記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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長崎県対馬市は、九州本土と韓国・釜山の間に浮かぶ国境離島です。福岡から飛行機で約35分、博多港から高速船で約2時間15分。海・山・歴史・国境という、ほかの島にはない複合した文化資源を持ちながら、人口減少と高齢化の影響を強く受けてきた地域でもあります。
本記事では、対馬で勤めながら起業準備を始める場合の現実的な道筋と、二地域居住・関係人口モデルを含めた選択肢を整理します。いきなり移住するのではなく、東京や福岡と対馬を行き来する形から始める設計も、選択肢として持っておいてください。
対馬で起業準備を始める前提

対馬市の人口は、総務省「人口推計」によれば長期にわたって減少傾向が続いており、高齢化率も全国平均を大きく上回る水準で推移しています。地域の暮らしを支える担い手不足が深刻化する一方で、国境離島という地理的・文化的な特性は、ほかの離島では持ち得ない固有の起業機会を生み出してきました。
中小企業庁「2026年版 中小企業白書・小規模企業白書」(2026年4月24日閣議決定)では、労働供給制約社会を背景に、中小企業が「稼ぐ力(労働生産性)」を高め「強い中小企業」へと成長することが主要テーマとして取り上げられています。
対馬の場合、加えて国境離島新法(有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法・2017年施行)に基づく雇用機会拡充事業や移動コスト負担軽減事業など、国境離島ならではの支援施策が整っていることが大きな特徴です。
知っておきたい支援施策

対馬市内には、勤めながら起業準備中のかたが将来活用できる支援施策がいくつかあります。重要なのは、いま駆け込むことではなく、方向性が固まったあとに使う道具として知っておくことでした。
- 対馬市の移住・定住支援:
住居・仕事・暮らしの相談窓口、対馬しごとサポートセンター - 国境離島新法に基づく雇用機会拡充事業:
対馬で創業・事業所新設・事業拡大する事業者への補助制度 - 移動コスト負担軽減事業:
対馬と本土間の航路・航空運賃について、島民等を対象にした運賃低廉化の仕組み - 日本政策金融公庫長崎支店:
女性・若者/シニア起業家支援関連融資の窓口
こうした施策は、やりたい方向が固まってから活用すると力を発揮します。「何をやるか」が定まらないまま窓口を訪ねると、相談の焦点が絞れないまま終わりがちです。方向性を固める時間を、まず半年確保するほうが先になります。
対馬で見える3つの起業機会

対馬で勤めながら動ける起業の方向性は、大きく次の3つに分けられます。
- 地域資源活用型:
対馬の海産物(穴子・烏賊・対州そばなど)・対馬独自の文化資源をオンライン販売・体験型観光につなぐ形 - 暮らしの担い手不足解消型:
高齢者向け生活サポート・地域内配送・空き家管理・移住者向け住居仲介など - 二拠点・関係人口型:
東京や福岡に勤め先を残しながら、対馬の地域コンテンツを発信・サポートする形(観光ガイド・移住相談・特産品紹介など)
拙著『会社で働きながら6カ月で起業する』にも書いたのですが、地方で勤めながら動く人はSTAGEを区切って、最初のSTAGEは「現地で何が困っているか」を聞き取る期間に充てるのが現実的でした。
商品設計を急がず、現地の声を100個ほど集めると、自分が立つべき位置が自然と決まってきます。
二地域居住型の歩き方(事例イメージ)

対馬のように移住ハードルの高い島では、いきなり移住を決断するのではなく、関係人口として通い始める形のほうが、結果として地域にも自分にも続きやすい設計になります。
人口規模の小さい島では、仮名の会員さん事例を作ることが地域の方々の特定につながりかねないため、本記事では地域パターンの一般像として記述します。
東京や福岡の40代・50代の会社員のかたが、月1回ペースで対馬に通い、まず地元の事業者・生産者・行政の窓口と顔のつながりを作っていく。準備6ヶ月目から12ヶ月目までかけて困りごとを聞き集め、自分のスキルや本業経験と重なる領域を見つけてから、小さく試す。これが関係人口型の典型的な歩き方です。
日本政策金融公庫の「2025年度新規開業実態調査」によれば、開業費用は平均975万円、中央値600万円と少額化傾向が続いており、関係人口型の小規模なスタートも現実的な選択肢として位置づけられます。
対馬で「いつかは移住して何かを始めたい」と思っているかたほど、まず東京と対馬の二拠点で半年〜1年通うところから始めてみてください。
対馬で起業準備を続ける順番

対馬で起業準備を続けたいかたには、次の順番をお勧めしています。
- STEP1 まず起業18フォーラムの動画・セミナーで起業の基礎と全体像を学ぶ
- STEP2 対馬の地域固有の困りごとと魅力を100個メモする(3〜6ヶ月かけて構わない)
- STEP3 方向性が見えてきたら、対馬市の移住・定住相談窓口や対馬しごとサポートセンターを使い始める
- STEP4 二拠点で始める場合は、最初の半年は移住せず、月1〜2回の往復で関係人口として動く
対馬の起業は、国境離島という条件と一緒に進むことになります。離島であることを制約と見るのではなく、離島だから残っている課題を起点に動くと、地域にも自分にも続きやすい形が生まれます。

地方・離島で勤めながら始める準備は、急がずに2〜3年単位で組み立てるのが現実的です。今夜まず、対馬で気になる地域の魅力や困りごとを3つだけメモしてみてください。その3つのメモが、次の一歩の方角を教えてくれます。
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