記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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「どれくらい稼げたら会社を辞めていいですか?」という質問に、私は決まってこう返します。「それより先に、起業後の収入の地図を描きましたか?」と。
会社を辞めてから後悔した人と、辞めてよかったと言える人の違いは、この「地図」を在職中に描いたかどうかにあります。
起業1年目を乗り越えた人が在職中にやっていたこと

日本政策金融公庫「2024年度新規開業実態調査」によると、新規開業後の採算状況は黒字基調67.3%、赤字基調32.7%です。つまり、起業した3人に1人は赤字です。一方、黒字の67.3%には、在職中から収入の設計を具体的に進めてきた人が多く含まれています。
同調査では開業資金の平均が1,197万円(日本政策金融公庫2024年度新規開業実態調査)となっています。しかし起業18フォーラムの会員さんの多くは、初期費用をほぼ0円に抑えながら動き始めています。大きなお金をかけなくても、正しい設計があれば動けます。
0ヶ月目:「何が不安なのか」を紙に書き出す

「収入がゼロになる期間が怖い」「家族に迷惑をかけたくない」「貯金が尽きたら終わり」。これらはすべて、起業準備を始める前に多くの会社員が口にする言葉です。
不安の正体を書き出すと、解決策が見えてきます。「収入ゼロの期間が怖い」なら、在職中に最初の収入を出してから辞める設計が有効です。「家族に迷惑」なら、月いくらを生活費として確保すれば許容できるかを計算します。
「何となく怖い」という漠然とした不安が最も危険です。言語化しないまま起業を進めると、不安がいつまでも解消されず、中途半端な状態が続きます。
4ヶ月目:最初の収入が生まれる瞬間の設計

起業準備を始めてから4ヶ月目あたりに、最初の収入が出る人が増えてきます。金額は小さくても、「会社以外から入ってきたお金」の感覚は大きな転機になります。
ここで大事なのは、「最初の収入を偶然に任せない」ことです。誰に何を提供したら、いつまでにいくら入るか。このラインを事前に設計している人とそうでない人では、行動の密度がまったく違います。
- 誰に(ターゲット):どんな困りごとを持つ人に売るのか
- 何を(商品):どんな形で価値を届けるのか(時間・成果物・アドバイス)
- いつまでに(期限):何ヶ月目に最初の収入を得るか
10ヶ月目:継続が「仕組み」に変わる段階

10ヶ月目前後になると、単発の仕事が繰り返しの仕事に変わるかどうかが分かれてきます。同じクライアントから継続依頼がある状態になれば、「仕組み」が機能し始めたサインです。
この段階で月次の継続収入が10〜15万円あると、精神的な安定感が格段に増します。会社の給与に頼りながら、それに加えて安定した収入源が育ちつつある状態です。独立の「タイミング」を考え始めるのは、ここからでも遅くありません。
起業準備の成功率を上げるのは、急いで辞めることではなく、在職中に「仕組み」の芽を育ててから動くことです。
Cさんの実例:45歳SEが収入の地図を描いて独立した記録

Cさんは45歳のシステムエンジニア。妻と子ども3人の家族を持ち、世帯月収は85万円ほどありましたが、「起業したい」という思いを10年近く抱えたまま動けずにいました。
0ヶ月目にCさんがまず行ったのは「不安リストを書き出す」ことでした。起業後の収入がゼロになる期間が最大の不安だとわかり、「在職中に最初の案件を取る」という目標を設定しました。4ヶ月目、前職の人脈から声をかけて月15万円のシステム顧問案件を獲得。これが最初の収入でした。10ヶ月目に継続クライアントが3社に増え、月次売上が38万円を超えたところで独立を決断しました。
現在は独立から1年が経ち、月次売上55万円を超えて安定期に入っています。「地図を描いてから動いたから、ぶれずに続けられた」というのがCさんの言葉です。
起業準備は「いつか辞めよう」と思いながらただ続けるのと、「○ヶ月目に○万円の状態になったら辞める」と決めて動くのとでは、まったく違う結果になります。
あなたの地図を白紙から描き始めるために

収入の地図を描くのに、特別なツールは不要です。紙とペンで構いません。「誰に・何を・いつ・いくらで」の4つを書き込むだけで、地図の輪郭が見えてきます。
あなたの地図は、まだ白紙で大丈夫です。今ここから描き始めましょう。
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