記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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2026年5月1日に閣議決定された「2026年版中小企業白書」に、目を奪われる数字があります。日本の起業無関心者は75.8%、開業率は3.8%。4人に3人が起業に興味すら持っていない一方で、それでも動き出す人は1割未満という現実です。
ただこの数字、誰かを責めるためのものではありません。むしろ、ここから動き出す人は2026年の今、追い風を受けやすい位置にいます。26年の支援現場で見てきた、無関心側から3.8%側に回るために最初に決めるべき「3つの仮決定」と、人生の自由時間4500日の使い方を、起業18フォーラム会員の辻本さん(仮名)の歩みと重ねて整理していきます。
日本人の75.8%が起業無関心、開業率3.8%の本当の意味

中小企業庁が2026年4月21日に公表した「地域の持続的成長に向けた創業政策のあり方検討会」報告書では、日本の開業率3.8%が米英の10%超に対して大きく見劣りする現状と、起業無関心層が国民の75.8%を占めるという国際比較が示されました。さらに2026年5月1日に閣議決定された「2026年版中小企業白書・小規模企業白書」でも、この構造が改めて取り上げられています。
75.8%という数字は「日本の会社員は起業に向いていない」という意味ではありません。「興味の入口に立ったあと、何から手をつければいいか分からないまま無関心側に戻ってしまう」という再無関心化の構造が背景にあります。私のこれまでの起業支援の現場でも、最初は熱心に問い合わせをしてきた方が、半年後には音信不通になり、もう1年後にもう一度連絡をくれる、というケースを毎年のように見てきました。
つまり、3.8%は「特別な才能の人」ではなく「無関心側に戻らない仕組みを最初に作った人」だという読み替えが可能です。逆に言えば、戻らない仕組みを作らないかぎり、誰でもいつのまにか75.8%側に吸い込まれてしまいます。
起業無関心に戻ってしまう人の3類型

26年の支援現場で見てきた限り、起業に興味を持ちながら無関心側に戻ってしまう人には、ほぼ3つの典型があります。
- セミナーはしご型:月1〜2万円のセミナーを並行受講し、知識だけが膨らんで動けない
- 家族発言型:配偶者や親の一言で勢いが止まり、会話を避けるように再封印する
- 本業優先型:繁忙期で「今年はやめておく」を毎年繰り返し、いつのまにか定年が近づく
辻本さん(仮名・50代前半・男性・大手電機メーカーの総合職・年収720万円・妻と社会人になった娘)も、最初の半年はセミナーはしご型でした。月15,000円のオンライン起業塾と、隔週開催の異業種交流会、書店で目についた起業本を月3冊。情報は集まるが、自分の動きは何も変わらない状態が半年続きました。
このパターンが厄介なのは、本人が「動いている感覚」を持ってしまうことです。セミナーの予約・参加・SNS投稿の繰り返しは、起業準備ではなく「準備しているふりの消費活動」になりがちです。消費の対価としての満足が得られるため、次第に動かないことへの違和感も薄れます。
3.8%側に回るために最初に決める「3つの仮決定」

辻本さんが無関心側に戻らずにすんだ転機は、起業18フォーラムに参加して半年目、勉強会で出会った「3つの仮決定」を最初に紙に書いたことでした。拙著『会社を辞めずに朝晩30分からはじめる起業』の冒頭で書いていることでもあるのですが、この本では起業準備を始める前に「予算」「期間」「出口」の3点を仮決めし、毎年見直すよう勧めています。
- 予算:起業準備に投じてよい総額(生活費を圧迫しない範囲)
- 期間:「ここまでに最初の1円を稼ぐ」期限(半年〜1年が現実的)
- 出口:その期間で収入が立たなかった場合の身の振り方(一旦休止/別ジャンル/勉強だけ継続)
仮決定が「仮」のままでよいのは、本決定にすると逆に動けなくなるからです。「来月までに最初の1件」よりも「12ヶ月目までに月3万円」のほうが心理的な余白が大きく、しかも撤退条件を最初に決めておくことで、家族の反対や本業の繁忙にも振り回されにくくなります。
辻本さんが書いた仮決定は、予算30万円・期間12ヶ月・出口は「単価2万円のスポット相談業」。この時点で具体的な顧客像はまだ決まっていなかったのですが、仮決定を紙に書いて妻に見せた瞬間、家族との会話の景色が変わったと本人は語っています。
4500日のうち何日を仕込みに使うか

もう1つ、辻本さんの背中を押した考え方があります。拙著『会社を辞めずにあと「5万円!」稼ぐ』に「4500日理論」という整理を載せていて、人生3万日のうち、睡眠と会社員時間を引くと、自分の意思で自由に使える時間は4500日しか残らない、という考え方です。
50代前半なら、残りの4500日のうち実際に動ける期間はもっと少ない計算になります。辻本さんはこれを聞いた夜、ノートに「あと8年で定年。残り自由時間は約2200日。そのうち200日を仕込みに使う」と書きました。書いたその日から、毎晩30分の作業時間が固定枠として確保されるようになりました。
会社員のまま月10万円の収入を超えた会員さんからは、起業18フォーラム宛てに「初めて月の売上が10万円を超えました。新井様からのアドバイスや、起業18の皆さまのご支援があってこその結果だと感じております」というメールが届くことが、最近もありました。この方も最初の動き出しは「人生の残り時間を可視化したこと」だったとのことです。動き出しの判断は、感情ではなく数字が後押しするものなのだと、改めて感じる出来事でした。
- セミナーはしご型で半年消耗
- 起業18フォーラム参加・勉強会で「3つの仮決定」に出会う
- 予算30万円・期間12ヶ月・出口を紙に書き、妻と共有
- 14ヶ月目に最初の3万円受注、20ヶ月目に月8万円の継続契約2社
- 22ヶ月目の現在は月収14万円・在職中・3年後の独立を逆算中
辻本さんが「仮決定」と「4500日」を組み合わせて使ったように、抽象的な数字を自分の人生に落とし込む作業は、半日もあれば終わります。むしろ、ここに丸1週間かけてしまう人ほど動き出しが遅れます。20点でいいので一度紙に書いてしまうのが先です。
会社員のまま動き出すための最後のひと押し
3.8%側に回るために必要なのは、覚悟でもなくスキルでもなく、「無関心側に戻らない仕組み」をひとつだけ作ることです。日本政策金融公庫の2025年度新規開業実態調査でも、開業者の約8割が「在職中からの兼業スタート」と答えており、会社員のまま動き出す道筋は2026年の今、過去最も整っています。
もし今夜、何か1つだけやれることがあるとすれば、A4の白紙に「予算」「期間」「出口」の3行を書くことです。金額や期日は仮で構いません。書いたあとで、その隣に「自分の自由時間は残り何日か」を書き加えてみてください。ここまでで、無関心側からの脱出はもう半分終わっています。

速度は落としても、方向は変えない。それが、75.8%の無関心側からはじめた人にだけ、半年後・1年後にゆっくり見えてくる景色です。
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