記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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旭川市でお勤めの方から、起業準備をどう始めたらよいかご相談いただくことが増えてきました。北海道道北の中核都市・人口約31万人を抱える旭川市は、旭山動物園という観光資源と旭川家具・米麦・酒造という産業基盤を持ち、起業を考える角度が他の地方都市とは異なる地域です。
札幌から特急で約1時間25分、東京から旭川空港まで約1時間40分。北海道道北の玄関口という立地は、リモートワーク移住先としても近年注目を集めています。本記事では、旭川で勤めながら起業準備に動く場合の現実的な道筋と、押さえておきたい地域固有の機会を整理します。
旭川で起業準備を始める前提

旭川市は、総務省「人口推計」によれば北海道道北エリア最大の人口集積地ですが、緩やかな人口減少局面にあります。旭山動物園は動物の自然な行動を間近で見られる行動展示で知られ、旭川市公表データでは年間入園者数が100万人超で推移しています。旭川家具(旭川家具工業協同組合)は国内外で高く評価される産地家具で、米麦・地酒・ラーメンなど地域資源の集積地でもあります。
中小企業庁が毎年公表する中小企業白書・小規模企業白書でも、人口減少地域における観光・地場産業を活かす中小企業・小規模事業者の役割が大きな論点として継続的に取り上げられています。旭川の場合、観光客の安定的な流入があるため「地域の困りごとを解決する」起業に加えて「来訪者に届ける」起業の両軸が成立しやすい環境です。
知っておきたい支援施策

旭川市・北海道内には、起業準備中の方が将来活用できる支援施策があります。重要なのは、いますぐ駆け込むことではなく、方向性が固まったあとに使う道具として知っておくことでした。
- 上川総合振興局:
道北エリアの商工・地域産業に関する相談窓口 - 旭川市の創業支援窓口:
創業相談や創業支援情報を確認できる窓口 - 市町村ごとの移住・定住支援:
旭川市・東川町・美瑛町など、二拠点や移住相談の窓口 - 日本政策金融公庫旭川支店:
新規開業資金・女性、若者/シニア起業家支援関連融資の窓口
支援施策は、行き先が決まった人にとって強力な道具になります。逆に「何をやるか」が見えていない段階で相談に行っても、担当者も答えに迷ってしまいます。まずは自分の方向性を決める時間を確保するほうが先になります。
旭川で見える3つの起業機会

旭川で勤めながら動ける起業の方向性は、大きく次の3つに分けられます。
- 観光客導線活用型:
旭山動物園・大雪山系・美瑛・富良野来訪者向けのガイド・体験型サービス・オンライン物販 - 地域資源加工型:
旭川家具の小物・地酒・北海道米麦加工品など県内の産地家具・農産品をオンライン化・小ロット販売 - 二拠点・関係人口型:
札幌・東京に勤め先を残しながら、旭川の地域コンテンツを発信・サポートする形(移住なしで関わる)
拙著『会社で働きながら6カ月で起業する』にこんな考え方があります。地方で勤めながら動く人はSTAGEを区切って、最初のSTAGEは「現地で何が困っているか・何が眠っているか」を聞き取る期間に充てるのが現実的でした。商品設計を急がず、地域の声を100個ほど集めると、自分が立つべき位置が自然と決まってきます。
会員さんの事例

会員さんの三輪さん(仮名・44歳・既婚・小学生の子2人・札幌のメーカー総務担当)は、ご実家が旭川市内で、月に1回ペースで旭川に通う生活を続けてきました。実家近くの小規模家具職人さんが扱っている一点物の木製小物が、オンラインでまったく流通していないことに気づき、自己流で物販を立ち上げようとしたそうです。
最初の半年は商品ページ作成と仕入れに走り、結果的に在庫を抱えて消耗しました。起業18フォーラムの勉強会で「現地の声を100個集める」考え方を教わり、家具職人さんや地元商工会の方の話を約170件聞き取ったとのことです。聞き取りから「観光客は旭川家具を持ち帰りたい一方、宅配の仕組みが個人事業所には整っていない」「贈答用の小ロット需要が伸びている」という塊が浮かび上がりました。
そこから三輪さんは、物販単体ではなく旭川家具の小物と地酒を札幌・東京で月1回紹介する小規模イベントと、オンラインの定期便を組み合わせた構成に切り替えました。
準備15ヶ月目で月5万円、24ヶ月目で月17万円の継続収入になり、現在も札幌の会社勤めを続けたまま、二拠点で運営しているとのことです。いきなり移住するのではなく、札幌と旭川を往復する関係人口の形が、結果として続けやすい設計になったとのことでした。
旭川で起業準備を続ける順番

旭川で起業準備を続けたい方には、次の順番をお勧めしています。
- STEP1:
まず起業18フォーラムの動画・セミナーで起業の基礎と全体像を学ぶ - STEP2:
旭川で見える地域の困りごと・眠っている資源を100個メモする(3ヶ月かけて構わない) - STEP3:
方向性が見えてきたら、上川総合振興局や旭川市の創業支援窓口を使い始める - STEP4:
二拠点で始める場合は、最初の半年は移住せず、月1〜2回の往復で関係人口として動く
旭川の起業は、観光資源・地場産業・道北中核都市というポジションを抱えて進むことになります。条件の多さに圧倒されるより、自分の本業や経験と重なる軸を1つに絞って動くほうが、地域にも自分にもやさしい着地点にたどり着けます。

地方で勤めながら始める準備は、短距離走ではなく長距離走です。今夜まず、旭川の人に「最近何に困っていますか」と聞いてみたい相手を1人思い浮かべてみてください。その1人が、半年後の方向性を決めてくれます。
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