記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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● 質問
起業に興味はあるのですが、まとまった貯金がありません。ネットで調べると数百万円かかると書いてあって、自分には無理な気がして動けずにいます。
貯金が少ない状態でも、起業準備を始めることはできるのでしょうか?

● 回答
「数百万円ないと起業はできない」という前提が、最初の一歩を重くしている方は本当に多いです。まず一つ、数字の見方からほどいていきましょう。
日本政策金融公庫の新規開業実態調査では、開業費用は平均と中央値に開きがあり、少額で動き出す開業者も一定数います。この数字だけを見ると大金が要るように思えますが、店舗や設備に大きく投資する業種と、在宅・無在庫・スキル提供型の事業では必要額が大きく違います。
平均が高く出るのは、店舗や設備に大きな資金をかける一部の業種が全体を引き上げるからです。多くの人は、もっと小さい金額から始めています。全体平均はあなたの必要額そのものではなく、業種がまるごと違う人たちまで混ざった数字なのです。
お金がかかる起業と、かからない起業を分けて考える
起業準備で最初にやるべきは、貯金を増やすことではありません。「お金がかからない始め方」を先に知ることです。
拙著『会社を辞めずにあと「5万円!」稼ぐ』に、ビジネスを4つに分ける見方が出てきます。モノを仕入れて売る「プロダクト系」、自分の技術を提供する「スキル系」、経験や知識を伝える「ノウハウ系」、場所や機会を貸す「スペース系」の4種類です。
このうち在庫を持たないスキル系・ノウハウ系は、初期費用がほとんどかかりません。たとえば本業で身につけた表計算の使い方を教える、これまでの経験で人の相談に乗る、といった形なら、必要なのは手元のパソコンやスマホだけです。まず「在庫を持たない始め方」から候補を探すと、必要なお金は一気に小さくなります。
- 貯金が貯まってから始めようとして、何年も動けないまま
- 「とりあえず店舗・在庫・道具」から先に揃えようとする
- 平均額を自分の必要額だと思い込んでしまう
上のような形は、お金をかけるほど後戻りしにくくなります。先にお金を使うのではなく、先に小さく試して反応を見るのが、リスクを抑える順番です。
少ない元手から始めて、利益で道具を足していった例
起業18フォーラムの会員で、Iさん(30代後半・IT企業勤務・未就学のお子さんが二人)という方がいます。住宅ローンと教育費でほとんど貯金が回せず、「お金がないから起業は無理だ」と長く思い込んでいました。
独立を意識して最初は自己流で動き、商用の動画編集ソフトや機材を先に買い揃えようとしたものの、月々の出費が重くて続かず、一度手が止まりました。そこから起業18の勉強会に参加し、「在庫も初期投資もいらないノウハウ系から始める」という順番に切り替えたのです。
具体的には、本業で日々やっていた社内マニュアルづくりの経験を活かし、小さな会社向けに業務手順の整理を手伝う仕事を、手持ちのパソコン1台で始めました。初期にかけたお金は、名刺と通信費だけだったそうです。
反応を見ながら少しずつ単価を上げ、利益が出てから必要な道具を足していきました。今は本業を続けながら、毎月の手取りに数万円を上乗せできる状態まで育っています。最初に大きな投資をしなかったからこそ、続けられたのだと話していました。
- 在庫を持たないスキル系・ノウハウ系から候補を選ぶ
- 道具は利益が出てから足す、と先に順番を決めておく
- 最初は知り合い数名への無料お試しで反応を確かめる
お金がない状態は、実はムダな投資を防ぐブレーキにもなります。元手が小さいぶん、合わなければすぐ方向を変えられるからです。
道具を買う前に、まず今週、知り合い一人に「こういうことを手伝えそうだ」と声をかけてみてください。
必要なのは数百万円の貯金ではなく、お金をかけない始め方を一つ知ることです。今の手持ちで試せる形は、思っているよりずっと近くにあります。

まずはお金をかけずに試せる一歩を選び、反応を見てから必要な支出を決めていきましょう。
もし今「貯金が貯まったら」と考えているなら、その前提を一度だけ疑ってみませんか。手元のパソコン1台で試せることが何かないか、そこから始めてみてください。
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