記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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● 質問
定年退職時に1500万円ほど退職金が入る予定です。これを元手に起業しようと考えていますが、家族からは「老後資金に手をつけるのはやめて」と反対されています。
退職金を起業の元手にしてもよいのでしょうか? 落とし穴と、安全な使い方の目安を教えてください。

● 回答
日本政策金融公庫総合研究所「2024年度 新規開業実態調査」によると、開業時の自己資金平均は580万円、開業費用平均は1,177万円という数字が出ています(出典:日本政策金融公庫)。退職金を全額投じる発想はもっとも危険な使い方です。家族の不安は、データの裏付けがある合理的な懸念だと受け止めてください。
拙著『起業がうまくいった人は一年目に何をしたか?』では「お金の基準」として、お小遣い月3〜4万円/初期+運転月1万円以下/運転コスト6ヶ月分を予備、という考え方を書きました。この本がもっとも重視しているのは「大きなお金がかからない事業を選ぶ」ことです。1500万円が必要になる事業設計そのものが、会社員のまま準備するレンジから外れている可能性があります。
- 落とし穴1:全額投資→数年で底をつき、再就職も困難な年齢に
- 落とし穴2:高額な店舗・設備投資→売上が立つ前に固定費が圧迫
- 落とし穴3:退職金を「投資」と考える→起業はギャンブルではない
- 落とし穴4:家族の老後設計を無視→離婚・関係悪化のリスク
では、どう使えば安全か。私のこれまでの起業支援の経験から、退職金の使い方は次の3段階で整理することをお勧めします。
- 第1層(生活防衛資金):生活費2年分を必ず別口座に分離(退職金の半分前後)
- 第2層(運転資金):月1万円〜5万円×24ヶ月分の小規模運転費(数十万円)
- 第3層(成長投資):第1・2層を確保した残りで、必要なら専門家相談・広告投資へ
1500万円のうち、起業に直接投じるのは多くて100〜200万円が目安です。残りは生活防衛・老後資金として完全に分けてください。退職金を「起業のため」ではなく「家族の生活を守る土台」と先に位置づけることで、結果として事業判断も冷静になります。
退職金が振り込まれたら、まず生活費2年分を別口座に移してから事業計画を立て直してください。これだけで、家族の不安と起業判断の両方が落ち着きます。

退職金は「起業の燃料」ではなく「生活の地面」です。地面を確保したうえで小さな試みに少額を回す順序を守れば、家族の理解も得やすくなり、長く続けるための心の余裕も生まれます。
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