看護師や医療職が起業するとき守秘義務は問題になる? 正しい理解と始め方

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

看護師として病院に勤めていますが、将来は独立して訪問看護や健康相談のサービスを始めたいと考えています。先輩から「医療職は守秘義務があるから起業できない」と言われ、本当にそうなのか気になっています。

守秘義務は起業の障壁になりますか? 起業準備で気をつけることを教えてください。

起業前質問集

● 回答

「守秘義務があるから起業できない」は誤解です。守秘義務は、起業の障壁ではなく「患者さんのプライバシーをどう守るか」という運用上のルールです。この区別が明確になると、医療職でも起業準備は普通に進められます。

守秘義務が禁止していること・していないこと

保健師助産師看護師法第42条の2(守秘義務)が定めているのは、「業務上知り得た人の秘密を漏らしてはいけない」ということです。これは「特定の患者さんの情報を外部に漏らすな」という規制であり、「医療職が起業してはいけない」という規制ではありません。

  • 禁止されていること:特定の患者さんの氏名・病歴・検査結果・個人情報を、業務外で第三者に伝えること
  • 禁止されていないこと:自分の医療知識・経験・スキルを、起業のサービスに活かすこと
  • 起業準備中に注意すること:事例紹介や体験談を書く場合、特定個人が識別できる情報を使わないこと

守秘義務は、「誰の情報を外に出すか」の問題です。自分が知識・スキル・経験を活かしてサービスを提供することとは全く別の話です。

医療職が起業準備で選べるスタイル

拙著『1億円稼いでいる人は何をしているのか?』で紹介している「小さな売り買いの4タイプ」の中で、医療職が最もリスクなく始めやすいのは「教えてあげる系(ノウハウ型)」と「やってあげる系(スキル・サービス型)」です。

  • ノウハウ型:医療・健康に関する一般的な知識をセミナーや動画で届ける(特定患者の情報は一切不要)
  • スキル型:訪問看護・健康相談・産後ケアなど、専門スキルをサービス化する
  • 注意が必要なもの:「モノを渡す系」で医薬品を扱う場合は薬機法の確認が別途必要

起業18フォーラムの支援現場では、看護師・理学療法士・作業療法士など医療職の方が「健康相談を仕事にしたい」と相談に来るケースは増えています。その多くが守秘義務を正しく理解した上で、勤めながら健康セミナーや個別相談サービスを小さく始めています。医療の国家資格は、健康に不安を持つ多くの人から「専門家に話を聞きたい」という需要につながります。これは他の職種にはない強みです。

就業規則の確認は必須

守秘義務とは別に、勤務先の就業規則で兼業や会社外の収入活動が制限されている場合があります。収入を得る活動を始める前に、自社の就業規則を必ず確認してください。

厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、法律上は会社外の活動を一律に禁止する規定はないとされていますが、勤め先のルールは別物です。守秘義務と就業規則、この2点を確認した後に動き始めると、医療職でも起業準備は迷いなく進められます。

理学療法士が起業する始め方手順|保険外で収入を育てる在職中からの4ステップ
理学療法士(PT)として病院や施設で働きながら、「このキャリアを外でも活かせないか」と考える人が増えています。

守秘義務は起業の壁ではありません。医療の知識とスキルはそのまま商品になります。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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