記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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● 質問
ネットショップを開設する手続きを進めているのですが、サラリーマンのため特定商取引法に基づく表記に本名を出したくありません。
実家に住む母親(年金受給者)の名義で開業届と特商法表記を出そうと考えているのですが、注意点はありますか?

● 回答
結論を言うと、お母様の名義借りは2026年現在でも法律上のグレーゾーンで、いまや「住所代理表示サービス」を提供する主要プラットフォームを使えば本名なしで合法的に始められます。名義貸しに頼らない実践手順と、26年・60,000人の支援現場で見えてきた「家族名義で失敗した本当の理由」をお伝えします。
家族名義は法律と家族関係の二重リスク
まず原則の確認です。特定商取引法第11条が定めるのは「販売業者の氏名・住所・電話番号」の表示義務です。お母様の名前を表示するということは、お母様が販売業者の実体である必要があります。実際に運営しているのが息子さん(あなた)なのにお母様の名前だけ表示するのは、いわゆる名義貸しに該当し、特定商取引法上のリスクが残ります。
26年・60,000人の支援現場で見てきた限り、家族名義で物販を始めて伸びた人はほとんどいません。理由は法律以前に「家族関係が壊れる」からです。
消費者からのクレーム電話がお母様に直接届く・税務調査の問い合わせ・口座の動きを家族に説明できないなど、想定外の負担がご家族にかかります。
- 商品クレームの電話がお母様の自宅に集中して家族関係が悪化
- 名義人と運営実態が違うため銀行口座の振込先変更が二度手間
- 2年目に売上が伸びて法人化したいが「自分名義に戻す」段階で会社へ説明が必要に
家族関係を消費して始める起業準備は、伸びる前にやめる確率が異常に高いのが現実です。
2026年5月時点で「本名を出さずに合法的に始める」4つの主要プラットフォーム
2022年以降、主要なネットショップ作成サービスが「住所代理表示」「特商法表記の非公開設定」を相次いで対応しました。2026年5月時点の状況を整理します。
| サービス | 代理表示 | 初期/月額 | 特記事項 |
|---|---|---|---|
| BASE | 特商法表記の住所・電話を非公開設定可(請求時のみ開示) | 無料/0円〜 | 2022年1月12日から非公開設定機能を提供 |
| メルカリShops | 運営元の住所・電話を代理表示/匿名配送対応 | 無料/0円〜 | らくらくメルカリ便で発送時の住所も匿名化 |
| カラーミーショップ | 住所・電話の非公開設定対応(プラン詳細は公式参照) | フリープラン無料 | 独自ドメイン運営にも対応 |
| STORES | 特商法表記の住所・電話を非公開(請求時に開示) | 無料/0円〜 | 最新仕様は公式ヘルプで確認 |
「住所と電話を出したくない」だけが理由なら、家族名義ではなく上記のいずれかを選ぶのが2026年の現実的な選択肢です。各サービスの仕様は変更されることがあるため、契約前に各社の公式ヘルプで最新条件を必ず確認してください。
「氏名」をどう扱うかの3パターン
住所と電話は代理表示で隠せても、特商法表記の「氏名」欄をどう扱うかは別問題です。実務上は3パターンに分かれます。
- 本名を表示し、住所と電話だけ代理表示にする(最も無難・グレー要素なし)
- 本名を画像化+nofollow設定で検索エンジンに拾われにくくする(テキスト検索除けの工夫)
- 個人事業の屋号を主表記にして、本名は「請求時に開示」型で運用する(プラットフォーム規約と特商法の条件確認が前提)
会社の同僚や上司の検索を避けたいだけなら、画像化+nofollowで十分な効果があります。そもそも特定商取引法は消費者保護のための法律で、抜け穴を探る運用はリスクと隣り合わせです。
会員Nさん(36歳・元メーカー総務7年)の軌道
名義貸しに頼らず合法的に始めた会員Nさんの軌道を紹介します。
- 属性:上場メーカー総務部勤続7年・人事規程に「在職中の起業準備の事前申請制」あり
- スタート時:自己流で実家の母名義開業を検討。家族会議で母から「ネットショップは怖い」と断られ起業18フォーラムに相談
- 時系列:BASEの特商法非公開設定で開業届を自分名義に切替え。6ヶ月目で月8万円・12ヶ月目で月18万5千円
- 転機:14ヶ月目に「画像化した氏名表記+本名の屋号併記」で検索除けと取引信頼性を両立
- 現在地:22ヶ月目で月25万8千円・在職継続中・法人化判断を24ヶ月目で予定
Nさんの軌道で見落としがちなのは、家族会議で母から「怖い」と断られた時点で、無理に説得せずに代替手段を探した判断です。家族の納得を取りに行く時間より、合法的なサービスを選ぶ時間のほうが、起業準備としてはずっとリターンが高いと実感しています。
「逃走力」で立地と名義を選び直す
起業準備の現場でくり返しお伝えしているフレームワークに「闘争力より逃走力」があります。今回のケースで言えば、「家族名義で押し切る」のが闘争力、「代理表示サービスに切り替える」のが逃走力です。家族・法律・税務署のうち、ひとつでも違和感があれば、押し通さずに別ルートを探すのが伸びる人の共通点です。
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よくある質問

Q.BASEの非公開設定はずっと無料ですか?
2022年1月の提供開始以降、無料プランでも非公開設定は利用可能です。ただし2026年5月時点での仕様確認であり、料金体系や機能は変わる可能性があります。契約前にBASE公式ヘルプを必ず確認してください。
Q.屋号だけで本名を一切出さない運用は可能ですか?
特定商取引法第11条の例外規定として、消費者からの請求があれば遅滞なく書面・電磁的方法で開示できる体制が整っていれば、サイト上の常時表示を省略できるケースがあります。プラットフォーム規約と消費者庁ガイドラインの両方で条件を満たす必要があるため、独自判断は避け、消費者庁「特定商取引法ガイド」を参照してください。
Q.在職中の起業準備の申請が通らないので名義を変えたい、はリスクが高いですか?
これが最大のリスクです。会社規程違反と特商法違反の2つの矛盾を抱えるため、伸びるほど露見しやすくなる構造です。在職での起業準備は申請ルートを整えるのが先決です。
家族名義に頼らず、合法的にあなた自身の屋号で勝負しましょう。住所代理表示の選択肢が増えた2026年なら、それが最短ルートです。
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