記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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東海地方最大の都市、名古屋。人口232万人を超える大市場と、日本有数の製造業の集積地を抱えるこの街には、起業家にとって見逃せない強みがあります。
しかも名古屋市は、会社員でも使える補助金・制度融資・インキュベーション施設を整えており、働きながら起業準備を進めやすい環境が整っています。
このページでは、名古屋固有の支援制度と、実際に名古屋で独立した会員さんの体験談をもとに、地元起業の具体的な手順をお伝えします。
名古屋が持つ、東海最大の経済圏という起業の強み

「製造業の街」だけではない、名古屋の多彩な産業基盤
名古屋というと「トヨタ・製造業の街」というイメージが先行しがちです。しかし実際の名古屋市は、卸売・小売業(28,936事業所)を筆頭に、飲食業、医療・福祉、不動産業など多彩な産業で構成されています。名古屋市の令和3年経済センサス-活動調査によると、市内民営事業所の従業者数は合計1,435,697人にのぼり、東京・大阪に次ぐ規模の経済圏です。
起業という観点でこの数字を見ると、意味が変わってきます。140万人を超える就業者が働く地域には、それだけ多様な「仕事の課題」があります。業務効率化支援、経理・労務サポート、採用コンサルティングといったBtoB系サービスは、名古屋では旺盛な需要が見込めるのです。
名古屋は日本で数少ない、製造業の厚い集積と大都市マーケットの両方を持つ起業フィールドです。製造業の経験者はもちろん、ITやサービス業のバックグラウンドを持つ会社員にとっても、名古屋という地域の特性は大きな追い風になります。
名古屋市の創業支援制度:補助金・融資・施設を使い倒す

名古屋市スタートアップ企業支援補助金(令和7年度)
名古屋市が独自に用意している創業支援補助金がこの制度です。市内で創業する方、または創業後5年以内の中小企業者を対象に、事業立上げにかかる経費の一部を助成します。
補助率は対象経費の3分の1。さらに「なごのキャンパス」または「ナゴヤイノベーターズガレージ」への会員登録を行うと、補助率が2分の1に引き上げられます。これは大きなポイントです。後述する両施設は低コストで利用できるため、まず施設に入居してから補助金を申請する流れが、費用を最大限に抑えられる順番です。
名古屋市の制度融資「新事業創出資金」
補助金と並んで活用できるのが、名古屋市の制度融資です。融資限度額は3,500万円、金利は1.4〜1.7%と、民間銀行の創業融資と比べて有利な条件が設定されています。名古屋市内での開業を予定している方、または開業後5年未満の方が対象です。
なごのキャンパス・ナゴヤイノベーターズガレージ
名古屋市のインキュベーション拠点として代表的なのが、この2施設です。
なごのキャンパスは名古屋駅から徒歩8分、旧那古野小学校をリノベーションした施設で、創業希望者から創業間もない企業まで段階に応じた支援を受けられます。インキュベーションマネージャーが常駐し、事業プランの磨き込みを個別に伴走してくれます。
ナゴヤイノベーターズガレージ(garage-nagoya.or.jp)は中区栄に位置する会員制コワーキングスペースで、中部経済連合会と名古屋市が設立した施設です。異業種・異分野の交流からイノベーションを生む場として、スタートアップ育成プログラムやビジネスコンテストも定期的に開催されています。
まず名古屋市新事業支援センター(nipc.or.jp/new-biz/)に相談を申し込むことを、起業準備の最初の1歩としてお勧めします。無料で何度でも相談できる中小企業診断士との面談が、事業プランを一気に具体化してくれます。
- 名古屋市スタートアップ企業支援補助金(補助率3分の1〜2分の1)
- 新事業創出資金(限度額3,500万円・金利1.4〜1.7%)
- なごのキャンパス(名古屋駅徒歩8分・創業インキュベーター施設)
- ナゴヤイノベーターズガレージ(中区栄・コワーキング+起業家コミュニティ)
- 名古屋市新事業支援センター(無料経営相談・中小企業診断士常駐)
名古屋で向いているビジネスの切り口

① 製造業向けのDX・デジタル化支援
名古屋圏の中小製造業には、まだデジタル化が進んでいない工程が多く残っています。大手メーカーのグループ内にいた技術者や、製造管理・品質管理の経験者にとって、「知っていて当たり前のこと」は、中小企業の経営者にとって「ぜひ教えてほしいこと」になります。製造ラインの管理システム導入支援、IoTセンサーの活用提案、現場の業務フローを文書化するコンサルティングなど、製造業出身者の経験が直接サービス化できる領域です。
「DXコンサル」という漠然とした打ち出し方では受注は難しく、「○○工程の○○課題を○○で解決する」という具体的な専門領域を絞り込むことが成功のカギです。
② 中小企業向けのバックオフィス・専門サポート
名古屋には多数の中小製造業・物流会社が集積しています。これらの企業は、経理・労務・採用・ITインフラといったバックオフィス機能を内製化できていないケースが少なくありません。税理士・社労士・中小企業診断士等の資格を活かした専門サービス、あるいはノンコア業務の代行に特化した個人事業は、名古屋圏では安定した受注が見込めます。
③ 名古屋らしい「丁寧さ」を軸にしたサービス業
名古屋には、独自の商業文化として「丁寧な接客」「質の高いサービス」を重視する気風があります。飲食店のモーニングサービスに象徴されるような「コストより品質」の価値観は、サービス業の起業においても武器になります。教育・健康・美容といった生活者向けのサービス業を名古屋で始める場合、高品質路線に振り切ることで差別化が図りやすい地域です。
- 製造業DX・デジタル化支援(技術職・IT経験者向け)
- 中小企業向けバックオフィスサポート(資格活用・代行系)
- 高品質路線のサービス業(教育・健康・美容・飲食など)
会員さんの体験談:会社員20年の技術知識が起業の武器になった

Sさん(仮名・48歳・名古屋市在住)の場合
名古屋市に在住のSさん(仮名・48歳)は、大手自動車部品メーカーで設計・技術開発職を20年間続けてきました。製造ラインの工程改善や品質管理システムの導入に長年携わってきたSさんが起業18フォーラムに入会したのは、50代を前に「会社一本というキャリアへの漠然とした不安」がきっかけでした。
入会してしばらくは「自分に売れるものがあるとは思えなかった」と振り返ります。転機は、なごのキャンパスでの個別相談でした。「あなたが『当然知っていること』は、中小製造業の社長にとって喉から手が出るほど欲しい情報です」という言葉が刺さり、サービスとして形にする作業を始めました。
半年後、取引先の知人経営者に試しにヒアリングしたところ、「ぜひお願いしたい」という反応をもらいます。そこから少しずつ実績を積み、現在は5社の中小製造業と顧問契約を結んでいます。会社員として在籍しながら月収30万円超を稼ぐ段階まで来ており、近いうちの独立に向けて準備を進めているところです。
Sさんはこう言います。「製造業の現場にいた人間は、その業界を知りすぎているからこそ『自分の知識には価値がない』と思いがちです。でもそれは完全な勘違いでした。会社員時代の知識は、丸ごと売れる財産でした」。
- 属性:名古屋市在住、48歳男性、大手自動車部品メーカー技術職20年
- スタート時:「自分に売れるものがある」と思えない状態から入会
- 時系列:入会→なごのキャンパスで相談→半年後に初受注→現在5社と顧問契約
- 転機:「当然知っていること」が中小製造業に価値を持つと気づいた瞬間
- 現在:会社員を続けながら月収30万円超。近いうちに独立予定
名古屋で起業を考えているあなたへ

名古屋は、製造業の土台があるからこそ「ものづくり支援」の需要があり、大都市だからこそ多様なビジネスが成立します。市の補助金・制度融資・インキュベーション施設が揃っているという点では、起業初期のコストと不安を抑えやすい地域のひとつです。

26年間で60,000人の起業準備を支援してきた経験からいえるのは、「地元の強みを活かしたビジネス」が最も早く軌道に乗るということです。名古屋という地域が持つ産業の厚みは、そのまま起業の武器になります。
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