記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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● 質問
数年ごとに転勤がある会社で働いています。せっかく起業準備を始めても、転勤のたびに人間関係や生活がリセットされてしまい、続けられる気がしません。
転勤が多い会社員でも、無理なく続けられる起業準備の形はあるのでしょうか?

● 回答
結論を先にお伝えします。転勤が多いことは、起業準備の妨げになるどころか、むしろ有利に働く面があります。最初から場所に縛られない事業を選んでおけば、転勤のたびに事業がリセットされることはありません。
労働政策研究・研修機構の「企業の転勤の実態に関する調査」(2017年)によると、転勤の目的として「社員の人材育成」を挙げる企業が66.4%と最も多く、転勤は今も人材育成の一環として広く行われています。転勤族は決して少数派ではありません。
転勤族の準備は「人」を場所に依存させない
拙著『会社で働きながら6カ月で起業する』では、起業準備を知・人・金の3つのチカラで進めると紹介しています。このうち転勤族が崩れやすいのが「人」のつながりです。けれど、ここを発想転換すれば弱点が消えます。
対面の人脈は転勤で途切れますが、オンラインでつながった人脈は引っ越しても切れません。SNSやオンラインの勉強会で築いた関係は、住む場所が変わっても続きます。最初から人とのつながりをオンラインに置いておけば、転勤は人脈の断絶になりません。土地に紐づく関係を主役にしないことが、転勤族の準備の土台になります。
転勤は「新しい知」が手に入るチャンス
知・人・金の「知」の面では、転勤はむしろプラスです。土地が変われば、その地域ならではの困りごとや商習慣が見えてきます。複数の地域で暮らした経験そのものが、一つの場所しか知らない人にはない強みになります。転勤の回数が増えるほど、語れる現場の数も増えていきます。
会員さんの大野さん(仮名・40代前半・金融機関の総合職・既婚)は、転勤を理由に準備を諦めかけていました。話を聞くと、3年ごとの転勤のたびに対面の名刺交換会へ通い直し、関係づくりを一からやり直していたことが、続かない原因でした。
転機は、各地を転々としながら事業を続ける先輩会員の話を聞いたことでした。土地に残らない知識こそ商品になると気づいた大野さんは、各地で見てきた地方の中小企業の資金繰りの実情を、オンライン講座にまとめ直しました。対面の交流会に通う時間を、講座の中身を磨く時間に振り替えたのです。
転勤先が変わるたびに事例が増え、内容が厚くなっていったそうです。18ヶ月目には会社に勤めながら月10万円に届き、現在も転勤を続けながら事業を伸ばしています。引っ越し先で人脈を一からやり直していた頃とは、手応えがまるで違うと話していました。直近で住んだ土地で「ここ特有だな」と感じた困りごとを3つ書き出して、自分の事業の素材としてストックしておいてください。
転勤を「事業が途切れる原因」と見るか、「事例とつながりが増える機会」と見るかで、進め方は正反対になります。引っ越しても残るオンラインの場を一つ選び、今週そこに自分の準備テーマを一行書き込んでください。場所に縛られない入口を、まず一つ作ることです。

次の転勤辞令が出る前に、オンラインの土台を一つだけ作っておいてください。
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