記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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● 質問
独立して間もなく、知り合いの紹介で最初のお客さんが1人だけ取れました。ただ、そこから2人目、3人目がまったく続きません。交流会やSNSも試したのですが、見知らぬ人に一から売り込むのは苦手で、正直しんどいです。
営業が得意なわけでもない自分が、新規のお客さんを増やしていくには、何から手をつければいいのでしょうか?

● 回答
2人目、3人目のお客さんは、新しく探しに行くより、最初の1人に連れてきてもらうほうが、実は早く増えていきます。最初の1人を心から満足させることが、次の新規客を呼ぶいちばんの近道になります。
日本政策金融公庫の「2025年度新規開業実態調査」では、同公庫の融資先のうち融資時点で開業後1年以内の企業などを対象に調べた結果、開業時に苦労したこととして「顧客・販路の開拓」を挙げた割合は49.9%でした。最初の1人が取れても、次をどう続けるかで多くの人が足を止めるということです。だからこそ、探す方向を変える価値があります。
探すより連れてきてもらうほうが早い理由
見知らぬ相手への売り込みは、信用がゼロの状態から関係を積み上げる作業です。時間も気力も要りますし、断られるたびに気持ちがすり減ります。営業が得意でない人ほど、ここで消耗して止まってしまいます。
一方で、満足したお客さんの後ろには、同じ悩みを抱えた知り合いが何人かいるものです。その人からの紹介なら、あなたへの信用ごと相手に引き継がれます。ゼロから始める売り込みと、信用を土台にした紹介では、成約までの距離がまるで違います。
拙著『1億円稼いでいる人は何をしているのか?』の第5章では、お金の流れを一度きりで終わらせず、枯らさない仕組みづくりを紹介しています。売上を毎回ゼロから追いかけるのではなく、満足したお客さんが次のお客さんを連れてくる連鎖を、集客の土台に据えていく。その入口はやはり、最初の1人を心から満足させることに戻ってきます。
- 自分で探しに行く:
交流会やSNSで見知らぬ相手に一から関係をつくる時間と気力の消耗戦 - 最初の1人に連れてきてもらう:
満足した客が同じ悩みの知人へ橋渡しし、信用ごと引き継がれる横展開
同じ「新規のお客さんを増やす」でも、入口がまるで違います。営業が苦手だと感じているなら、後者に軸足を移すほうが、あなたの持ち味を生かせます。
富岡さんが紹介の輪を広げるまで
起業18フォーラムの会員に、富岡さん(仮名・60代前半)という方がいます。定年後、長年の経理経験を生かして個人事業主向けの記帳サポートを始めました。当初は知人の紹介で最初のお客さんこそ取れたものの、そこから2人目が来ず、「自分で営業しないと」と交流会に通っては空回りしていました。
転機は、勉強会で、同じ一人事業の会員が新規客の大半を既存のお客さんからの紹介で回している話し方に触れたことでした。他人の進め方を鏡にして、自分が探す方向を取り違えていたと気づいたのです。その後、起業18フォーラムの勉強会で、最初の満足をどう次の紹介につなげるか、頼み方とタイミングを整理していきました。
輪が広がり始めたのは、最初のお客さんに「同じように困っている方がいたら、私を思い出してもらえませんか」と一言添えてからでした。独立して1年目には、顧問先が1件から9件に増えていました。うち7件は、最初のお客さんから枝分かれした紹介でした。
引き受けた方の多くはその後も毎月続けてくれ、続いた方がまた次の方を連れてくる。現在は、営業に出かけなくても新規の相談が届くようになっています。紹介が紹介を生む流れが、太くなっていったのです。
紹介は待つものではなく頼むもの
紹介は運任せでは増えず、頼み方しだいで増やせます。多くの人は「良い仕事をすれば自然に紹介される」と考えて、待ってしまいます。実際には、満足してくれたその瞬間に、こちらから一言お願いするかどうかで、生まれる数が変わります。
- 期待を少し超える:
頼まれた範囲に、ひとつだけ小さなおまけを足す - 紹介先を具体的に伝える:
「どんな人の役に立てるか」を相手が言葉にできる状態にしておく - 満足したその場で頼む:
時間が空くほど言い出しにくくなるので、良い反応が返ったその日に
この下ごしらえがあると、頼む言葉が自然に出てきます。今日できるのは、満足してくれたその1人に「同じような方がいたら、私を思い出してもらえませんか」と一言頼んでおくことです。売り込みではなく、相手が誰かの役に立てる橋渡しのお願いだと考えれば、気持ちも軽くなります。
頼むのは一度きりでなくてかまいません。関係が続くお客さんには、折に触れて同じ一言を添えていけば十分です。
もう一つ、手が空いた時間にやっておきたいことがあります。最初のお客さんが「誰の・どんな悩み」に応えて満足したのかを、一度たどってみてください。そこに、次に連れてきてもらえる2人目、3人目の輪郭が見えてきます。

2人目が続かないと悩めるのは、最初の1人にきちんと向き合えた証拠ではないでしょうか。その誠実さこそが、次のお客さんを連れてくる一番の力になっていくはずです。
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