記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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● 質問
会社員のかたわら、知人から業務委託で資料作成や動画編集の案件を受け始めました。最初は嬉しかったのですが、修正がどこまで続くかわからず、夜中の連絡や追加作業に消耗しています。
契約書を読み込めば守れるのでしょうか? 案件を受け続けてよいかどうかの判断軸を知りたいです。

● 回答
業務委託の案件で消耗していく順番には、決まったパターンがあります。守るべきは契約書ではなく、契約書の前に自分で決めておく「断る条件」のほうです。契約書はあとから書かれた紙ですが、断る条件は最初から自分の頭の中になければ機能しません。
公正取引委員会のフリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律・2024年11月施行)特設サイトでは、取引条件の明示・60日以内の支払期日・禁止行為などが整理されています。制度は実際に整いつつありますが、制度が守ってくれるのは「報酬未払い」「一方的な減額」など発注側の明確な違反だけです。修正回数や夜間対応のグレーゾーンは、制度ではなく自分の線引きで決めるしかありません。
そこで、案件を受ける前に紙1枚で決めておくのが、次の手順です。
- STEP1 受ける作業範囲を1行で書き出す(例:1記事3,000字・初稿納品まで)
- STEP2 無料で対応する修正回数を決める(例:2回まで・以降は追加料金)
- STEP3 返信してよい時間帯を決める(例:平日19〜21時/土日は返信しない)
- STEP4 断る赤信号を決める(例:見積り前に作業を要求された/納期が翌日中)
拙著『会社を辞めずに朝晩30分からはじめる起業』にも書いたのですが、退職前に確認しておくべきポイントの一つは「会社の外で収入の柱を作る現場で、自分が事業者として境界線を持てるか」を実地で試しておくことでした。境界線を引かないまま会社を辞めると、辞めた瞬間に下請け労働者の働き方を持ち越してしまいます。
会員さんの紺野さん(仮名・38歳・既婚・小学生の子1人)は、最初の半年を自己流で動画編集の業務委託を受け、無限修正に巻き込まれて月30時間以上の追加作業を抱えました。起業18フォーラムの勉強会で「断る条件」の作り方を学び直したそうです。受注時に修正2回・返信時間帯・赤信号を文章で先方に共有することにしました。
その結果、相性の合わない発注先は最初の3回で自然と離れ、残った2社で月13万円の継続収入になりました。作業の総時間は半分以下になり、家族と過ごす夜の時間も戻ってきたとのことです。断ることで失う案件はあるけれど、続けるべき案件と相手が見える化される、というのが紺野さんの体験でした。
業務委託は、断る条件を決めた瞬間から事業者の働き方に変わります。契約書を完璧に読むより、自分の断る基準を先に決めるほうが、長く続けられる案件の取り方になります。退職前にこの感覚を持っておくと、会社を辞めるかどうかの判断もぐっと現実的になります。

断ることは、相手を拒絶することではなく、続けるための前提を見せることです。次の1件を受ける前に、紙1枚で4つのSTEPを書き出してみてください。
最初に決めるのは営業トークではなく、引き受けない条件です。その線があるだけで、案件を受けた後の疲れ方が大きく変わります。
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