シフト制で休みが不規則でも、起業準備の時間は作れる?

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

アパレルの販売で、早番と遅番が週ごとに入れ替わり、休みも不定期です。「この曜日のこの時間に準備する」と決めても、翌週にはシフトが変わって続きません。連勤明けの休みは、疲れて何もできない日もあります。

こんな不規則な働き方でも、起業準備の時間は作れるのでしょうか?

起業前質問集

● 回答

作れます。ただ、うまくいかない本当の原因は「時間がない」ことより、「固定の曜日と時間で計画している」ことのほうにあります。シフトが動くのに枠を固定するから、崩れた週にそのまま止まってしまう。まずはここを組み替えるところから始めます。

その前に、いまの勤めを続けたまま準備してよいのか、という点にも触れておきます。厚生労働省の「モデル就業規則」は、令和7年(2025年)12月版の第70条で、「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」としており、副業・兼業を原則として認める内容になっています。会社が禁止・制限できるのは、労務提供上の支障がある場合、企業秘密が漏洩する場合、会社の名誉や信用を損なう場合、競業により企業の利益を害する場合など、限られたときだけです。

ただしこれは国が示す見本なので、まずはお勤め先の就業規則で、実際の扱いを一か所だけ確かめておくと安心です。

不規則なシフトで先に決める三つ

  • 合図:
    曜日ではなく勤務が終わった直後
  • 最小単位:
    疲れた日にも崩れにくい30分
  • 回復:
    連勤明けに予定を詰め込まない余白
固定の時間で決めるとシフトが崩れた週に手が止まる

不規則なシフトで多いのが、「毎週水曜の夜にやる」と固定の枠を先に決め、その枠がシフトで潰れた瞬間に一週まるごと止まる進み方です。翌週も同じことが起きて、二、三週で「やっぱり自分には無理だ」となってしまう。原因は意志の弱さではなく、動く働き方に固定の枠を当てはめた設計のほうにあります。

拙著『会社で働きながら6カ月で起業する』の第1章に、「頑張りすぎると続かない」という一節があります。決まった時間に必ずやろうと気負うほど、一度できなかった日につまずいて離れてしまう。だから、シフトが崩れても崩れない最小の単位を先に決めておくほうが、結局は長く続きます。

固定の曜日ではなく「勤務が終わった直後の30分」を単位にすると、シフトがどう動いても準備の時間はついてきます。早番でも遅番でも、勤務が終わるという区切りだけは毎回必ず訪れます。その区切りに30分をくっつけてしまえば、曜日も時刻もバラバラのままで構いません。

勤務明けの30分をシフトの型ごとに用意しておく

単位を決めたら、次はシフトの型ごとに「その30分で何をするか」を先に用意しておきます。同じ中身をどの日にも当てはめようとすると、また固定の枠に戻ってしまうからです。

勤務明けの30分・シフト別の使い分け

  • 早番明けの日:
    退勤後に立ち寄る店と、コーヒー1杯ぶんの30分
  • 遅番明けの日:
    通勤中に読むだけ・見るだけに絞った20分
  • 連勤明けの休み:
    回復を優先し、余力がある場合だけ触る30分

まずは手元のシフト表を見て、今週の勤務明けが何回あるかを数えてみてください。

勤務明けの30分で月4万円をつくった都筑さんの12ヶ月

都筑さん(33歳・仮名)は、アパレル販売のシフト勤務で、休みが連勤明けに重なることが多い人でした。疲れて何もできないまま3ヶ月が過ぎ、一度は準備そのものをあきらめかけていたといいます。転機は、「休みの日にまとめて」という思い込みを手放したことでした。

勉強会で別の会員さんの進め方を知ったのが、固定の枠をほどくきっかけでした。「決まった曜日にやろうとするから続かない。勤務が終わった直後を合図にしては」という起業18フォーラムでの一言で、踏ん切りがついたそうです。都筑さんが商品にしたのは、接客で毎日していた「お客さまの手持ち服から着回しを組む」やり取りを、誰でも書き込める1枚のテンプレートにしたものでした。

作るのは一度きりで、あとは売れるたびに収入になる形です。単価2,000円で、最初は月10本ほど。半年を過ぎたころから、一度買った人の8割が翌月の新作テンプレートも買ってくれるようになりました。季節ごとに着回しの型が変わるアパレルでは、毎月の新作に需要が続きました。月20本、金額にして月4万円前後の継続収入になりました。12ヶ月目には、販売の仕事を続けたまま、この収入が毎月積み上がっています。

都筑さんの伸びは、まとまった時間を確保できたからではありません。勤務明けという毎回必ず来る区切りに30分を結びつけ、シフトが動いても途切れない形にしたことが、12ヶ月分の積み上げになりました。この進め方の細かい詰めは、次回の勉強会でもう一段掘り下げる予定だそうです。

不規則な働き方は、あなただけのものではありません。総務省の労働力調査(令和7年平均)では、非正規の職員・従業員数は2,128万人で、その働き方についた主な理由のうち最も多いのが「自分の都合のよい時間に働きたいから」(757万人)でした。時間が動く働き方は特別なことではなく、その前提で準備を進めればよいだけです。

次の勤務明けに、初期費用のかからない形を一つだけ選んで、実際に出してみてください。完成度は問いません。出してみて初めて、続けられる形かどうかが分かります。

貯金が少ないと起業の準備はできない? 元手ゼロから試す方法は?
● 質問 そのうち自分でも何か始めたいのですが、まとまった貯金がありません。起業にはある程度の元手が要ると聞く

大きな決断は要りません。勤務明けの30分という、シフトが動いても必ず手元に残る単位から始めれば、不規則なままでも準備は前に進みます。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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