記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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● 質問
育休が明けて時短勤務で職場に戻ったのですが、毎日が育児と仕事で精一杯です。いつかは自分の力でも稼げるようになりたいと思っているものの、まとまった時間が全く取れません。
こういう状況でも起業準備は進められるのでしょうか? 何から手をつければいいのか、順番を教えてもらえますか?

● 回答
時短勤務で時間がない時期こそ、起業準備は「時間を増やす」のではなく「進める順番を変える」ことで前に動きます。まとまった2時間を待っていると、復帰後の1年はあっという間に過ぎてしまいます。私がこれまで支援してきた中でも、育児期に動き出した方の多くは、すきま時間の使い方を組み替えただけで半年後にはっきり手応えをつかんでいました。
順番を間違えると「情報を集めるだけで終わる」状態に陥りやすいので、最初の1ヶ月でやることを3段階に分けて見ていきましょう。
まず「時間がない」の正体を分解する
時短勤務の方が最初にやるべきは、起業のアイデア探しではありません。1日のうち「自分が判断に頭を使わずに過ごしている時間」がどこにあるかを1週間だけ記録することです。
通勤電車の15分、子どもが寝た後のスマホ時間20分、昼休みの後半10分。こうした細切れの時間は、まとまった作業には向きませんが、「考える材料を集める」「メモを書く」といった準備作業には十分に使える時間です。
公的統計でも、子育て期の女性は家事・育児に充てる時間が長く、自由に使える時間が細切れになりやすいことが示されています。だからこそ、最初に必要なのは時間を作ることではなく、すでにある細切れ時間を「準備に使える時間」として可視化することなのです。
本業の経験を「売れる形」に置き換える
次の段階は、ゼロから新しいスキルを学ぶのではなく、今の仕事で当たり前にやっていることを棚卸しすることです。育児期は学習に充てる時間が限られるため、本業の延長線上にある強みから始めるのが現実的です。
たとえば起業18フォーラム会員の万代さん(仮名・38歳・SaaS企業のカスタマーサクセス担当・4歳の子あり)は、復帰直後は「時短の自分には何も売るものがない」と感じていました。最初は流行のオンライン物販に手を出したものの、仕入れと発送に時間を取られて続かず、半年で行き詰まってしまいます。
勉強会で自分の業務を分解したところ、日々やっていた「導入企業への伴走サポート」が、中小企業にとってお金を払ってでも欲しいスキルだと気づいたそうです。そこからSaaS導入の伴走支援を月5万円で3社に提供する形に切り替えると、勤めを続けたまま、14ヶ月目には月20万円が続く状態にたどり着きました。
- 通勤・寝かしつけ後・昼休みの細切れ時間を1週間記録
- 本業で「人に頼まれてやっていること」を20個書き出す
- その中で社外の人が困っていそうなものに印をつける
拙著『会社員が働きながら月30万円を稼ぐ起業法』にも書いたのですが、収入には段階があり、いきなり大きな金額を目指すのではなく月数万円のSTAGEから積み上げていきます。育児期はこのSTAGEの最初の一段を、無理なく登れる高さに設定することが何より大切です。最初から退職後の独立を描く必要はありません。
最初の1ヶ月の具体的な進め方
第1週は時間の記録、第2週は本業スキルの棚卸し、第3週は棚卸しした項目から「これなら知人に話せる」というテーマを1つ選び、第4週はそのテーマで困っていそうな人を身近に1人探す。ここまでで十分です。商品を完成させようとせず、まずは身近な一人の困りごとを見つけることだけに集中してください。
時間を増やそうとせず、いまある時間の輪郭を知ることが、時短勤務での起業準備の出発点になります。
今週は「自分の自由時間がどこにあるか」を1週間だけメモすることから始めてみてください。

育児期は誰にとっても時間が足りません。それでも、細切れの時間を準備に向け直せば、復帰後の1年は「気づいたら過ぎていた時間」ではなく「少しずつ積み上げた時間」に変わります。
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