記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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● 質問
30代前半・男性・独身でフリーランスのWebデザイナーを目指して起業準備を始めて18ヶ月になります。本業の合間に夜活で副業を続け、SNSのフォロワーは800人まで増えました。
デザインのスキルや実績はあるのに、問い合わせが月に1件あるかないかで止まっています。自己紹介を書き直しても、ポートフォリオを更新しても、何も動きません。
発信が足りないのか、それとも自分には商品にする中身がないのか、判断ができません。どうすればいいでしょうか?

● 回答
拙著『朝晩30分 好きなことで起業する』にこんな言葉があります。「売れない理由はあなたの魅力不足ではなく、商品の輪郭不足にある」。発信を増やしても売れないのは、商品の輪郭が決まっていないからで、自己紹介を磨いても解決しません。
支援を続けてきた現場でも、SNS発信を1年以上続けて止まる方を何人も見てきましたが、共通点はほぼ1つで、商品の輪郭が抜けたまま発信していたことでした。
商品の輪郭とは、「誰の/どの場面の/何分の不安を/いくらで/どう減らすのか」を1行で言える状態です。輪郭が決まっていない状態でいくら自己紹介を書き直しても、読者は「あなたに何を頼めばよいのか」が分からないため、問い合わせが起きません。
1万円で売れる最小商品の3問
商品の輪郭を決める入口は、1万円で売れる最小商品を1つ作ることです。1万円という価格は、買い手の心理的ハードルが下がる帯で、Webデザイナーの場合は売れる証拠を作る最初の単価として現実的です。最小商品の輪郭は、次の3問に答えると立ち上がります。
第1問:誰の悩みを解決するのか。「Web制作を頼みたい中小企業の社長」では曖昧すぎます。「社員30人以下の士業事務所で、顧客向けLPを月1本作って配信したい代表」のように、業種・規模・場面まで絞ります。
第2問:どの場面のどの不安を解決するのか。「LPの修正に何度もデザイナーとやり取りするのが面倒」「自分の事務所の強みをデザイナーに伝えきれない」「修正のたびに費用がかさむのが怖い」など、買い手の頭の中の具体的な場面を1つ選びます。
第3問:何分・どこまでの不安を、いくらで、どう減らすのか。「60分のZoomヒアリング+LP1枚の初稿納品+2回までの修正対応で、1万円」のように、時間・成果物・修正回数・価格を1行で書き切ります。
最小商品が決まると発信の内容が変わる
最小商品の3問に答えた瞬間、発信の内容が一変します。これまで「Webデザインのトレンド」「ポートフォリオの新作」を発信していた内容は、「士業事務所のLPでよくある3つの失敗」「60分でLP初稿を作る手順」「修正費用が膨らむ原因と対策」に変わります。発信のテーマが買い手の頭の中の場面に合った瞬間、フォロワー数が同じでも問い合わせ率は10倍以上に変わります。
起業18フォーラム会員の永田さん(仮名・30代前半・男性・独身・Web制作会社8年勤務・夜活で起業準備18ヶ月目・拡張期で停滞)は、在職中の起業準備として個人向けのWebデザイン受託を続けていました。
SNSフォロワー1,200人で月の問い合わせは0〜1件、月収はゼロが続いていました。「もう何を発信すればいいか分からない」と勉強会に来られたのが転機でした。
勉強会で最小商品の3問を埋め直し、ターゲットを「税理士事務所で顧客向け確定申告ガイドのLPを毎年作っている代表」に絞り、商品を「60分ヒアリング+確定申告ガイドLP初稿+2回修正で9,800円」に設定しました。
発信を税理士事務所のLP事例に切り替えて3週間で、最初の問い合わせが入り、そのまま成約。半年後には月4件の継続契約が入る状態になり、月収は5万円を超えました。発信量はむしろ減ったのに、問い合わせが10倍に増えた具体例です。
自己紹介より商品の輪郭を先に作る
商品の輪郭が決まる前に自己紹介を磨いても、読者は「あなたに何を頼めばよいのか」が分からないため、問い合わせは起きません。自己紹介は「商品の輪郭」が決まった後で、その輪郭の信頼性を高めるために使うものです。順番が逆になると、いくら時間をかけても動きません。
中小企業庁『2024年版 小規模企業白書』では、自社の強みを言語化し、それを積極的に対外発信している事業者ほど、2019年比で2023年の顧客数が増加したと回答する割合が高い傾向にあると示されています。
価値の言語化とは、自己紹介の話だけではなく、商品の輪郭の話でもあります。買う理由を1行で言える商品が1つあれば、自己紹介はその輪郭を支える脇役になります。
今夜、自分のポートフォリオに並んでいる過去のWeb制作実績を1枚見直し、その中から「同じ業種・同じ場面で複数件作った」案件を1つ選んでください。その案件を最小商品の3問に当てはめてみると、自分の最初の商品の輪郭が見えてきます。
来週末までに、自己紹介の何行目に「買う理由を1行で言える商品」が書けているかを点検してみてください。1行で書けていないなら、自己紹介ではなく商品の輪郭から作り直す番です。

発信より先に商品、自己紹介より先に輪郭です。1行で言える商品が決まれば、SNSの言葉も自然に出てきます。
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