記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:
● 質問
父の町工場を継ぐ話が出ましたが、IT畑で20年やってきた自分には現場のものづくりは未経験です。継ぐべきでしょうか、それとも別業種で立ち上げるべきでしょうか?

● 回答
「継ぐ」と「始める」は同じだと思っていませんか? 両者は同じ「経営者になる」入口に見えて、必要な準備の中身がまったく違います。
帝国データバンク『2024年全国後継者不在率動向調査』では、製造業の後継者不在率が43.8%。前年比1.8ポイントの改善が見られる一方、業種を超えた承継相談は今も増え続けています。継ぐか別業種で立ち上げるかは「親孝行か独立か」ではなく、「現場の継続価値」と「自分の20年スキル」のどちらが高い収益を生むかで決めます。
支援現場でよく目にする誤解は、「父の事業を継がないと親不孝になる」「IT知識があれば町工場のDX化は簡単」という2点です。
- 「継ぐ=親孝行」と決めつけて承継を即決する
- 「IT知識があれば町工場のDX化は簡単」と過小評価する
- 父の現場を1年も同行せず承継を決める
これらは異業種承継で頻発するつまずきです。町工場の利益は機械や設備ではなく、長年の取引先と職人との人間関係に詰まっています。IT管理者のスキルが直接通用する領域ではありません。
一方で、別業種で立ち上げる選択にも勝ち筋があります。
- 父の町工場を「最初の顧客」にして、IT顧問として外側から関わる
- 町工場の取引先10社にも同じITコンサルを横展開する
- 父との関係は経営の上下ではなく、業務委託の発注者と受託者にする
拙著『1億円稼いでいる人は何をしているのか?』に「成功者は20年積み上げたスキルを別の市場に転用して収益を出す」という考え方が出てきます。Nさんの場合、町工場の現場で0から職人を学ぶより、IT顧問として外側から複数社を支援する方が、20年のスキルが生きやすい構造です。
起業18フォーラムの会員Nさん(40代男性・大手SIerでITプロジェクト管理20年・本業月収52万円・父が東京下町で町工場経営20年・既婚子2人)は、当初の半年間は「継ぐ前提」で土日に町工場の現場に通っていましたが、収益見直しで継続が困難であることが判明しました。
自己流で承継を決めかけた状態で起業18フォーラムに参加し、勉強会で「外側から関わる選択」と出会います。父の町工場を最初のクライアントにし、近隣の町工場3社にもITコンサルを横展開。13ヶ月目に月10万円・19ヶ月目で月25万円継続。父からも「継がなくても支えてくれている」と評価されました。
判断軸として整理すると、次の3点で見ます。
- 父の事業の現場に1年は同行する(DD期間)
- IT顧問として外側から関わる選択肢を父に提示する
- 承継するなら最低5年は現場で職人と関係を作る覚悟を持つ
まずは父の事業の取引先10社の名前と取引額を聞いてください。承継の意思決定は、決算書ではなく取引先の関係を理解してから決まります。
「継がない」という選択肢は親不孝ではありません。父の事業をどう支えるかは、経営者として継ぐ以外にも複数の道があります。
承継の話が出ているなら、来月中に父と「3年後の理想の関わり方」を話し合ってください。曖昧なまま時間が経つほど判断が難しくなります。

20年のスキルは、捨てるのではなく次の市場に運ぶための道具です。継ぐ・継がないの二択ではなく、外側から支える第三の選択肢から検討してみてください。
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