記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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● 質問
30代後半の会社員ですが、起業準備を始めたいと両親に話したら全力で反対されました。「銀行に勤めて安定しているのに、なぜリスクを取るのか」「失敗したら家族に迷惑がかかる」と言われ続けて、心が折れそうです。
資金計画も商品案も準備しているのに、説明しても聞いてもらえません。どう向き合えばいいのでしょうか?

● 回答
起業18フォーラムにいた藤崎さん(仮名・30代後半・男性・地方銀行ITシステムグループ勤続13年・既婚子1人・実家は徒歩圏内)は、両親に起業準備の話をしたその夜、眠れなくなりました。
父親からは「銀行員のままが一番安全だ」、母親からは「孫のためにも今のままで」と全力で止められたのです。
藤崎さんが起業準備で考えていたのは、地方の介護施設向けに会計帳簿のクラウド化を支援する小さな副業でした。資金計画も商品設計も周辺の競合調査もノートにびっしり書き込んで、両親の前でプレゼン資料まで作って臨んだ夜でした。
それでも「もしうまくいかなかったらどうするんだ」の一言で、用意した説明は全部跳ね返されたのです。
親世代の反対は、論理で打ち返すほど強くなります。
完璧な計画書を見せるのではなく、20点でもいいから「今すでに動いている小さな実物」を1つ見せるほうが、空気が変わりやすいのです。
藤崎さんが「説得」を諦めて「20点の実物」を見せた話
転機は7ヶ月目でした。藤崎さんは起業18フォーラムの勉強会で、拙著『起業神100則』に出てくる「20点でも出す」という考え方に出会いました。
完璧を待たず、20点の状態でいいから外に出してみる、という発想です。それまで両親への説明を100点に仕上げようとしていた藤崎さんは、方向転換を決めました。
藤崎さんがやったのは、銀行員仲間の知り合いを通じて知り合った小さな介護事業所1社に「無料で2ヶ月だけ会計記帳のサポートをさせてもらえませんか」と申し出ることでした。
商品にすらなっていない、20点の手探りの試運転です。けれども事業所からは喜ばれ、2ヶ月後に「正式に月額制で続けてほしい」と言われました。月額3万円の小さな仕事です。
藤崎さんが両親に見せたのは、完璧な計画書ではなく、その月額3万円の振込通知でした。
「お父さん、お母さん、こういう仕事を月に1件できるようになった」と、紙1枚見せただけだったそうです。
その夜の食卓は静かでしたが、父親は最後に「で、これは銀行を辞めずに続けるんだな」と確認してきました。藤崎さんが「もちろん」と答えると、それ以降、反対の言葉は出なくなりました。
完璧な説明より「20点の実物」が空気を変える理由
親世代が反対するのは、子の判断を疑っているからではなく、未来が見えないからです。未来が見えないものに対して「やめておけ」と言うのは、親の側の自然な反応です。
完璧な計画書は「未来の可能性」しか示せませんが、20点でも動いている実物は「すでに存在している現実」を示せます。
説得の方向ではなく、現実の方向で空気が変わるのです。
- 完璧な事業計画書を作って読み上げる説得型は反発を招く
- 収益予測のグラフを見せても「机上の空論」と受け取られる
- 競合分析を語っても「失敗例ばかり目に入る」
- 「絶対大丈夫」と断言するほど、不安の上塗りになる
- 論理で勝とうとすると、家族の信頼関係に傷が残る
藤崎さんが18ヶ月目に到達したのは、月額契約5社・月収15万円の安定継続です。会社員のまま続けています。両親には、最初の月額3万円の振込通知のあと、半年に一度ぐらいの間隔で、淡々と実物を見せ続けました。3件目の契約が決まったとき、母親から「あんたの選んだ仕事だから応援する」と言葉が返ってきました。
- 説得する前に「20点でいいから動いている実物」を1つ作る
- 家族会議の前に「すでに発生している現実」の証拠を1枚用意する
- 未来の話ではなく、過去になった事実を語る
- 反対の理由を論破せず、安心の素材を時間をかけて積み上げる
- 反対が静かになった瞬間を「言葉にならない応援」と受け取る
紙1枚の振込通知が、100枚の事業計画書よりも家族の不安を静めることがあると分かれば、しめたものです。
今週末、家族に見せられる「20点の実物」が自分の手元にあるか、紙に書き出してみてください。

反対は、説得して消す対象ではなく、時間をかけて景色を変える対象です。20点の実物を1つ作ることから始めれば、家族の言葉も少しずつ変わっていきます。
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