湯布院で起業するには? 由布市全域の観光需要を通販につなぐ設計

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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「湯布院みたいな観光地で、普通の会社員が起業なんて無理でしょう」。そう独り言をつぶやいて検索窓を閉じかけた方こそ、実は準備に向いた地の利を持っています。

ポイント 湯布院で起業準備するなら、観光客数より「勝負する場所」から先に決める

湯布院の派手さより常連が続く仕組みの優先

湯布院

湯布院を抱える由布市は人口3万人台、2021年時点で1,473事業所の街であり、2024年には市全域で年間429万人規模の観光客が訪れました。派手な観光の主役は老舗宿と大手が押さえていますが、その脇には、会社員のうちから入っていける差別化の余白が残っています。

この記事で言う「勝負する場所」とは、湯布院という地名だけで戦うのではなく、来た人が帰った後の暮らしまで含めて事業を組み直す意味です。派手な観光の入口で戦うと、資本の勝負に巻き込まれる。けれど視野をひとつ引くと、湯布院に来た人が地元に戻ってからも思い出すもの、湯布院を知らないけれど大分の何かを探している人、そうした層に届く商品や情報の余白は、想像より空いています。

ポイント 由布市全域の観光客429万人と、事業所1,473件の落差

由布市全域429万人と1,473事業所の落差

湯布院

由布市が公表した2024年の観光動態資料によると、湯布院を含む由布市の観光客は429万7,903人、うち外国人は144万4,387人で、前年を上回りました。全体に占める外国人比率は約34%です。外国人を除く観光客は、日帰り約176万人・宿泊約109万人という規模でした。

数字だけを見ると華やかですが、地元で事業を回している側の視界は違います。由布市の現行掲載値(2021年経済センサス、2021年6月1日基準)では、事業所数は1,473件、従業者数は1万6,053人です。宿泊・飲食・小売を含む地域の事業者にとって、観光客数と実際の来店や購入は同じ数字ではありません。

観光客数が多くても、すべての需要が個々の店に落ちるとは限りません。通過客だけを前提にすると計画が崩れる可能性があるため、会社員のうちに来店、購入、再購入のデータを小さく確かめると、「湯布院で店をやる」以外の切り口も見えてきます。

ポイント 湯布院で会社員から始めやすい3つの業種類型

湯布院で会社員から始めやすい3類型の比較

湯布院

湯布院で会社員が起業準備を組み立てるとき、事業の入口はざっくり3つに分かれます。それぞれ、必要な初期投資と、常連化に至るまでの時間感覚が違います。

  • 観光サービス型(宿・カフェ・体験ガイド):
    数百万〜数千万円になりやすい初期投資と単発客・価格競争への依存
  • 通販・湯治リピート型:
    湯布院の素材や体験を帰宅後も届ける通販・定期便と常連化までの時間
  • 体験・オンライン工房型:
    関係人口層へ地域資源を案内するオンライン講座・少人数ツアー

この中で、勤めながら準備を始めるならば、通販・湯治リピート型と体験・オンライン工房型、あるいはその組み合わせが現実的です。湯布院の観光客数を追うのではなく、湯布院に来た人が帰った後も続く関係を先に設計します。

この視点の切り替えを、拙著『朝晩30分 好きなことで起業する』では「小さな世界で一番になる」として紹介しています。狭くて深いポジションを自分で作れば、大手が入ってこられない領域が残るという考え方です。

ポイント 由布市商工会湯布院支所と大分県よろず支援拠点の使い分け

由布市商工会と大分県よろず支援拠点の活用手順

湯布院

湯布院で起業準備を進める会社員が最初に接する窓口は、大きく2つあります。ひとつは由布市商工会の湯布院支所(由布市湯布院町川上3064-7)。もうひとつは大分県よろず支援拠点です。受付方法や相談時間は変わることがあるため、訪問前に各窓口の公式ページで確認してください。

由布市は、中小企業庁の認定一覧に掲載された創業支援等事業計画に基づき、商工会などと連携して創業支援を行っています。市が発行する証明書の対象となる特定創業支援等事業を修了し、要件を満たして会社を設立する場合、登録免許税の税率は0.7%から0.35%へ軽減され、最低税額は株式会社で15万円から7.5万円、合同会社で6万円から3万円になります。

中小企業庁の案内では、証明書を取得した人は、創業関連保証の申込可能時期が通常より早まり、事業開始6か月前から利用できる場合があります。実際の利用には保証協会などの審査があるため、湯布院で法人化を視野に入れる方は窓口で要件を確認してください。

大分県よろず支援拠点は、売上拡大・IT活用・創業・事業承継などを無料で相談できる国の支援窓口です。電話やオンライン相談の実施状況は公式案内で確認できます。窓口は、相談したい課題を一つ書き出してから使うと、具体的な助言を受けやすくなります。

何をやるかがまだ見えない段階でも、公的支援窓口に現状を相談する方法と、勉強会などで商品案を整理する方法があります。利用する順番に決まりはありません。相談したい課題、顧客候補、必要資金のうち、今わかっている範囲を書き出してから、自分に合う窓口を選びます。

ポイント 湯布院の起業でよくある質問

湯布院で起業する時によく届く質問とその回答

起業前質問集

Q.湯布院で店を持たずに起業する場合、初期費用の目安はどれくらいですか?

通販や体験・オンライン工房型なら、10万〜30万円を仮の上限に置く組み方もあります。オンラインショップの利用料、初期の仕入れ、写真撮影、決済手数料などを一つずつ見積もり、食品・化粧品・旅行関連など業種ごとの許認可も確認します。店を構える場合は物件や設備で費用が大きく変わるため、勤めながら試す段階では家計を崩さない上限を先に決めるのが現実的です。

Q.由布市の特定創業支援等事業を受けると、具体的に何が有利になりますか?

由布市の特定創業支援等事業を修了し、市の証明書を取得するなどの要件を満たすと、会社設立時の登録免許税について、株式会社は最低税額15万円から7.5万円、合同会社は6万円から3万円へ軽減されます。創業関連保証を事業開始6か月前から申し込める場合もありますが、利用には別途審査があります。由布市や商工会の窓口で最新要件を確認してください。

Q.湯布院に移住する前に、二拠点でどれくらい通えばいいですか?

目安は「毎月何日そこにいるか」を先に決めることです。関係人口として3〜6ヶ月ほど通うと、地元の商工会・生産者・湯治客の顔が見えてきます。勤め先の在職を保ったまま通える範囲を維持して、事業の骨格が固まってから移住の判断を下しても遅くありません。

Q.由布市商工会と大分県よろず支援拠点は、どちらに先に相談すればいいですか?

湯布院で具体的に会社設立や地元での事業を考えているなら、由布市商工会の湯布院支所が入りやすい窓口です。業種や販路がまだ広い段階で複数の専門家に意見を聞きたい方は、大分県よろず支援拠点から始めるとテンポが合います。両方に話を通しても失礼にはなりません。ワンストップ相談は無料で、電話で問い合わせるだけでも十分な情報が得られます。

ポイント 今日、湯布院支所かよろず支援拠点にかける電話1本

今日、湯布院支所かよろず拠点への電話1本

point

今日できることは、由布市商工会の湯布院支所か大分県よろず支援拠点に電話を1本かけて「創業相談の窓口はありますか」とだけ聞くこと。それで十分です。地元で使える制度や相談日程など、一般検索だけでは整理しにくい情報を確認できます。

湯布院で暮らしながら自分の名前で仕事の依頼を受け取る日は、今日の電話1本から動き出します。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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