SNSのフォロワーより日常の知人のほうが起業に役立つというのは本当ですか?

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

「弱いつながりが起業に役立つ」という話を聞きました。

起業準備中の会社員ですが、人脈づくりを考えるとき、SNSでフォロワーを増やすことや、親しい友人に協力してもらうことが大切だと思っていました。でも「弱いつながり」のほうが価値があるというのは本当ですか?

具体的にどういう意味で、どんな人脈を作ればいいのか教えてください。交流会に何度か参加しましたが手応えがなく、悩んでいます。

質問

● 回答

本当です。「弱いつながり(Weak Ties)」の理論は、スタンフォード大学のグラノヴェッター教授の研究に始まり、日本でも起業や転職における人脈の効果を分析した研究で繰り返し確認されています。

「弱い紐帯」とは何か

「弱いつながり」とは、日常的にそれほど頻繁には会わない知人のことです。月1回会うか会わないか、あるいは年に数回しか連絡しない程度の関係性。「強いつながり」は、毎日顔を合わせる家族・親友・同僚などです。

  • 強いつながり:毎日会う家族・親友・職場の同僚
  • 弱いつながり:異業種の知人・前職の同僚・セミナーで名刺交換した人・SNSでつながった人

研究では「弱いつながりから得たつながりは、事業展開に関わる専門的なコネクション」になることが多く、強いつながりが持つ情報は「自分がすでに知っている情報」と重なりやすいことが示されています(福井県立大学研究)。

なぜ親しい友人より「たまに会う知人」が役立つのか

親しい友人は、だいたい自分と同じ業界・年代・価値観を持っています。毎日共有する情報も、だいたい重複しています。

一方、「たまにしか会わない知人」は、自分とは異なる業界・専門性・人脈を持っています。その人が持っている情報は、自分には到達しにくい新しい情報です。

起業準備で最も価値があるのは「自分がまだ知らない情報」「自分の専門領域とは異なる人脈」です。それを持っているのは、強いつながりよりも弱いつながりの相手なのです。

交流会で手応えがない原因と対策

「交流会に参加したが手応えがない」というのはよく聞きます。理由は2つあることが多いです。

交流会で手応えが出ない2つの理由

  • 名刺交換で終わっている(関係が「弱いつながり」になる前に途切れている)
  • 「何か得ようとして参加している」(受け身の姿勢は相手に伝わる)

「ギブ&ギブ」の姿勢で、まず相手に何か役立つことを提供することが、弱いつながりを長期的な関係性に育てるコツです。サーブコープの起業家100人調査でも、人脈を広げた方法の1位は「誘われた会合への参加」でした。つまり、自分から積極的に出向くより、誘われたときに「とりあえず行く」ほうが縁がつながりやすいのです。

交流会で手応えがない最大の原因は「その場で完結しようとしていること」です。名刺交換の後に続く関係性こそが弱いつながりであり、当日の出会いはそのきっかけに過ぎません。

今日からできる「弱いつながり」の育て方
  • 1〜2年ぶりに連絡を取っていない元同僚・先輩に「近況報告」のメッセージを送る
  • コミュニティに入り、誘われた会合に参加してみる
  • SNSで自分の専門分野の発信を続け、コメントしてきた人とつながりを深める

起業の人脈は「作るもの」ではなく「育てるもの」です。すでにスマートフォンの連絡帳にある「たまに会う知人」が、あなたの最初の顧客になる可能性があります。まずそこから始めましょう。

起業18フォーラムの会員さん同士も、決して毎日会う友達同士ではありません。ですが、起業についてはお互い応援し、手伝い合える仲間です。弱くはないけれど、中くらいのつながりでしょうか。しかし、大事な存在であることに間違いありません。

よくある質問

Q.SNSのフォロワーは「弱いつながり」になりますか?

一方的にフォローされているだけの状態では「弱いつながり」とは言いにくいです。コメントのやり取り、DMでの対話、リアルでの接点があると「弱いつながり」に育ちます。フォロワー数よりも交流の深さを意識しましょう。

Q.「人脈がない」状態から起業準備を始めることはできますか?

できます。人脈は「すでにある」か「これから作る」かより、「意識して育てるか」のほうが重要です。今日から弱いつながりを意識してみましょう。具体的な方法を一緒に考えていきましょう。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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