記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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仕事をしながら起業の準備を進めたい。その気持ちはあっても、平日はあっという間に一日が終わってしまう。多くの人がここでつまずきます。
ただ、よく聞いてみると「時間がない」のではなく、準備の時間を一日のどこに置くかを決めていないだけ、という場合がほとんどです。準備は、置き場所を先に決めると動き出します。
この記事では、朝・昼休み・通勤・夜・週末という五つの場面を取り上げ、それぞれにどんな準備が向いているかを具体的に整理します。一日まるごとを空けようとせず、細切れの場面に役割を割り当てる発想へ切り替えていきましょう。同じ24時間でも、置き方を変えるだけで進み方は大きく変わってきます。
朝の30分は頭が一番冴える「考える」時間

一日の中でまず確保したいのが朝の30分です。起きてすぐの時間は、メールも電話も来ません。頭が静かで、いちばん深く考えられる時間帯です。
ここに置くべきなのは、企画やアイデアの整理といった思考系の作業です。どんな人の役に立ちたいか、何を売るのか、紙に書き出していきます。夜に同じことをやろうとすると、一日の疲れで頭が回らず、手が止まりがちになります。
朝はやることを前の晩に決めておくと、起きてから迷いません。今朝は誰に向けたサービスかを一行で書く、と決めておくだけで30分が濃くなります。
総務省統計局の社会生活基本調査(令和3年)でも、人々の一日は睡眠や仕事といった必要な時間と、自由に使える時間に分かれていることが示されています。🔴その自由時間のどこを準備にあてるかは、自分で設計するしかありません。朝はその設計の起点になります。
通勤時間はインプット専用にすると無理がない

通勤の往復は、手を動かす作業には向きません。揺れる電車やバスの中で資料は作れないからです。だからこそ、ここはインプット専用と割り切ります。
向いているのは、音声での学習や読書です。起業の体験談を聴く、業界の動きを記事で追う、気になる本を少しずつ読み進める。手を使わずにできることを、この場面に集めていきます。
通勤時間は全国平均で往復およそ1時間19分とされ、毎日ほぼ同じ長さで発生します。社会生活基本調査でも通勤・通学は多くの人の生活時間に組み込まれた行動として扱われており、ここを学びの時間に変えるだけで、積み上がる量はかなり変わってきます。
行きは新しい知識を入れ、帰りは今日考えたことを頭の中で振り返る。役割を分けると、同じ移動が二度働いてくれます。
昼休みの15分は小さな連絡や調べ物に向く

昼休みは長くは取れません。だからこそ、まとまった作業ではなく、短く終わる用事を置きます。
たとえば、興味のある人へのメッセージ送信、参考になりそうなサービスの料金を調べる、申し込みたい説明会の日程を確認する。どれも5分から15分で終わる、軽い実務です。
ここでの注意は、欲張らないことです。昼休みに重い作業を入れると、午後の仕事に響きます。あくまで「ついで」にできる範囲にとどめ、頭を切り替えるつもりで手を動かすくらいがちょうどよいでしょう。
無理に成果を出そうとせず、午後への助走くらいに考えておくと続きます。昼の枠は、種まきの場面だと割り切ってしまいましょう。
夜の30分は発信と振り返りにあてる

夜は一日の疲れが残る時間です。新しく深く考えるより、すでにあるものを外に出したり、記録したりする作業が向いています。
具体的には、SNSでの短い発信、その日に集めた情報の整理、明日の朝に考えることのメモです。発信は完璧を目指さず、一言でもいいから続けることを優先します。
朝に30分、夜に30分。これで一日1時間です。1日1時間でも、3か月続ければ90時間、半年で180時間になります。まとまった休みを取らなくても、これだけの準備時間が積み上がります。
時間が足りないと感じるときほど、夜にあれもこれも詰め込みたくなります。けれど夜は店じまいの時間です。広げるのは朝、たたむのは夜と決めておくと、一日のリズムが整います。
週末は平日にできない「人に会う・試す」を置く

平日の細切れでは難しいことを、週末に回します。代表的なのが、人に会うことと、まとめて試すことです。
準備中のサービスについて、知り合いに感想を聞く。実際に小さく売ってみて反応を見る。こうした検証は、ある程度まとまった時間がないとできません。作る前に聞く、小さく試す。この二つを週末の柱にします。
ただし、週末をすべて準備で埋める必要はありません。月に二回、午前中だけでも検証の時間を取れれば十分に前へ進みます。家族との時間や休息も、長く続けるためには欠かせない要素です。
平日に種をまき、週末に確かめる。この往復ができると、準備は机の上の計画で終わらなくなります。実際に人の反応に触れると、次の平日の作業の中身も自然と変わってきます。
会員の例にみる、場面割り当てで進んだ準備

起業18フォーラム会員の田村さん(仮名・48歳・メーカー勤務)は、最初の面談で「平日はとても無理です」と話していました。50代を目前に、日々の仕事に追われ、準備の時間がまったく取れないという状態でした。
そこで一緒に、五つの場面に作業を振り分けるところから始めました。朝は企画、通勤は学習、昼は連絡、夜は発信、週末は検証。一日まるごとではなく、すでにある場面に役割を割り当てただけです。
最初の1か月は、朝に起きられない日もありました。それでも続けるうちに、朝の30分が習慣になり、通勤中の学習も身についていきました。半年が過ぎたころには、週末に試作サービスの感想を聞ける相手が数人できていました。
12ヶ月目には、この方は本業を続けながら月3万円ほどの小さな受注を取れるところまで進みました。本人いわく、変わったのは時間の量ではなく、どこで何をやるかを決めたこと。置き場所が決まると、迷う時間そのものが減っていきます。
まとめ:時間は作るより、置き場所を決める

起業準備の時間は、新しく生み出すものではなく、すでにある一日の場面に役割を割り当てて作るものです。朝は考える、通勤は学ぶ、昼は片づける、夜は出す、週末は試す。
この五つを決めるだけで、まとまった休みを取らなくても準備は前へ進みます。大切なのは、完璧な計画より、続けられる小さな枠を毎日回すことです。
まずは明日の朝、30分だけ机に向かってみてください。置き場所がひとつ決まれば、残りの場面も自然とつながっていきます。

よくある質問

Q.朝がどうしても苦手です。夜だけで準備を進めてもよいですか?
無理に朝型にする必要はありません。ただ、考える作業は頭が疲れていない時間のほうが進みます。夜中心にするなら、帰宅直後のまだ余力がある時間を思考にあて、就寝前は軽い振り返りに回すなど、夜の中でも役割を分けてみてください。
Q.通勤が車で、手も耳も自由になりません。どうすればよいですか?
運転中は安全が最優先です。音声学習が難しければ、信号待ちや到着後の数分で、今日考えたいことを一つだけ思い浮かべる習慣にしてみましょう。通勤を学ぶ場所と決められないなら、その分を朝か夜の枠に足して調整します。
Q.一日1時間でも本当に準備は進むのでしょうか?
進みます。一日1時間でも半年で180時間になります。問題は量より続くかどうかです。毎日できなくても、できた日を数えていくほうが長く続きます。少ない時間を責めず、積み上がった分に目を向けてください。
Q.週末も家族の予定で埋まり、検証の時間が取れません。どうすればいいですか?
毎週でなくて構いません。月に一度でも、午前中の二時間だけ確保できれば検証は進みます。家族に準備の話を少しずつ共有しておくと、協力を得やすくなります。まずは一回分の予定を、先に手帳へ書き込むところから始めましょう。
Q.五つの場面、全部やらないと意味がないですか?
全部そろえる必要はありません。まずは朝の30分だけでも十分です。一つの場面が習慣になってから、通勤や夜へ少しずつ広げてください。一度に増やすと続きにくくなります。小さく始めて、無理のない範囲で増やすのがこつです。
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