記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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● 質問
起業準備を始めたいのですが、自分には人に誇れるような強みやスキルが何もない気がして、入口で止まっています。資格もなく、特別な実績もなく、ずっと普通に会社員をしてきただけです。
こんな自分でも、起業につながる強みを見つけることはできるのでしょうか?

● 回答
起業18フォーラムの会員に、Aさん(40代後半・物販企業に18年勤務・中学生と高校生のお子さんがいる)という方がいます。相談に来た当初は「資格も実績もない自分には、売れる強みなど何もない」と思い込み、起業の本を半年読むだけで一歩も動けずにいました。
「強みがない人」と「見つけ方を知らない人」は違う
同じように「強みがない」と言う方を、私は何人も見てきました。けれど話を聞いていくと、本当に何もない人はほとんどいません。違うのは、強みの有無ではなく、見つけ方を知っているかどうかなのです。
ここでAさんと、同じ頃に相談に来たBさんを並べてみます。Bさんは「資格や実績」を強みだと思って探していたので、何も見つかりませんでした。一方のAさんは、見る場所をずらした瞬間に、いくつも出てきたのです。強みは「資格や実績」の中ではなく、「人から頼まれてきたこと」の中に隠れています。
「何に詳しい人」と呼ばれてきたかを探す
拙著『起業神100則』に、「あなたは『何に詳しい人』と呼ばれているか?」という問いが出てきます。これが強み探しの一番の近道です。
Aさんの場合、本業で「在庫管理ならあの人」「クレーム対応はあの人に聞け」と社内で頼られていました。本人にとっては当たり前すぎて強みだと気づいていませんでしたが、外から見れば立派な専門性です。過去に人から「これ教えて」「これお願い」と頼まれたことを、思い出せるだけ書き出してみてください。そこに必ず手がかりがあります。
- 同僚が面倒がるのに、自分は平気だった作業
- 人から繰り返し相談された分野
- 長年やって、当たり前になっている段取り
こうした「自分には普通」のことほど、お金を払ってでも頼りたい人がいる中身です。資格より、この日常の中の専門性のほうが、はるかに役に立ちます。
なぜ「強みのない人」が動けないのか
強みが見つからないまま準備を続けるのは、実は危うい状態です。自分が何で役に立てるか分からないまま走り出すと、方向が定まらず途中で力尽きやすくなります。
個人の小さな事業は、長く続けることが何より難しいものです。中小企業白書でも、開業から年数を経るごとに事業をやめる割合が高まっていくことが示されてきました。続けられるかどうかを分けるのは、「自分の強みが活きる場所」を最初に定められたかどうかです。だからこそ、走り出す前の強みの棚卸しが効いてきます。
- 「資格や実績」だけを強みだと思って探す
- 自分の当たり前を「誰でもできること」と切り捨てる
- 強みが定まらないまま、なんとなく始めてしまう
Aさんはその後、起業18の勉強会で強みの棚卸しをやり直し、社内で頼られていた在庫管理のノウハウを、小さな店向けにやさしく伝える形に絞り込みました。最初の3か月は知人の店への無料アドバイスから始め、半年目に初めて有料の相談を受注したそうです。
今では本業を続けながら、毎月数件の相談を受けるところまで育っています。書き出したリストを眺めて、繰り返し頼まれてきたことを一つだけ丸で囲んでみてください。そこがあなたの最初の強みになります。

強みがないのではなく、まだ見つけていないだけです。今夜、これまで人から頼まれてきたことを書き出すところから始めてみてください。きっと、自分でも忘れていた一行が出てきます。
その一行を起点にすれば、強みは頭の中の評価ではなく、誰かの役に立った経験として見えてきます。
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