minneで月8万円届く作家が在職中に厚くしていた人脈の話

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

minne(株式会社GMOペパボ提供)に作品を並べたものの、3か月たっても販売がゼロのまま止まる。そんな相談が起業18フォーラムに毎月のように届きます。

価格を下げ、写真を撮り直し、説明文を書き換えても動かない。けれども同じプラットフォームのなかで、勤めながら月数万円から月二桁万円まで届く方々もいます。差を分けているのは作品の出来でも価格設定の精度でもなく、在職中だからこそ持っている人脈をどう組み替えたかにあります。

本記事では、minneを在職中の起業準備の入口にする方の具体的な行動と、最初のレビュー20件を作るための設計をまとめます。

ポイント minneを在職中の起業準備に活かす全体像

在職中だからこそ動かせる人脈ストック型の運用法

部屋でパソコンを見る女性

minne(ミンネ)は、GMOペパボ株式会社が運営する国内最大級のハンドメイドマーケットです。Google Play上の公式説明では、2025年4月10日時点のGMOペパボ調べとして作家・ブランド数96万件、登録作品数1,800万点突破とされています。累計流通額は2023年6月15日に1,000億円を突破しています。販売手数料は、minne公式ヘルプでは非会員10.659%(税込)、minne PLUS会員はプランに応じて最大10.45%まで優遇と案内されています。勤めながら入る入口としては、規模・参入のしやすさともに整っている領域です。

その一方で、登録作家96万人のなかで月の売上が5万円を超える方は限られます。作品を並べてから半年たっても動かない方の多くは「品質や価格」ではなく「初期レビュー数と認知導線」で止まっています。新規の閲覧者は、レビュー件数とプロフィールの説明力で購入可否を判断します。レビュー5件未満の作家を選ぶ理由が、相手の側に乏しいのです。

ここで分岐点になるのが、勤めながらminneを始める方が持っている、目に見えない資産です。長年同じ会社で働いてきた方には、職場の同期・後輩・取引先・OB訪問先・趣味仲間という閉じた人脈があります。退職すると、この関係性は時間とともに薄れます。在職中にminneを動かす方の最大の優位性は、まだ薄れていないこの人脈を、最初のレビュー・最初の購入・最初の口コミ拡散の起点に組み替えられる点にあります。

起業18フォーラム代表の新井一は、拙著『起業神100則』(総合法令出版)に「会社員時代に作った関係性は、辞めた瞬間に肩書きの力を失う。だからこそ在職中に、肩書きではなく個人として認知してもらう動きを始めておく」という考え方を示しています。minneの初期運用は、まさにこの考え方を行動に落とし込む実践の場になります。

ポイント minneが向いている人・向いていない人

作品制作と並走する関係性運用ができるかの判断

ネットショップ

minneの仕組みは「作品を並べれば必ず見つけてもらえる場」ではありません。レビュー数・販売実績・更新頻度・プロフィールの説明力などが、閲覧者の購入判断や店舗の見え方に影響します。この前提を理解したうえで、自分の状況と合わせて判断してください。

minneが向いている方

  • 制作と同じくらい関係性運用に時間を割ける方
  • 本業に「素材」「品質」「安全性」など説明できる専門軸がある方
  • 月1万円から始めて3年かけて月10万円へ育てる時間感覚がある方
  • 購入者一人ひとりに礼状や追加情報を送れる方
  • レビュー5件までは原価割れでも構わないと割り切れる方

minneより別の入口を検討した方がよい方

  • 制作に集中したく顧客対応や発信は最小限にしたい方
  • 1か月以内に売上を作りたい方
  • 本業の繁忙期と重なり週5時間も時間が取れない方
  • 顔出し・実名・職業性の開示に強い抵抗がある方
  • 原価率が高く1点で粗利が出にくい商材の方

向いていない欄に当てはまる方は、minneを完全に外す必要はありません。本業の制約に合わせ、受託制作を1件ずつ手配するBASEや、ご近所のショップへの委託販売を入口にする方が早く回る場合があります。

ポイント 在職中の人脈を初期レビューに変える3つの行動

職場・取引先・趣味仲間の声で初期レビューを作る

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初期レビュー20件は、新規の閲覧者が購入を判断しやすくするための目安です。広告に頼らず、検索流入も期待しにくい最初の3か月で、この20件を作れるかどうかが半年後の売上を左右します。在職中の方に有効な行動は、次の三つに整理できます。

初期レビュー20件を作る3つの行動

  • 職場同期・取引先・趣味仲間30名への直接告知(出店した事実・どんな作品か・なぜこの素材を選んだか)
  • プロフィール文の職業性再構築(本業の専門性を作品づくりにどう活かしているかを1段落で明文化)
  • 購入者全員への手書き礼状+次回作品プレビュー封入(リピーター化と保存・シェア導線の設計)

30名への直接告知は、minne上ではなく自分のLINEや個人メールでの個別連絡が中心です。一斉送信ではなく「あなたに見てほしい理由」を一文添える形が効きます。最初の2週間は、月10名ペースで連絡を続ける時間を平日朝の30分に固定で確保するのが現実的です。本業の繁忙期にも崩れない時間枠を先に決めることで、声かけ自体を後回しにしなくなります。

プロフィール文の職業性再構築では、「主婦・子育て中・ハンドメイド歴◯年」型の自己紹介を避けます。閲覧者にとって、その情報は購入の決め手にならないからです。代わりに「化粧品メーカーで15年、肌に触れる素材の安全性基準を見続けてきた目で、子どもが舐めても安心できるフェルト雑貨を作っています」のように、本業の専門性と作品の品質基準を直結させます。職業性プロフィールに切り替えた直後から、検索からの閲覧者の滞在時間が1桁から30秒以上に伸びる事例が起業18フォーラム内で複数報告されています。

手書き礼状は、minneの注文ID単位で全件発送します。礼状に「次回作の試作中の写真」を1枚同封すると、購入者は受け取った瞬間に保存・SNSへの掲載・友人への紹介の判断ができます。礼状や次回作プレビューを入れることでレビュー投稿を促しやすくなった、という事例が同フォーラム内で見られます。20件のレビューを得るまでの販売件数を減らすには、購入後の接点設計が重要です。

拙著『起業神100則』のなかで触れた「会社員時代に作った関係性は、辞めた瞬間に肩書きの力を失う」という言葉は、minneの初期運用にそのまま当てはまります。在職中の今、まだ会社の肩書きと個人の作家活動が同時に動かせるうちに、関係性を個人側に組み替えておくこと。これが半年後・1年後に売上が積み上がる方と止まる方の差になります。

ポイント 会員さんの実例:47歳事務職Sさんの6か月

価格下げ赤字から人脈ストック型運用への切替

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大手化粧品メーカーで事務職を15年続けてきたSさん(47歳・既婚・小学4年生の娘あり・川崎市在住)は、ハンドメイドの趣味歴が7年ありました。会社員月収32万円のなかで在職中に小さく収入軸を増やしたいと考え、minne登録に踏み切った方です。

自己流で始めた当初は、フェルト小物と布雑貨を中心に3か月で12作品を出品しました。販売件数はゼロ。価格設定に問題があると判断し、15-20%値下げをして再投稿しましたが、売れ始めても原価と送料を引くとほぼ赤字でした。「価格を下げても動かないなら、自分の作品に商品力がないのではないか」という相談が、起業18フォーラムに届いたのが昨年の春です。

勉強会で「在職中だからこそ作れるネットワーク」「平日朝30分の声かけ」「職業性プロフィール」の考え方を学んだSさんは、価格はminne登録時の水準まで戻したうえで、次の三つに行動を絞り直しました。

Sさんの修正後の3つの行動

  • 職場同期・取引先・地元のママ友30名への個別LINE告知(3週間で完了)
  • プロフィール文を「化粧品メーカー15年・肌触れ素材の安全基準で布雑貨を作る作家」に書き換え
  • 購入者全員への手書き礼状+次回作プレビューカード同封

切替から3か月目で初めての月売上3万円を超え、4か月目に月5万円、6か月目に月8万円に届きました。レビューは42件、リピーター18人。さらに職場同期の紹介で、地元商店街のハンドメイドイベントへの出展も決まり、minneの売上以外の入口も育ち始めています。価格や写真の改善ではなく、在職中の人脈を関係性ストックに組み替えたことが、半年後の月収を変えた分岐点でした。

Sさんは振り返って「自己流で価格を下げ続けていた3か月は、商品の評価ではなく自分の販売動線の評価が見えていなかった時間でした。誰に売っているのかを先に決めれば、価格を下げる必要はなかった」と話します。在職中に動かせる人脈の総量を、紙に書き出して可視化するところから始めるのが、再現性のある第一歩です。

ハンドメイドで作品数を増やしても売れない理由は?
● 質問 ハンドメイド販売で作品を一生懸命増やしているのですが、なぜか売れません。たまに売れても次が続かないの

ポイント minneと組み合わせると効果が倍増する3つの行動

プラットフォーム単独運用から脱却する補完導線

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minne単独で月10万円以上まで届く方は、登録作家のごく一部です。多くの方は、minneを軸にしながら別の入口を補完的に育てています。在職中の限られた時間でも組み合わせやすい行動を三つ整理します。

minneと補完関係を作る3つの行動

  • Instagramでの制作過程発信(販売告知ではなく素材選びと工程の見せ方)
  • 名刺と作品タグへのminneショップURL印刷(オフライン接触から店舗への導線)
  • 地元の小規模イベント出展(年に2〜3回・対面で次の在職中顧客と出会う場)

Instagramでの発信は、出来上がった作品の写真より、素材を選んでいる瞬間・道具を片付けている瞬間・採寸している瞬間のほうがフォロワーの保存率が高い傾向があります。発信する内容は、minne店舗で売っている作品の説明ではなく、なぜその素材を選んだのか、なぜこの工程を踏むのかという制作者の視点で組みます。フォロワー数より、保存・コメント率のほうがminne店舗への流入には効きます。

名刺と作品タグへのminneショップURL印刷は、見落とされがちな低コスト施策です。会社の名刺とは別に、作家活動用の名刺を100枚単位で用意し、本業の取引先以外で出会う方に渡せる準備をしておきます。名刺の裏面にショップURLとQRコードを入れ、表面には「化粧品メーカー勤務・布雑貨作家」と肩書きを並記すると、相手の記憶に残ります。

地元の小規模イベント出展は、新規顧客の獲得というより、既存顧客との対面接触の場として組みます。minneでリピートしてくれた18人のうち5人でも会場に来てもらえれば、その日のうちに翌月以降の継続発注の話が進みます。在職中の方は休日のみの参加で十分です。年2〜3回、地元の商店街・公民館・小規模ハンドメイド市に出展先を絞ると、無理なく続きます。

ポイント 在職中のminne運用で押さえたい時間配分の指針

平日朝30分と休日2時間の関係性運用と制作枠

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minneを在職中に動かす方の時間配分で、最も多い失敗は「制作時間ばかり延びて、声かけ・プロフィール更新・礼状発送の時間が後回しになる」型です。制作は楽しい時間なので延びやすく、関係性運用はおっくうな時間なので削られやすい。この非対称を構造的に解く必要があります。

起業18フォーラムでは、平日朝30分を「声かけ・返信・プロフィール更新」の関係性運用専用枠に固定し、休日2時間を「制作・撮影・出品作業」専用枠にする時間配分を勧めています。関係性運用の時間を朝に置く理由は、夜の疲労で先送りされないからです。朝30分のうち、最初の10分は前日の購入者・問い合わせへの返信、次の10分は同期・取引先への声かけ1件、最後の10分は翌週の声かけ候補のリストアップに割り当てます。

休日2時間の制作・撮影・出品作業は、土曜午前か日曜午前に固定します。家族のスケジュールに合わせて時間帯を選び、毎週同じ時刻に作業を始めることで、家族の理解と協力も得やすくなります。制作2時間のうち、最後の20分は必ず撮影と出品作業に充てて、その週のうちに新作1点を店舗に並べる流れを崩さないことが、検索順位の維持にもつながります。

この時間配分は、拙著『起業神100則』の在職中ネットワーク論と並ぶ、もう一つの軸である「会社員時代の時間制約は弱点ではなく、リズムを強制してくれる味方になる」という発想にも通じます。自由時間が多すぎる人ほど起業準備が止まる、というのは長年の支援現場で繰り返し確認されてきた現象です。

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minneは、勤めながら起業準備を始める方にとって、入口として優れたプラットフォームです。けれども「掲載して待つだけ」では、登録作家96万人のなかで埋もれます。差をつけるのは作品の出来でも価格設定の精度でもなく、在職中だからこそまだ動かせる人脈を、初期レビューと口コミ拡散の起点に組み替えられるかどうかです。今週から、声をかける30名のリストを紙に書き出す。それが、半年後の月収を変える最初の一歩になります。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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