引先の構成・固定費の実額を並べて、自分の事業の今のステージから判断してください。
さらに詳しく知るには、以下より検索してみてください!
★【起業セミナー】会社員のまま始める起業準備・6ヵ月で起業する!
★【動画セミナー】あなたのタイミングで学べる動画版もあります!
