起業準備の経費は何が認められる? 通信費・交通費・書籍代の扱いを解説

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

会社員として働きながら、昨年から講師業として起業準備を始め、少しずつ収入が出るようになってきました。確定申告の時期が近づいてきて「経費」の扱いが気になっています。

交通費や書籍代、パソコンの費用など、どこまでを起業準備の経費として計上できるのでしょうか。全部計上していいのか、それとも副業関連だとわかるものだけなのか、正直なところよくわかっていません。

税理士に相談する前に基本的な考え方を教えてもらえると助かります。(38歳・会社員・女性)

質問

● 回答

一般論でお答えしますね。経費の基本的な考え方は、「その支出が起業準備(事業)のために使われたか」という一点です。シンプルに見えますが、実際には判断が難しいケースもあります。まず原則を整理しましょう。

経費として認められる基本原則

起業準備の所得が「事業所得」または「雑所得」に該当する場合、事業に必要だった支出は経費として収入から差し引けます。経費の基本原則は「事業と直接関係のある支出であること」です。プライベートな支出は経費にできません。

代表的な経費の例(講師業・コンサル業などの場合)

  • 交通費:クライアントや受講者の場所への移動(電車・バス・タクシー代)
  • 通信費:起業準備に使った携帯電話・インターネット代(家事按分で計上)
  • 書籍・学習費:起業準備に必要な専門書・セミナー参加費
  • 備品代:起業準備に使うパソコン・プリンター・周辺機器(減価償却が必要な場合あり)
  • 会議費:クライアントとの打ち合わせ時の飲食代(事業目的のもの)
「家事按分」という考え方

スマートフォンや自宅のインターネット回線など、起業準備とプライベートの両方で使うものは「家事按分」で経費計上できます。

たとえばスマートフォンを起業準備の連絡や調べものに30%使っているなら、通信費全体の30%を起業準備の経費として計上できます。割合は使用実態に基づいて合理的に決める必要があります(推計でも構いませんが、根拠を説明できる形にしておくと安心です)。

家事按分の例

  • スマートフォン料金:起業準備使用率30%なら月額料金の30%を経費に
  • 自宅インターネット料金:在宅で起業準備している時間割合で按分
  • 自宅家賃(在宅ワーク部分):起業準備に使っている専用スペースの床面積割合で按分
経費にできないものの注意点

事業と関係ない支出は経費になりません。よくある間違いとして、「起業準備のモチベーション維持で通ったジム」「気分転換の旅行」「事業と無関係の飲食」などは経費にできません。

また、起業準備の収入が20万円以下の場合でも、経費を差し引いた後の所得が20万円以下であれば確定申告が不要なケースがあります(ただし住民税の申告は必要)。計算の仕方を間違えないよう注意が必要です。

領収書・レシートは必ず保管

経費として計上した支出には、必ず領収書またはレシートを保管しておく必要があります。電子データ(スマホ撮影)での保管も認められていますが、「いつ・何に・どのくらい使ったか」が記録されていることが重要です。

「起業準備で使ったかもしれない」程度では経費にできません。「事業のために使った」と説明できる支出だけを経費にすることが、税務上のトラブルを防ぐ大原則です。

よくある経費の誤解

  • 「起業準備のモチベーション維持のための旅行」→ 経費にできない
  • 「仕事の息抜きのジム代」→ 原則として経費にできない
  • 「起業準備に関係するかもしれない書籍」→ 直接関係が証明できるもののみ
  • 「起業仲間との食事(業務内容なし)」→ 経費にしにくい(業務内容があれば会議費に)

起業準備を始めると「経費をいかに多く使うか」を考えがちですが、それより大切なのは「収入を増やすこと」です。経費計上の細かいルールは青色申告会などに確認しながら、まず売上を伸ばすことに集中してください。

税理士に相談するタイミングとしては、事業が本格稼働してきた後が目安になります。そこまでは、基本的な原則を押さえたうえで、青色申告会や税務署に直接相談しながら、自分で帳簿をつけておくことをお勧めします。

よくある質問

Q.書籍代は全額経費にできますか?

副業のテーマに直接関係する書籍は経費になります。ただし「なんとなく仕事の役に立つ」という本はグレーゾーンです。「この本から○○の知識を得て、実際にクライアントへの提案に使った」という実態があれば、より確実です。

Q.パソコンは経費にできますか?

副業に使っているパソコンは経費計上できます。ただし10万円以上の場合は「減価償却資産」として数年に分けて計上するのが原則です(青色申告で一定条件を満たせば即時経費計上できる場合もあります)。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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