記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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● 質問
転職してまだ半年ですが、いつかは独立したいと思っています。ただ、自分に何が向いているのかが分からず、いろいろな起業の事例を見ても、どれも自分には関係ない気がしてしまいます。
何を手がかりに探し始めればいいのでしょうか?

● 回答
転職直後ほど、自分の強みは見えにくくなります。新しい環境に慣れることで頭がいっぱいになり、これまでの経験が「当たり前」のなかに埋もれてしまうからです。まずは焦らなくて大丈夫です。
なぜ「向いていること」が見えなくなるのか
向いていることを探すとき、多くの方は「特別なスキル」を探そうとします。資格や派手な実績のなかから探すので、何も見つからない気がしてしまうのです。けれど、お客様が対価を払うのは、特別なスキルよりも「自分には簡単で、相手には難しいこと」のほうです。
派手なものを探すほど見つからないのは、探す場所そのものがずれているからです。
拙著『起業神100則』に「名もなき強み」という言葉が出てきます。資格や肩書きには載らない、地味な業務スキルのことです。転職を経験している人ほど、複数の現場を比べられる視点という、本人が気づきにくい強みを持っています。まずは「同僚が面倒がるのに、自分は平気だった作業」を一つ思い出してみてください。
- 派手な実績や資格のなかから強みを探す
- 「好きなこと」だけで決めようとする
- 転職直後だからと、過去の経験を切り離して考える
手がかりは「人から頼まれたこと」にある
探す場所は、自分の記憶の奥ではなく「人からの依頼」です。向いていることは、頭の中ではなく、人から頼まれてきたことの中に隠れています。前の職場で何を頼まれることが多かったか。同僚が面倒がる作業のうち、自分は苦にならなかったものは何か。そこに手がかりがあります。
SaaSの営業を経て転職したばかりのKさん(30代前半)も、最初は自己流で「これからはAIだ」と教材を買い集め、半年ほど何も決められませんでした。起業18フォーラムで頼まれごとを書き出すうちに、前職で新人向けの操作マニュアルづくりをいつも任されていたことに気づきます。小さな会社向けに業務ツールの導入手順をまとめる手伝いから始め、現在は月4万円の依頼を受けながら、勤めと両立しています。
日本政策金融公庫の2024年度新規開業実態調査でも、開業動機の上位に「仕事の経験・知識や資格を生かしたかった」(46.0%)が挙がっています。多くの人が、特別な才能ではなく、これまでの経験を入口にしているのです。
書き出すときのコツは、「うまくできたこと」ではなく「なぜか自分に回ってきたこと」を探すことです。人は得意なことほど無意識にこなしてしまうため、自分では強みだと気づきません。同僚や家族に「自分はいつも何を頼まれているだろう」と尋ねてみると、思いがけない答えが返ってくることもあります。他人から見えているあなたの姿は、自分の思い込みより、ずっと当てになります。
- 前の職場で頼まれた作業を10個書き出す
- 同僚が面倒がっていた作業に印をつける
- そのなかで苦にならなかったものを3つ選ぶ

向いていることは、頭の中をいくら探しても出てきません。今夜、これまで人から頼まれた作業を、思い出せるだけ書き出してみてください。その一覧が、あなたの出発点になります。
転職直後だからこそ、前職と現職の両方で頼まれたことを比べられます。共通して頼まれる作業が、最初に試すテーマの候補です。
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