起業の情報収集ばかりして動けないのはなぜ? まだ何も始めていない人の最初の一歩

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

起業に興味が出てから、本やネットの記事、無料セミナーの動画をずっと見ています。詳しくはなってきた気がするのに、自分が何をすればいいのかは前より分からなくなりました。

まだ何も始めていない状態で、ここから最初の一歩はどう踏み出せばいいのでしょうか?

起業前質問集

● 回答

情報を集めれば集めるほど動けなくなる、という感覚はよく分かります。私のこれまでの起業支援の現場でも、いちばん多いのがこのつまずき方です。

  • 情報を集めるほど選択肢が増える:
    やることの候補が増え続けて、どれから手をつけるか決められなくなる
  • 「まだ知らないこと」が次々見つかる:
    学ぶほど未知の領域が見え、準備が一生終わらない感覚に陥る
  • 集めた知識が自分の状況とつながらない:
    他人の成功談ばかり頭に入り、自分が誰に何を売るのかは空白のまま
情報が増えても動けない本当の理由

これは知識が足りないから動けないのではありません。集めた情報を「自分の目の前の一人」に向けて使う作業を、まだ一度もしていないから動けないのです。入口でつまずく方の多くが、ここを飛ばしたまま情報だけを増やし続けています。

情報収集の沼にはまった会員さんの話

起業18フォーラムの会員さんで、中堅の物流会社で配車を担当していた浅倉さん(仮名・40代前半・既婚・勤続18年)も、まさに同じ状態で相談に来られました。起業の本を15冊ほど読み、有料の動画講座もいくつか購入し、ノートには学んだことがびっしり書かれていました。

ところが「で、誰に何を売るのですか」と聞くと、答えがまったく出てきませんでした。自己流で半年以上、情報を集めることだけを続けていたのです。本人いわく「準備しているつもりで、いちばん肝心なところに手をつけていなかった」とのことでした。

転機になったのは、地域の起業者向け掲示板でたまたま目にした「集めるのをやめて、たった一人に話してみよう」という書き込みでした。浅倉さんは配車で培った段取りの経験を活かし、小さな運送会社を営む知人ひとりに「配送ルートの組み方を整理しませんか」と声をかけました。最初の相手はその知人ひとりだけでした。そこから小さく改善を重ね、現在は会社に勤めながら月4万円ほどの相談業務につながっています。

「自分には市場が小さすぎる」という思い込みを外す

情報収集を続けてしまう人の奥には、「こんなニッチなことに需要があるはずがない」という不安が隠れていることが多いです。だからもっと大きく当たるネタを探そうとして、また情報集めに戻ってしまいます。

そのぶん、市場規模の見積もりを一度ゆるめてみると、足が軽くなります。拙著『会社を辞めずにあと「5万円!」稼ぐ』に、こんな考え方を書いています。日本の人口のわずか0.1%に当たる人があなたのテーマに反応し、そのまた0.1%が実際に動いたとしても、国内になお百人前後のお客様が残る、という見方です。

狭いと感じるニッチでも、国内には十分な数の相手がいます。浅倉さんの「配送ルートの整理」も、世間から見ればごく狭い分野でした。それでも困っている人はちゃんと存在したのです。

  • テーマを広げない:
    当たりそうな大きい分野を探すほど、自分の経験から遠ざかる
  • 相手を一人に絞る:
    顔の浮かぶ知人ひとりに向けて言葉を作ると、内容が一気に具体的になる
  • 反応を見てから次を考える:
    完璧な計画より、一人の反応のほうが正確な情報になる
情報を「集める」から「ぶつける」へ切り替える

では、まだ何も始めていない今、何をすればいいのでしょうか。やることはひとつだけです。集めた情報を、実在する一人にぶつけてみることです。

厚生労働省の令和6年度能力開発基本調査では、自己啓発を行ううえでの問題として「どのようなコースが自分のキャリアに適切なのかわからない」と答えた正社員が22.1%にのぼりました。学ぶ意欲のある人ほど、何を選べばいいか分からなくなる傾向が数字にも表れています。だからこそ、選ぶための情報をさらに足すのではなく、手元にある経験を一度外に出してみる順番が効きます。

今日できることは、これまで読んだり調べたりした中で「これは自分も人に話せそうだ」と思えたテーマを一つだけ選び、その話を聞いてくれそうな知人の名前を一人書き出すだけで十分です。

情報は、動き出してからのほうが正確に集まります。集める手を止めて、一人に話す日を決めてみてください。その一人が反応してくれたとき、半年分の遠回りが初めて意味を持ちはじめます。


さらに詳しく知るには、以下より検索してみてください!
記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

起業アイデア診断
【起業セミナー】会社員のまま始める起業準備・6ヵ月で起業する!

【動画セミナー】あなたのタイミングで学べる動画版もあります!

ポイント この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます!