記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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「ひらめきもないまま、ムダな努力を積み重ねても意味がない」
これは、匿名掲示板「2ちゃんねる」を立ち上げたひろゆきさん(西村博之氏)が、著書『1%の努力』(ダイヤモンド社・2020年)で投げかけた言葉です。エジソンの「99%の努力と1%のひらめき」を、1%のひらめきが欠けると残りの99%がムダになると読み替えた一節になります。
世間では「努力を積み重ねれば道は開ける」と理解されがちですが、ひろゆきさんはそうではないと言い切ります。耳ざわりのいい言葉だけが広まると、かえって不幸な人を増やしかねない。その問題意識からこの本は生まれたそうです。
私は26年にわたり、延べ6万人の会社員の起業準備に向き合ってきました。その現場感覚で読むと、ひろゆきさんの言葉は「起業に踏み出すかどうかの判断軸」として驚くほど使えます。ここでは『1%の努力』を中心に、起業に効く語録を5つ選び、あなたが明日どう動けばいいのかまで、一緒に読み解いていきます。

人生に「生きる意味」はない、だから楽しく働く道を選ぶ

ひろゆきさんは、人間も動物や細菌と同じひとつの生命体で、もともと意味があって生きているわけではないと考えています。だからこそ「死ぬまでにできるだけ楽しく暮らす」ことを目標にすればいい。生きる目的は「幸せの総量を増やすこと」に置けばいい、という考え方です。
多くの人は、生活のために働き、つらくても我慢するのが当たり前だと思っています。でも、楽しめない働き方を続けても、自分が育つ実感はなかなか得られません。
私自身、自分らしく生きるために起業を選びました。同じ理由で会社の外に一歩を踏み出す人は、ここ数年で確かに増えています。起業準備は「我慢の総量」ではなく「幸せの総量」を増やすための選択だと考えると、最初の一歩が軽くなります。
もちろん、いいことばかりではありません。それでも、本当にやりたかったことを仕事にできるので、私は勤めていた頃より毎日を楽しめています。
お金より「自分に価値が貯まる仕事」を選ぶ

金融庁の金融審議会が2019年6月にまとめた報告書をきっかけに、いわゆる「老後2000万円問題」が話題になりました。お金への不安が一気に広がった出来事です。
そんな空気のなかで、ひろゆきさんは「お金を持っても大して人生は変わらない」と語っています。お金で手に入るのは、値段がついているものだけだから、という理由です。
大事なのは、お金そのものより「自分に価値が貯まっていく仕事ができているか」。この感覚に私もとても共感します。起業準備を始めた当初は、新しいビジネスからの実入りはゼロどころかマイナスになります。そこで「全然儲からない」と切り捨ててしまうのは、もったいないと感じます。
その時期に積んだ経験は、後で事業が回り始めたときに効いてきます。収入だけでなく、あなた自身の評価や市場価値も一緒に上がっているはずです。単にお金が欲しいだけなら時給の仕事で十分です。起業準備で問うべきは「これは自分の値打ちを高めているか」です。
チャンスは突然来る、準備した人の前にだけ女神は現れる

「頑張ればなんとかなる」という発想は、意外と危ういとひろゆきさんは指摘します。目の前のことに追われていると、人生に巡ってくるチャンスを取りこぼしてしまうからです。
「幸運の女神には前髪しかない」というたとえがあります。女神は、出会った人がつかまえやすいよう前髪を垂らしていますが、通り過ぎたあとは後ろ髪がなく、もうつかめません。チャンスをチャンスと気づいて手を伸ばせるかどうかは、自分に余裕があるかどうかで決まる、というのがひろゆきさんの見立てです。
ある日とつぜん、知人から「起業したから、君もやってみない? 」と誘われることがあるかもしれません。そのとき動けるかどうかは、日頃の準備にかかっています。本で学び、起業セミナーに足を運んでいる人ほど、誘いを前向きに受け止められます。私の言葉に置き換えるなら「準備ができているところに女神は現れる」です。
どこにチャンスが転がっているかは誰にも読めません。だからこそ、知識を広げ、情報のアンテナを張っておくことが、いざというときの差になります。
自分にとっての「大きな岩」を先に決める

ひろゆきさんが『1%の努力』で紹介しているのが、ネットでも有名な「この壺は満杯か?」という大学の講義での寓話です。特定の人物の発言というより、優先順位を教える話として広く知られているものになります。
講義では、大きな壺にいっぱいになるまで岩を詰め「この壺は満杯か?」と学生に問います。学生が「はい」と答えると、講師は岩のすき間に砂利を流し込みます。さらに「満杯か?」と聞き、今度は砂を、最後には水を、淵までなみなみと注いでいきます。

この話の核心は「大きな岩を最初に入れなければならない」という点です。先に水や砂で満たしてしまうと、肝心の岩を入れる余地が消えてしまいます。
ひろゆきさんは、このたとえを引きながら「自分にとっての『大きな岩』はなんだろう?」と問い続ける必要があると言います。たとえば家族との時間がいちばん大切なら、その時間を確保できる働き方を選ぶことになります。好きなことに没頭したいなら、それが叶う仕事を自分でデザインすればよいのです。
起業準備でも同じです。私の現場でも、収入の数字ばかりを「砂や水」のように先に入れてしまい、「何のために独立したいのか」という大きな岩を後回しにして迷子になる方をよく見ます。順番を逆にするだけで、進む方向がはっきりします。
漠然とでいい、ゴールを持っておく

ひろゆきさんは「こうなっていればいいな」という程度でいいから、ゴールを持っておくことを勧めています。漠然としていても、ゴールがあると向かう方向がはっきりするからです。
たとえば「いつか退職して起業したい」と思っているなら、まずは「5年以内に始める」とざっくり決めておく。起業するという目標さえ立っていれば、勤めながら準備を進めておけます。もちろん、いますぐ会社を辞める必要はありません。
ここで効いてくるのが、拙著『会社を辞めずにあと「5万円!」稼ぐ』で取り上げた「4500日」という考え方です。平均寿命まで生きても、自由に動ける時間から睡眠や仕事を引くと、本当に使える日数は意外なほど限られています。だからこそ、漠然としたゴールを早めに置いて、少しずつ動き出すことに意味があります。
起業18フォーラムの会員さんに、橘さんという40代の方がいます。最初は「いつか独立できたら」と考えるだけで、何も手を動かせない時期が長く続いていました。転機は、起業18フォーラムの個別相談で「まず3年後に月5万円」という小さなゴールに分けたことでした。ゴールを刻んだ橘さんは、勤めを続けながら週末に試作と発信を重ね、2年目で月7万円台の手応えをつかみました。
目標を持つと、自分が何をしたいのか、何で起業したいのかが少しずつ見えてきます。「営業はもうやりたくない」「お客さんと直接関わる仕事がしたい」といった、自分らしい働き方の輪郭も浮かび上がってきます。
まとめ:今日できる一歩から始める

独特の視点を持つひろゆきさんの言葉から、起業準備に効く5つを読み解いてきました。あくまで私なりの解釈なので、「それはちょっと違う」と思う部分もあるかもしれません。
それでも、幸せの総量を増やすためにも、自分の価値を高めるためにも、働き方の選び方はとても大事だと私は考えています。チャンスをつかむために学んで準備を整え、漠然とでもゴールに向かって進んでいく。その積み重ねが、いつか大きな差になります。
- 大きな岩を決める:
何のために独立したいのか、いちばん大切にしたいものを紙に1行書き出す - ゴールを刻む:
「○年以内に月○万円」と、漠然とでいいので時期と金額を仮置きする - 女神の前髪に備える:
本を1冊読む、セミナーに1つ申し込むなど、今日できる学びを1つ予約する
大事なのは、完璧な計画より最初の一歩です。今日できることは、上の3つから1つ選んで手をつけるだけで十分です。勤めているうちから準備を始めましょう。一緒に一歩、踏み出してみませんか。
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