共働きで扶養に入っていません。世帯の収入を崩さず起業準備を進めるには?

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

共働きで、私は扶養に入っていません。夫の収入と合わせてやっと今の生活が回っているので、起業準備で世帯の収入を崩したくないのですが、こういう場合、何から手を付けていけばいいのでしょうか?

起業前質問集

● 回答

やりたい気持ちはある。でも、共働きで家計が回っている今、どこから手を付ければ世帯の収入を崩さずに準備できるのか、まだ霧の中。ご相談を読んで、たぶん今のあなたはそんな場所にいるのだと感じました。

結論からお答えすると、最初にやるのは「起業準備用の口座を家計用と分ける」ことです。世帯の生活費が入る家計口座は今まで通り触らず、準備で使うお金と入るお金だけを別の口座で回す。この一手だけで、夫婦の家計は今の水準を保ったまま、あなたの準備を並走させられます。

扶養に入っていないからこそ、逆算で見る

扶養に入っていない共働きは、パート層の「103万円の壁」「130万円の壁」を気にする段取りが要りません。壁を意識しながらの微調整ではなく、「世帯の可処分所得を1円も減らさない」を軸に、準備で足す一方の設計ができるということです。

ここは、正社員として働いている方が意外と見落とすところです。壁のない設計は自由度が高い反面、「じゃあ、どこから始めればいいのか」がぼやけがちになります。だからこそ、ゴールから逆算するのが早道です。

  • 3年後の姿:
    本業の収入は維持したまま、自分の名前で入ってくる収入が本業の月収の3割まで積み上がっている
  • 1年後の姿:
    毎月「入る/出る」がノートに書ける準備用口座を持ち、月に数万円が回り始めている
  • 3ヶ月後の姿:
    準備用口座が動き始め、家計用口座は前年と同じ残高推移で保てている
  • 今週やること:
    家計用と別の口座を1つ用意し、そこに準備の入出金だけを寄せる

逆算すると、今週やることは「口座を分ける」の1つに絞れます。大きな決断は要りません。週末の数時間を、家計用と別の口座を1つ作るところから使えば、それで準備の入口は開きます。

世帯の可処分所得を守る「フロー→ストック」の順番

拙著『1億円稼いでいる人は何をしているのか?』では、貯えを増やすストック思考から、お金の流れ(フロー)を増やす思考への転換を紹介しています。共働きで扶養に入っていない方が、世帯の収入を崩さずに準備を進めるとき、この順番はそのまま使えます。

順番はこうです。まず小さなフロー(入りの流れ)を1本作る。その流れが安定してきたら、次のフローを重ねる。フローが複数本になったところで、はじめて仕組み化してストック(放っておいても回るもの)に育てていく。最初から大きなストックを作ろうとして本業のリソースを削るのが、世帯の収入を崩す一番の入口です。

総務省の労働力調査をもとにした長期統計では、夫婦ともに非農林業雇用者である共働き世帯は2025年に約1,333万世帯まで増えています。数字が大きいので、あなたの状況は決して例外ではありません。共働きのままで自分の収入源を持ちたいと考える方の相談も、起業18フォーラムに実際に寄せられています。

起業18フォーラム会員・都倉さんの場合

起業18フォーラム会員の都倉さん(仮名・30代後半・IT企業総合職・女性)も、同じところから始めた一人です。ご主人と共働きで、扶養には入っていない。世帯の収入で今の暮らしが回っており、住宅ローンも動いている、というのが入会当時の状況でした。

都倉さんが最初にやったのは、家計用の給与口座とは別に、準備用の口座を1つ作ることでした。ご自身のスキルを活かした受託仕事を試すため、その入出金だけを準備用口座に寄せていったのです。

やり方を大きく変えたのは、勉強会で「本業の月収の何割まで積んだかで進度を測る」という考え方に触れたことでした。都倉さんはそれまで、「いくら稼げたか」の絶対額で自分を測っていました。金額だけを見ると、本業の月収と比べて心が折れる。そこで、割合で見る指標に切り替えたのです。

半年ほど動かしていくと、準備用口座の毎月の入金は本業の月収の3割ほどを占めるようになりました。金額の絶対値ではなく、割合で見えたことで「積み上がっている」実感が持てるようになり、本業を続けながらの準備が続いた、という流れです。家計用口座は入会前と同じ推移のままで、世帯の可処分所得は落ちませんでした。

家計と分ける口座の作り方は、この順番で

実際に手を動かすときの順番はシンプルです。今日から週末までの間で、次の3つを進められれば、準備の入口は開きます。

  • 1.家計用と別の口座を1つ用意する:
    既存の給与振込口座は家計用として動かさず、ネット銀行などで準備用の口座を新しく開く。屋号なしの個人名義で構わない
  • 2.準備の入出金だけを寄せる:
    準備で発生する売上・経費・受託の入金を、この口座だけで回す。家計用口座への振替は月末にまとめて1回だけと決める
  • 3.月末に「入る/出る」を1行ずつ書き出す:
    明細を印刷しなくてよい。今月いくら入って、いくら出たか、ノート1ページで足りる分だけを書き留める

ここで大事なのは、口座を分けることそのものが目的ではなく、世帯の家計と準備の家計を頭の中で分けて管理するためのしかけだ、という点です。口座が分かれていると、「今月の準備は赤字だった/黒字だった」が家計と混ざらずに見えます。判断の精度が上がり、必要以上に世帯の生活費を圧迫することがなくなります。

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● 質問 会社に勤めながら、いつか自分で何か始めたいと考えています。いざ準備しようとすると「起業ってトータルで

大きな決断は要りません。週末の数時間を、家計用と別の口座を1つ作るところから始めれば十分です。そこに準備の入出金だけを流せば、あなたの起業準備は世帯の収入を守ったまま、確かに動き始めます。

よくある質問

Q.準備用口座は屋号付きの事業用口座にしないといけませんか?

いいえ、最初は個人名義のままで問題ありません。準備段階では、家計用と物理的に分かれていることが大切です。屋号付き口座は、開業届を出して事業として動かすタイミングで検討すれば十分間に合います。

Q.夫にはいつ話せばいいですか?

口座を分ける段階で共有しておくのがおすすめです。世帯の家計を触らないことと、月末に「入る/出る」を1行だけ書き出して見せる、という運用を伝えると、家計を守りたい気持ちに沿った説明になります。

Q.準備で赤字が続いた場合はどうしますか?

準備用口座の中で赤字が続いても、家計用口座に振替なければ世帯の可処分所得は減りません。撤退の判断は、口座を分けていれば数字で見えます。「準備用口座の残高が◯円を下回ったら見直す」と最初に決めておくと、感情ではなく数字で判断できます。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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