起業アイデアがAIに取って代わられそうで不安なとき、どう考える?

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

会社員をしながら、いつか自分でやりたいと考えています。温めている起業アイデアもあるのですが、これからはAIが何でもやってしまう時代だと聞くと、やる前から自分のアイデアが古いのではないかと不安になります。

AI時代でも通用する起業アイデアは、どう見極めればよいのでしょうか?

起業前質問集

● 回答

起業アイデアを、いきなり「これから伸びそうな分野」や「流行のキーワード」から選んでしまう。これが、AI時代にいちばん多いつまずきです。最近の相談現場でも、頭の中だけで「この分野はAIに奪われる」と結論を出して止まってしまう方が増えています。

順番に考えると、つまずきの理由が見えてきます。流行から選んだアイデアは、自分の経験ともお客様の顔ともつながっていません。だから、AIの話題が出るたびに足元が揺れます。

「AIに奪われる」より先に立てたい問い

不安なときほど、問いを立て直すことが役に立ちます。本当に問うべきは「AIに置き換えられるか」ではなく「その困りごとを抱えた人が、これからもいなくならないか」です。AIが速くこなせるのは作業の部分です。誰がどんなことで困っているのかを読み取り、何を解くべきか決める仕事は、これからも人に残ります。

需要そのものも消えていません。総務省の令和4年就業構造基本調査によると、非農林業従事者のうち副業がある人は305万人にのぼります。会社の外で誰かの役に立って対価を得る場は、むしろ広がっています。問題はアイデアが古いことではなく、アイデアの選び方そのものにあります。

流行ではなく「困りごと」から選ぶ

拙著『起業神100則』に、ドリルを売るな、穴を売れという言葉が出てきます。お客様がほしいのはドリルという商品ではなく、穴という結果です。アイデアを流行の分野で考えるのは、ドリルから考えること。困っている人の「解きたいこと」から考えるのが、穴から考えることです。困りごとを起点に選んだアイデアは、道具がAIに変わっても揺らぎません。

起業18フォーラムの会員に、Kさん(仮名・42歳・自動車部品メーカーの技術職・小学生の子が二人)という方がいます。最初は自己流で「これからはAIを使ったSNS運用代行が伸びる」と流行のアイデアに飛びつき、講座にお金をかけました。けれども、得意でも好きでもない仕事で、半年ほどで手が止まったそうです。

転機は、起業18フォーラムで「会社で何を頼られてきたか」を棚卸ししたことでした。Kさんは製造現場で、不具合の記録を整理する書式づくりを社内でいつも任されていました。そこから中小製造業向けに記録の様式整備を手伝う方向へ切り替え、12ヶ月目に立て直して最初の継続のお客様に出会い、いまは月10万円ほどの収入が続いています。

  • 自分が会社で繰り返し頼まれてきた仕事を起点にする
  • 身近に「これで困っている」と言う人が実在するかを確かめる
  • AIを敵ではなく、作業を速くしてくれる道具として組み込む

こうして選んだアイデアは、流行が変わっても、AIが進歩しても、芯が残ります。なぜなら、芯にあるのは技術ではなく、困っている人だからです。

温めているアイデアを、次の3つの問いに当てはめて点検してみてください。

  • 誰の、どんな困りごとを解くアイデアかを一文で言えるか
  • その困りごとは、AIが普及しても残り続けるか
  • 自分の経験や強みと、そのアイデアはつながっているか

温めているアイデアを、「誰の、どんな困りごとを解くのか」という一文に書き直してみてください。言葉にならなければ、まだ流行から選んでいるサインです。

アイデアが古いかどうかで悩む時間は、困っている人を一人見つけにいく時間に変えられます。そちらのほうが、答えはずっと早く出ます。

AIは、あなたのアイデアを奪う相手ではありません。困りごとから選んだアイデアを、より速く形にしてくれる道具です。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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