高校生でも起業はできる?|成人年齢18歳時代の現実的な始め方と落とし穴

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

高校2年生です。大学を卒業して社会人になってからではなく、今すぐ起業したいと思っています。スマートフォンとパソコンは持っていますが、まだ何をやるかは決まっていません。高校生でも起業はできますか? 何から始めればよいかも教えてください。

起業前質問集

● 回答

結論からいえば、高校生でも起業はできます。スマートフォンとパソコンがあれば、誰でも簡単に発信や販売を始められる時代になりました。実際、高校生で個人事業や法人を立ち上げている方は珍しくありません。

ただし、高校生の起業には大人と違うルールと制約があります。法務省「民法の一部改正」によって、2022年4月から成人年齢が18歳に引き下げられました。17歳以下の高校生は未成年として扱われ、契約や口座開設の場面で親権者の同意が必要になります。18歳の高校生(多くは高校3年生)は単独で契約を結べますが、信用やお金の判断は社会人ほど経験を積んでいないため、慎重さは依然として大切です。

ポイント 高校生だからこそ持っている起業の資産

大人にはない時間と回復力という財産

高校生の起業を考えるとき、まず思い出してほしいのは、自分が大人にはない資産を2つ持っていることです。1つは、固定観念のない発想と未来時間の長さ。もう1つは、失敗してもやり直せる体力と回復力です。大人の起業家がうらやむ条件を、実は高校生は当たり前のように持っています。

10年かけて得る経験は1か月では得られませんし、業界の知識を貯めるのに時間がかかるのも事実です。けれど、「あと10年早く始めたかった」と振り返る大人がとても多いことを考えると、高校生のうちに小さく試す経験は、その後の人生でとても大きな資産になります。

ポイント 17歳以下の高校生が起業前に押さえる契約ルール

親権者同意と取消権の基本

17歳以下の高校生が事業を始める場合、契約面で押さえておきたいことがあります。民法では、未成年者が単独で結んだ契約は、原則として親権者または本人が取り消すことができると定められています。これは未成年者を守るための仕組みであり、相手方の事業者にとっては取引のリスクになる部分です。

  • 銀行口座(事業用):未成年者口座は開設可能だが、屋号付き口座や法人口座は親権者同意書が必要
  • 仕入れ・販売契約:相手方は親権者同意書の提示を求めることが多い
  • 個人事業の開業届:本人が提出可能だが、税務上の扶養範囲を超える場合は家族での共有が前提
  • クレジットカード決済:本人カードでの事業利用は規約上難しいことが多い

こうした制約は、起業をあきらめる理由ではなく、親権者と一緒に進める前提で設計すれば乗り越えられる範囲のものです。家族に事業の計画を共有することは、結果として相談相手を1人確保することにもつながります。

ポイント 高校生で取り組みやすい事業の形

小さく試せる3つの入口

高校生のうちに無理なく試せる事業の形は、大きく次の3つに分けられます。在庫と固定費を抱えずに始められるかどうかが、続けやすさの分かれ目になります。

  • 知識・スキル販売型:プログラミング・動画編集・デザイン・受験勉強指導など、自分が得意な領域をオンライン講座や個別指導で販売
  • 発信・コンテンツ型:高校生視点でのレビュー・解説・ライフハック発信を続け、フォロワー数の積み上げが商品の準備になる
  • 小ロット物販型:自作グッズ・ハンドメイド・古着の再販などをBASEやSTORESで販売(中学・高校年代の同世代向け)

初期費用がほぼゼロから始められるのが、これらに共通する特長です。最初の半年は売上の金額ではなく、誰かに価値を渡して感謝された経験を1件作ることを目標に置いてください。感謝された体験は、社会人になったあとも続く事業の土台になります。

ポイント 高校生の起業で気をつけたい落とし穴

高額商材と詐欺的勧誘への警戒

高校生の起業を狙った悪質な勧誘は、SNSを中心にいまも数多く存在します。「誰でも簡単に・必ず稼げる・あとは行動するだけ」とうたう情報商材やコミュニティへの参加には、強く警戒してください。消費者庁・国民生活センターには、若い世代を狙ったマルチ商法・高額情報商材のトラブル相談が継続的に寄せられています。

17歳以下であれば、こうした契約を結んでしまった場合でも、原則として親権者または本人が取り消すことができます。それでも返金には手間と時間がかかります。「何かおかしい」「不安だ」と感じたら、契約する前に必ず家族や信頼できる大人に相談してください。

ポイント 高校生がいま動き出す3つの順番

学業と両立しながら積み上げる手順

「何をやるかまだ決まっていない」状態からでも、動き出せる順番があります。次の3つを、半年かけて少しずつ試してみてください。

  • STEP1 自分が時間を忘れて取り組めるテーマを3つ書き出す(1週間)
  • STEP2 その中から、誰かの困りごとと重なりそうな1つを選ぶ(2週間)
  • STEP3 選んだテーマで、誰か1人に価値を渡して感謝される体験を作る(3か月)

STEP3は売上が出る出ないより、相手の表情が変わる瞬間に立ち会えるかどうかが大切です。高校生のうちに、自分のやったことで誰かが助かる経験を1件積めれば、それはどんな大学受験の合格よりも価値のある資産になります。

学業と両立できる範囲で進めてください。学校生活そのものが、同世代の困りごとを知るリサーチの場でもあります。高校での経験を、起業のテーマ探しのフィールドとして活用していきましょう。

起業準備でメンターを持つとよいと聞きましたが、どうやって見つければいいですか?
● 質問 起業準備を独学で進めていますが、一人でやっていると「これで正しいのか?」と不安になる場面が多くなって

高校生の起業は、ゴールではなくスタートの形式です。大切なのは大きく当てることより、誰かに価値を渡す経験を1件積むことです。あなたの時間と発想は、大人にはない財産です。焦らず、しかし臆さずに、今週1つだけテーマを書き出すところから始めてみてください。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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