記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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● 質問
起業準備を進めるなかで、知人からなんとか最初の一件を受注できました。うれしかったのですが、その後が続きません。一回やってもらって終わり、という感じで、二件目の依頼も、別のお客さんも現れないのです。
せっかく取れた最初の受注を、一回きりで終わらせずに次につなげていくには、何をすればいいのでしょうか?

● 回答
最初の一件を取れたこと、まずそれ自体が大きな一歩です。多くの方が、その最初の一人にたどり着く手前で止まりますから。そのうえで、なぜ続かないのかを一緒に解いていきましょう。
続かない理由として、よくある思い込みが三つあります。順番に向き合っていくと、次の扉が見えてきます。
「いい仕事をすれば、また呼ばれるはず」という思い込み
一つ目は、品質さえ高ければ自然にリピートが来る、という考えです。気持ちはわかります。けれど現実には、お客さんは満足しても、次に困ったときにあなたを思い出すとは限りません。仕事の出来とは別に、「また何かあったら声をかけてください」とこちらから一言伝えておくかどうかで、二件目の有無は大きく変わります。終わったあとの一言が、次の入口を開けておく鍵になります。
「一回で完結する商品」になっていないか
二つ目は、そもそも一回で終わる形でしか売っていない、という構造の問題です。単発で終わる作業をその都度ゼロから探していると、いつまでも自転車操業になります。同じお客さんがもう一度頼みたくなる「続きの提案」を、最初の納品とセットで用意しておくことが大切です。
仕上げて渡すだけでなく、その後の運用や見直しまで含めて寄り添える形にすると、関係が一回では終わらなくなります。今の商品に「納品後の見直し」を一つ足せないか、紙の上で一度だけ考えてみてください。
「最初から完璧を目指しすぎ」ていないか
三つ目は、一件ごとに気負いすぎて、数をこなせていないケースです。拙著『会社員が働きながら月30万円を稼ぐ起業法』では、立ち上げ期は1勝9敗の世界であり、知り合いに頭を下げて感想をもらいながら一件ずつ積む地道な営業こそが土台になると紹介しています。最初の一件で力尽きるのではなく、似た相手にあと数件、同じように声をかけてみることです。打席に立つ回数が増えれば、続く相手も自然と現れます。
では、実際にこの壁を越えた方の話をご紹介します。
起業18フォーラム会員の真柴さん(仮名・30代後半・男性・メーカーの経理職・妻と未就学の子)は、勤め先で頼まれた経理業務を、知人の個人事業主相手に有料で引き受けたのが最初の一件でした。喜ばれたものの、そこから二件目につながらず、「自分のやり方ではこれ以上は無理なのか」と感じていたそうです。
流れが変わったのは、起業18フォーラムの勉強会で、他の会員が語った最初の受注の話を聞いたときでした。その人は、納品して終わりにせず「毎月の数字の見方を一緒に振り返りましょうか」と継続の形で提案していたのです。真柴さんは「自分は売り切りで考えていた」と気づきました。その後、会員仲間と互いのやり方を見せ合いながら、単発の記帳代行を、月ごとに伴走する形へと組み直していきました。
準備を始めて4ヶ月目、最初のお客さんが「毎月お願いしたい」と継続契約に切り替わり、月5万円の安定した入りができました。真柴さんは「一件を続く関係に変えられたことが、何よりの自信になった」と話してくれました。
最初の一件は、ゴールではなく入口です。今日できることは、その一件を引き受けてくれた相手に「また何か困ったら声をかけてください」と、短くていいので一言連絡してみることです。呼ばれるのを待つのではなく、扉を開けたままにしておくところから、二件目は始まります。

一件を取れたあなたは、すでに「お金をもらって成立するか」という一番大きなテストを通過しています。あとは、その関係を続く形に整えるだけです。同じ立場で悩んでいた方を何人も見てきましたが、こうして次を考えられている時点で、あなたはもう前に進み始めています。
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