記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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「MENTAに登録してメンター側に立ちたいけれど、自分には人に教えるほどの経験がない」という相談が、起業18フォーラムに毎月のように届きます。多くの方は会社員としての経験を「社内でしか使えないもの」だと思い込んでいて、いざMENTAのプロフィール作成画面を開いた途端、手が止まってしまうのです。
教える経験を売る前に、まず自分が教わる側に立つことが結果的に近道になるのが、このサービスの面白いところです。本日はMENTAを在職中の起業準備に組み込む順序を整理します。
MENTAを起業準備に活かす全体像

MENTAは「メンター」と「メンティ(教わる側)」を1対1で結ぶプラットフォームです。プログラミング学習が立ち上がりのテーマでしたが、近年はビジネス・キャリア・経理・人事・営業企画・広報PRなど、会社員の現場経験そのものが取引対象として広がっています。総務省「令和4年就業構造基本調査」では、非農林業従事者のうち副業がある人は305万人、追加就業希望者は493万人とされ、いずれも5年前より増えています。教えてほしい側の需要は、すでに私たちの周辺で立ち上がっている状態なのです。
起業18フォーラムでMENTAの相談に答えるとき、私はいつも「商品としては掲載と販売、商品設計としては自分の現場の言語化」という分け方を最初にお話しします。MENTAは出品手続き自体は1時間ほどで終わりますが、その手前にある「会社の現場で誰に対して何を語れる人なのか」という設計をすっ飛ばすと、出品して数ヶ月経っても契約ゼロという状態が続きます。
順序を間違えないために、覚えておきたい全体像は次の流れです。
- 1.自分が教わる側の体験を経て、教える側の温度感をつかむ
- 2.会社の現場で繰り返してきた業務から、社外で希少なテーマを切り出す
- 3.中位帯の単価でプランを起こし、最初の継続案件を作る
- 4.レビュー・指名・継続率という1対1ならではの指標を育てる
知っておきたい手数料と仕組み

2026年現在のMENTA公式ガイドラインによれば、メンター側の手数料はプラン価格の20%に消費税10%を上乗せした合計22%、さらに振込のたびに300円の手数料が引かれる料金構造です。一方のメンティ側にも10%+消費税の手数料がかかります。運営は株式会社ランサーズで、ランサーズ本体と同じ法人が責任を持つ仕組みになっており、決済・通報窓口・規約改定の動きは比較的早く把握しやすい点が特徴です。
この料金体系を最初に頭に入れておくと、単価設計の起点がぶれません。月額1万円のプランを売れば、約7,800円が手取りになります。仮にメンティが3人付けば、月2万円台の収入です。ここから振込手数料を差し引くと、現実の入金額が見えます。月額5千円台でスタートすると、手取りベースで月1万円台に届かないまま「やった割に伸びない」という体感だけが残ります。
最低価格でスタートする設計は、MENTAでは最も避けたい単価設計です。低価格は「手軽に試したい層」を呼び寄せますが、その層は継続率も低く、レビューも単発で終わりやすいからです。中位帯のプランで「腰を据えて伴走する」関係を作るほうが、長い目で見て収益も信頼も伸びていきます。
向いている人・向いていない人

MENTAでメンター側に立つ前に、自分が「会社の中で誰かに教えてきたか」を一度棚卸ししてみてください。新人の業務指導、後輩への引き継ぎ、社内研修の登壇、外部委託先への発注説明、これら全部が「教える経験」のストックです。
向いている人の例として、私のところに相談が届くのは次のような方々です。
- 人事部で新人研修・中途オリエンを担当してきた人
- 経理・税務・労務など社内の専門領域で問い合わせ対応をしてきた人
- 営業企画・広報PR・購買など、関連部署に説明する仕事をしてきた人
- SEや情報システムで業務改善を社内提案してきた人
- 後輩指導の評価が高かった現場リーダー
逆に、教えた経験が少ない方が「自分の名刺の肩書きで売れそうだ」とMENTAに登録だけして放置するケースは、ほぼ収入につながりません。「教える」とは「相手の現在地を読み取って次の一歩を一緒に決める」行為で、これは肩書きと別物だからです。社内で一度も誰かを支えた経験がない場合は、先にこの後の4番目で紹介する「自分のメンターを持つ」段階から始めるほうが結果的に早道になります。
成果が出る人の3つの共通点

起業18フォーラムでMENTAの相談を続けてきた中で、初年度から月5万円〜月10万円のラインに到達した会員さんに共通する行動を整理すると、3点に絞り込めます。
1.教える前に、自分のメンターを複数人持っている
MENTAに登録するより前に、自分が学ぶ側として誰かのメンタリングを受けている方は、出品プランの内容に深みが出ます。教わる側の温度感を体感してから書いたプラン紹介文と、頭の中だけで考えた紹介文は、伝わり方が大きく違うのです。
2.単価を中位帯(月額1万5千円〜3万円)で起こしている
初期から中位帯で起こした方は、最初の指名から「腰を据えた相手」が来ます。最低価格スタートで来た「お試し層」を裁いている時期と比べて、最初の継続契約が来るまでの体感がまったく違います。初回プラン価格を月額1,000円台に下げると、結果として収益も信頼も伸びにくくなるので、ここは思い切って起こしてください。
3.月に3人に「無料相談1回30分」を自分から声かけしている
MENTAは検索流入で見つけてもらう仕組みも備えていますが、登録初期の方は検索結果に出にくく、待っているだけで指名が来ることはほぼありません。自分から「無料相談を1回30分どうぞ」とSNS・社外コミュニティ・勉強会で声をかけている方は、最初の数件が早く揃います。
会社の外に「メンター」を複数人持つ発想

拙著『朝晩30分 好きなことで起業する』に、こんな言葉が出てきます。「会社員気質とオサラバする方法は、会社の外にメンターと呼ぶべき尊敬できる、目標とする人物を見つけることです。これは1人じゃなくて複数、何人でも見つけてください」。書いていたのは「会社員のままでは身につかない発想を、外のメンターから取りに行く」という主張ですが、これはMENTAでメンター側に立とうとする会社員にも、そのまま裏返しで効いてきます。
つまり、教える側に立つ前提として「自分が学ぶ側のメンタリングを受けたことがある状態」を作っておくのです。自分が1対1で誰かから問いを返された経験、自分が話したことを言語化し直してもらえた経験、自分の現在地を客観的に映し返してもらえた経験。これらは教える側に立った瞬間にプラン文章の説得力として返ってきます。
起業18フォーラムの勉強会では、新しくメンター登録を検討している方には「まず社外のメンターを3人ほど決めましょう」とお話しします。3人というのは、得意領域がそれぞれ違う3人です。たとえば「業界の先輩」「ビジネス全般を見てくれる人」「自分の好きな分野で先を歩んでいる人」のように。3人持つと、自分が出すアウトプットへの反応が立体的になり、教える側に立ったときの構えが整います。
会員さんの実例(田所さんのケース)

起業18フォーラムにいる田所さん(仮名・40代前半・男性・大手メーカー人事部・既婚で小学生1人)は、「自分の仕事は社外で売り物にならない」と思い込んだ状態でフォーラムに参加されました。「中途オリエンの設計や、退職者面談の対応や、現場のハラスメント相談を1年中受けてきたけれど、これを社外で誰かに売るというイメージが湧きません」と最初の相談で話されていました。
勉強会で「会社の外にメンターを複数人」の考え方に出会い、まず自分が学ぶ側として3人のメンターを持つことから始めたそうです。1人目は同業他社の人事経験者、2人目は人事と隣接する組織開発コンサル、3人目は趣味のロードバイク仲間で起業歴10年の方。3ヶ月ほど3人とのやり取りを続けたあと、MENTAに「中小企業の人事担当者を経験者目線で支える1対1」というプランで月額2万円で出品されました。
登録直後の1ヶ月は問い合わせゼロ、2ヶ月目に最初の「無料相談1回」が1件、3ヶ月目に初の継続契約が1件、半年で継続契約が2社に増え、現在8ヶ月目で月7万円、継続クライアントは3人まで増えています。MENTAでは「会社の現場でしか経験できなかったこと」が、社外では希少なテーマとして指名されるのだと、田所さんはふり返って話してくれました。「人事の経験は社外では売れないと思い込んでいた自分が、いちばん遠回りだった」と。
効果を倍にする3つの行動

MENTAに登録するだけで止まっている方が、ここから前に進むために、私がいつもおすすめしている行動は3つです。プラン文章をいじり続けるよりも、こちらに時間を使ってください。
1つ目は、自分が学ぶ側のメンタリングを月に1回受けることです。自分が誰かに教わる側で過ごす30分があると、教える側に立ったときの「待つ間合い」が変わります。問いを返す、沈黙を受け止める、相手の現在地を聴き直す、これらは座学では身につきません。
2つ目は、既存のSNS発信を同じテーマに3ヶ月絞ることです。MENTAのプロフィール欄にはSNSアカウントへの導線を置けるので、プロフィール経由でその発信を読んだ方が「この人ならこのテーマで頼める」と判断する材料になります。テーマがその都度ぶれていると、判断材料になりません。
3つ目は、月に3人に「無料相談1回30分」を自分から声かけることです。掲載して待つだけでは指名は来ません。社外勉強会・同業のオンライン会・元同僚との連絡・知人の知人、声をかけられる相手はすでに身の回りにいます。掲載して待っているだけで指名が来ることはほぼありませんので、ここは動いてください。

まとめ:MENTAで在職中の1対1を組み立てる

MENTAは「教える経験を売る場」というよりも、「教える経験そのものを磨く場」として捉えると、最初の半年がぐっと前に進みます。手数料22%と振込300円の構造を頭に入れ、中位帯でプランを起こし、自分が学ぶ側のメンタリングを並走させる。この3点が揃った方が、契約ゼロから抜け出していかれます。
会社の現場で繰り返してきた業務は、社内では当たり前すぎて見えなくなっていますが、社外に出した瞬間に「希少なテーマ」に変わることが本当に多いのです。田所さんのように、人事の経験を「社外で売り物にならない」と思い込んだまま辞めてしまう前に、まず社外のメンターを3人持って、教わる側で半年過ごしてみてください。

教えるとは思っていなかった経験ほど、社外では指名のテーマになります。在職中の今、その経験を1対1で誰かに渡せる場所として、MENTAを使い始めるところから動かしてみてください。
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