記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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勤めを続けながら自分の知識や経験を売ってみたい。そう考えてタイムチケットの出品画面を開いたものの、プロフィールの途中で手が止まってしまう。こういう相談を、最近よく受けます。
時間や知識を切り売りできる手軽さは魅力です。ただ、掲載して待つだけで予約が入る場所ではありません。
今日は、タイムチケットを起業準備の入口にするとき、出品より先に整えておきたい順番を紹介します。
導入:掲載しただけで止まる理由

タイムチケットは、知識・スキル・経験を「30分いくら」「1時間いくら」という時間の単位で売り買いできるマーケットプレイスです。運営は株式会社タイムチケットで、2024年7月には会員数が100万人を突破しています。
チケットの発行は無料で、会員登録料も月会費もかかりません。手数料が発生するのは、チケットの支払いが確定したときだけです。
手軽さの裏で起きていること
始めるハードルが低い。これは大きな利点です。ただ、その手軽さが落とし穴にもなります。出品ボタンを押した瞬間に「準備が終わった」と感じてしまい、そこで動きが止まる方がとても多いのです。
私が現場で見てきた相談者の声を一つ紹介します。SNSに少しだけ発信して、スキルシェアのサービスに商品を掲載しただけ。そして待っているだけでお客さんが来ないと言う方が、本当に多い。タイムチケットも同じ構造を抱えています。掲載は入口であって、ゴールではありません。
出品より先に「先に与える」を設計する

ここで効いてくるのが、拙著『起業神100則』で紹介している「ギブ&テイクではなくギブ&ギブ」という考え方です。見返りを計算してから動くのではなく、先に相手の役に立つことから始める姿勢を指します。タイムチケットのように「あなたの時間を買います」という場では、この発想の有無が分かれ目になります。
買う側が見ているのは肩書きではない
購入者が30分なり1時間なりのお金を払うとき、見ているのは資格の数ではありません。この人と話したら自分の悩みが一歩前に進みそうだ、と感じられるかどうかに尽きます。
だからこそ、チケットの説明文に資格や経歴を並べるより先に、相手がその30分で持ち帰れるものを具体的に書くほうが伝わります。たとえば本業で経理を担当している方なら、個人事業の最初の帳簿を何から手をつけるか整理する、というように相手の景色で書く。これがギブから入る出品です。
- 持ち帰れるものを書く:
30分後に相手の手元に何が残るかを一行で示す - 対象を一人に絞る:
「誰の、どの場面の悩み」かを具体的に書く - 無料の発信を先に置く:
チケットの前に、役立つ情報を自分から外へ出しておく
勤めながらだからこそ動かせる準備の順番

タイムチケットの電話相談チケットは、公式ガイドライン上では3分あたり180円から1,500円の範囲で設定できます。販売手数料は2025年4月に一律10%へ引き下げられ、この手数料は販売者であるホスト側が負担します。たとえば30分相談なら1,800円から15,000円の範囲になり、10%の販売手数料を差し引いた金額が手元に残る計算です。
この数字を頭に入れておくと、価格を決めるときに迷いが減ります。
声をかけることから逃げない
出品が終わったら、次は待つことではありません。私が相談者に必ず伝えるのは、周りの人に声をかけることから始めるといい、という一点です。勤めている今なら、同僚や前職の知人、趣味でつながった仲間という近い関係がまだ生きています。
最初の予約は、この人たちに自分から声をかけて生まれることがほとんどです。会社を辞めてからではなく、関係が温かいうちに動く。これが在職中の強みになります。
実例紹介:大谷さんが予約ゼロを抜けた順番

メーカーで人事を担当する大谷さん(仮名・40代)は、採用面接のノウハウをタイムチケットで売ろうと考えました。最初は自己流でした。資格と社歴をびっしり書いたプロフィールを作り、1時間8,000円のチケットを出して、あとは予約を待つだけ。3ヶ月たっても予約はゼロでした。
勉強会で気づいた「順番の逆転」
転機は、起業18フォーラムの勉強会に参加したことでした。そこで「掲載して待つのではなく、先に与えてから声をかける」という順番を知り、自分が逆をやっていたと気づいたのです。
大谷さんはまず、チケットの説明を「中小企業の採用面接で、応募者の本音を引き出す30分」という一場面に絞り直しました。さらに、面接のコツをまとめた短い投稿をSNSで自分から発信し、前職でつながった採用担当の知人3人に直接声をかけました。
- プロフィールを経歴の羅列から「相手が持ち帰れる30分」へ書き換え
- 面接のコツを先に無料で発信し、知人3人へ自分から声かけ
- 半年後に月の相談が8件・月収48,000円ラインへ到達
最初の予約は、声をかけた知人の一人からでした。その30分の相談が丁寧だと評判になり、紹介で予約が少しずつ増えていきました。半年後には月8件ほどの相談が入り、月収は48,000円ほどになりました。
来てくれたお客様一人に丁寧に向き合う。大谷さんが変えたのは、技術ではなく順番だけでした。
次のステップ:数字を支えに小さく動く

起業を考えると、不安が先に立つ方は少なくありません。中小企業庁『中小企業白書』では、個人事業の廃業率の高さが繰り返し示されてきました。だからこそ、収入をいきなり本業から切り離すのではなく、勤めながら小さく試す順番が現実的なのです。
タイムチケットは、その小さな一歩を低リスクで踏み出せる場になります。出品して待つのではなく、先に与えて声をかける。この順番を守れば、最初の予約は思っているより近くから生まれます。
よくある質問

Q.勤めながらタイムチケットで時間を売っても問題ないですか?
- 勤務先の就業規則を先に確認すること
- 本業の機密情報を相談で話さないこと
まずは勤務先の就業規則を確認してください。そのうえで、本業の機密にあたる情報は相談の場でも持ち出さないと決めておくと安心です。自分の経験を一般化して伝える範囲なら、勤めながらでも進めやすくなります。
Q.資格や実績が少なくても出品できますか?
- 資格より「相手が持ち帰れるもの」を書く
- 本業の現場で見てきた具体例を一つ添える
資格の数より、その30分で相手が前に進めるかどうかが見られます。本業の現場で実際に見てきた具体例を一つ添えるだけで、説明文の説得力は変わります。
Q.価格はいくらに設定すればいいですか?
- 電話相談チケットは3分180円から1,500円の範囲で設定
- 販売手数料10%は販売者が負担する点を計算に入れる
電話相談チケットは3分180円から1,500円の範囲で設定できます。販売手数料の10%は販売者側が負担するため、30分相談なら手元に残る金額もその範囲で計算しておきます。最初は相場を見ながら無理のない価格から始めてください。
Q.出品したのに予約が来ません。何が足りないのでしょうか?
- 掲載して待つだけで止まっていないか
- 身近な人へ自分から声をかけたか
掲載しただけで待っている状態になっていないか、振り返ってみてください。最初の予約は、身近な人に自分から声をかけることから生まれることがほとんどです。先に役立つ発信をして、知っている人に届けるところから動いてみましょう。

今日できることは、チケットの説明文を「相手が30分で持ち帰れるもの」に一行書き換えるだけで十分です。
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