50代会社員が退職金を「起業の軍資金」にする前に知るべき3つのこと|老後資産を守りながら動く方法

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

起業準備を考え始めた50代の会社員から、こんな相談をよく受けます。「退職金が入ったら動こうと思っているのですが、どう使えばいいですか?」という問いです。気持ちはよくわかります。まとまった額のお金が手に入る節目は、「いよいよ動けるぞ」という感覚になるものです。

でも26年間の支援現場でわかったのは、退職金が手に入ってから動こうとする人ほど、その資金を守れないということです。今回は、その理由を正直に話します。

ポイント 退職金の「平均額」と知られざる現実

制度がない会社も多い。金額も思ったより少ない

50代

まず現実を確認しましょう。厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」によると、退職金制度がある企業の割合は74.9%です。つまり4社に1社は退職金制度がありません。「うちにはあるはず」と思っていたら、なかった——というケースも実際にあります。

制度があるとしても、金額は企業規模によって大きく異なります。大企業の大学卒・定年退職者の平均は約2,139万円ですが、中小企業では数百万円になるケースも少なくありません。「2,000万円くらい入るから大丈夫だろう」と思っていたら、実際は700万円だった。このギャップに直面して計画が崩れる人を何人も見てきました。

まず自分の会社の退職金制度と金額の見込みを正確に確認すること。それが起業準備における「資金計画」の出発点です。

ポイント リスク①:退職金を「起業のスタート資金」にする思い込み

退職金の全額投入が老後資産を失う最大の危険パターン

50代

退職金を受け取ったとたんに「これで起業できる」と感じる人がいます。でも、その感覚が最も危険なのです。なぜかというと、退職金は起業資金であると同時に、老後の生活を支える資産でもあるからです。

起業の初期費用はゼロに近い事業からスタートできるとしても、「稼ぐまでの生活費」は必要です。事業が軌道に乗るまでの期間に生活費が底をつくと、結局退職金を切り崩すことになります。26年間の支援で見てきた失敗パターンの多くは、退職金に依存するあまり「収益が出る前に資金が尽きる」という構造です。

退職金を全額起業に投入することは、老後の安全網を丸ごと起業のリスクに晒すことと同じです。以下は、実際によくあるパターンです。

退職金を全額投入して事業が軌道に乗らず数年で底をついた方、「資金があるうちに使おう」と焦り準備不足のまま法人を設立した方、想定より早く事業が失速して老後資金に手をつけざるを得なくなった方——これらは架空の話ではありません。退職金があることで「焦り」が生まれ、判断を曇らせるのです。

ポイント リスク②:収入ゼロ期間への備えが足りない

退職後の収入ゼロ期間に備えて生活費を別管理する

50代

会社を辞めると同時に始まる「収入ゼロ期間」は、思っているより長くなります。事業からの収益が安定するまでに、少なくとも3〜6ヶ月はかかることが多いからです。

この間の生活費を退職金から出していると、気づいたら退職金の多くが生活費に消えていた。そういうことになります。「事業の資金」と「生活の資金」を最初からきっちり分けて管理する人が、結果的に退職金を守れます。具体的には、独立後1年分の生活費を別口座に確保してから動き始めるのが基本です。

それができる状態になるまで退職に踏み切らない。その判断が、長期的には資産を守ります。焦って動くより、準備が整ってから動く。これは起業においても、資金管理においても同じ原則です。

ポイント 実例:退職金を守りながら起業準備した会員さんのパターン

在職中に収益を作ってから動いた人の共通点

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起業18フォーラムの会員さんの中で、退職金を守りながら起業に成功している人には共通するパターンがあります。

全員に共通しているのは「会社を辞める前に、すでに最初の収益を出していた」という点です。在職中にビジネス相談の仕事を1件受けていた、ライフスタイル相談や健康コーチングで初めての顧客を獲得していた——そういう人が、退職後も退職金に頼らずに動けています。

退職金は「使う資金」ではなく、「使わなくて済む状態を作っておくための動機」にするものです。

  • 在職中に起業準備の収益が月数万円に達してから退職を決断
  • 退職金は老後の積立として手をつけず、事業費は別途の貯金から出す
  • 知識・スキル(知)と人脈(人)を先に整えてから、お金(金)の計画を立てる

「知・人・金」のフレームワークで考えると、多くの人は「金」(退職金)に目が行きがちです。でも実際に成果を出している会員さんは、「知」(自分のスキルや知識)と「人」(信頼できる関係)を先に動かしています。退職金の使い方を考える前に、在職中にできることを一つ動かすことが最も大切です。

ポイント 在職中から「小さく動く」ことが最大の資産防衛

退職金を守る最善策は在職中に動き始めること

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退職金を起業に使う「かどうか」を考えるより先に、在職中にできることを一つずつ動かす。それが結果的に退職金を守ることにもつながります。

在職中の起業準備は、ほとんどの場合「初期費用ゼロ」から始められます。まず自分の業務経験やスキルを棚卸しし、誰かの役に立てられる形に変えることから動きましょう。退職金がなくても動ける「仕組み」が先にできていれば、退職は安心して迎えられます。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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