記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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● 質問
金融業界の管理職、40代前半・独身です。起業準備を18ヶ月続けていますが、自分の管理職経験が起業に活かせる実感が持てません。経験を商品にする棚卸しの順番を教えてください。

● 回答
現職のうちに管理職経験を棚卸しする順番を、4段階で見ていきましょう。18ヶ月準備を続けて手応えがないのは、能力が足りないからではなく、棚卸しの「単位」が大きすぎる場合がほとんどです。経験を「人に売れる単位」に分解するだけで、半年後の商品化の景色が変わります。
STEP1|過去5年の「人から頼まれた仕事」を50個書き出す
管理職の経験は、自分では当たり前すぎて棚卸しが進まない方が多くいます。まず、過去5年間で社内や取引先から「頼まれたこと」を、依頼者の顔と一緒に思い出して50個書き出してください。新人指導、面談設計、クレーム対応の代行、他部署との調整、決裁書のドラフト作成、後輩のキャリア相談など、業務内外を問わず書きます。
50個並べると、自分の「頼まれやすい仕事」の傾向が見えてきます。市場が欲しがる経験とは、自分が何度も頼まれてきた仕事そのものです。50個のうち頻度の高い上位5つが、商品化の出発点になります。
STEP2|「30分の壁打ち」が成立する単位に分解
頻度の高い上位5つを、さらに「30分で誰かに価値提供できる単位」に細かく分けます。たとえば「人事面談の設計」という大きな塊なら、次のように分解できます。
- 面談前のヒアリングシート設計の壁打ち
- 退職意向のある社員への切り出し方の相談対応
- 評価面談で部下の本音を引き出す質問設計
- 面談後の上司への報告書テンプレ提供
- 面談記録のクラウド整理ルールの設計助言
1つの大きな経験が、30分単位の商品5つに分解できます。分解の単位を「30分の壁打ちで終わる」サイズまで小さくすると、自分でも提供できると思えるようになります。
STEP3|知人3人に「使ってもらえそうか」を聞く
分解した30分単位の商品候補から1つだけ選び、業務上で接点のある知人3人に「こういう30分の壁打ちがあったら、頼みたい場面があるか」を聞いてみます。料金は最初の1件は無料、2件目以降は3,000円〜5,000円の試験価格で構いません。
拙著『朝晩30分 好きなことで起業する』に「経験は売り物になるかどうかではなく、誰の何のお役に立つかで決まる」という考え方があります。3人に聞くと、「自分が当たり前と思っていたこと」が、相手にとって有料で頼みたいレベルの専門性だったと気づく瞬間が必ず訪れます。
STEP4|6ヶ月後の景色を先に決める
金融業界で管理職を10年やってきた経験は、独立系FP、中小企業の総務担当者、保険代理店の経営者など、想像以上に幅広い相手に響きます。6ヶ月後の到達目標を「30分の壁打ちを月10件・累計60件こなす」など、具体的な件数で固定しておくと、毎週やることがブレません。
18ヶ月の準備が無駄だったわけではありません。これから半年、ノートに溜め込んだ知識を「30分単位の壁打ち商品」に変換する作業に切り替えてください。今夜、過去5年で頼まれた仕事を50個書き出すところから始めれば、土曜の朝には上位5つが見えています。
管理職の経験は、組織を抜けたら使えない、という思い込みを一度横に置いてください。社内で何度も頼まれてきたという事実は、市場の外でも別の名前で同じ役割を求められるサインです。書き出しの50個から、半年後の景色が動き始めます。
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