記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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平日は会社で働きながら、夜や休日に絵を描いている。その絵を「いつか仕事にできたら」と思いつつ、フォルダの中で眠らせている。そういう方は、思っているよりずっと多くいらっしゃいます。
描く力はもう手元にあるのに、最初の一歩だけが踏み出せない。その一歩を、できるだけ小さく、できるだけ安全にするための場所として、イラストやキャラクター制作の受注に特化したSKIMA(スキマ)を取り上げます。
会社に勤めたまま、絵で最初の依頼を受けるまでの順番を、私が支援の現場で見てきた範囲でお話しします。
SKIMAはどんな場所か、まず輪郭をつかむ

SKIMA(スキマ)は、株式会社ビジュアルワークスが運営する、イラスト・キャラクター制作の受注に特化したスキルマーケットです。アイコン用の似顔絵から、立ち絵、配信で使う素材まで、絵に関する依頼と受注がここで完結します。
似たサービスは他にもありますが、SKIMAは「絵を描いて受ける人」に寄った設計になっている点が特徴です。幅広いジャンルを扱う総合型のマーケットと違い、依頼者も最初から絵を探しに来ているため、描き手と依頼者の目的が最初からそろっています。これは、絵で受注を始めたい方にとって、入口の摩擦が少ないということでもあります。
手数料と決済の仕組みを、出す前に知っておく

絵を出品する前に、お金の流れだけは先に押さえておくと安心です。記憶や噂ではなく、公式の数字で確認しておきましょう。
SKIMAの販売手数料は、出品者にかかります。SKIMA公式のご利用ガイドによると、オプションを含む個別販売総額が1,000~20,000円までの取引は22%、20,001~50,000円までは16%、50,001円以上は11%(いずれも消費税込み)です。金額が上がるほど手数料率が下がる設計のため、低単価の単発を数多くこなすより、まとまった金額の依頼を受けたほうが手元に残る割合は増えます。
購入者側の支払い方法も、いくつか選べます。SKIMA公式ガイドでは、クレジットカード、コンビニ払い、売上金からの支払いに加えて、Google PayとApple Payが利用できると案内されています。スマートフォンから手軽に依頼できる入口が増えたことは、描き手にとっては依頼が届きやすくなる方向の変化です。
- 販売手数料:
1,000~20,000円は22%、20,001~50,000円は16%、50,001円以上は11%(消費税込み・SKIMA公式ガイド) - 購入者の支払い方法:
クレジットカード、コンビニ払い、Google Pay/Apple Pay、売上金からの支払い - 売上の現金化:
振込申請には本人確認と振込先口座確認の承認が必要
売上を受け取るには本人確認が要る

描いた絵が売れて売上が立っても、それを口座に移すには手続きが要ります。ここでつまずく方が時々いるので、先に触れておきます。
SKIMAで売上を現金化するには、振込申請が必要です。SKIMA公式ガイドによると、振込申請には本人確認と振込先口座確認の両方が承認されている必要があり、審査には数時間から1週間程度かかる場合があります。運転免許証やマイナンバーカード、パスポートなどの書類を、出品して売れてから慌てて探すより、最初に手元にそろえておくほうが落ち着いて進められます。
このひと手間は、面倒に見えて、じつは描き手を守る仕組みでもあります。お金がきちんと本人に届く経路が整っているからこそ、依頼者も安心して前払いできる。受け取りの土台を最初に固めておくことが、長く続けるための安心につながります。
一枚絵の受注だけに、柱を預けない

ここで一度、SKIMAの外側まで視野を広げておきたいところです。なぜなら、絵で受注を始めた方の多くが、ある時期に同じ壁にぶつかるからです。それは「一枚いくらの受注だけでは、自分の時間がそのまま天井になる」という壁です。
拙著『起業がうまくいった人は一年目に何をしたか?』に、商品には4つのカタチがあるという考え方を紹介しています。モノを渡す、やってあげる、教えてあげる、場や機会を提供する。この4つです。絵の受注は「やってあげる」のカタチひとつに当たりますが、描く力は、残りの3つのカタチにも展開できます。
たとえば、描いた線画や素材を商品として渡せば「モノを渡す」になります。描き方や受注の進め方を伝えれば「教えてあげる」になります。同じように絵で受注を始めたい人が集まる場をつくれば「場や機会を提供する」になります。一枚絵の受注を入口にしながら、柱を一本足にしない。この発想を最初から頭の片隅に置いておくと、受注の波が高い月も低い月も、気持ちが揺れにくくなります。
会員さんの歩み:依頼者の数が積み上がっていく

起業18フォーラムの会員に、鴻池さんという40代の方がいます。日中は事務の仕事をしながら、夜にイラストを描き続けてきた方です。
最初の半年は、自己流でした。SKIMAに登録して、得意な絵柄をひととおり並べ、あとは依頼が来るのを待つ。そういう出し方でした。たまに依頼は入るものの、相手によって希望はばらばらで、毎回ゼロから話を詰めるうちに疲れてしまう。出品ページは賑やかなのに、同じ依頼者がまた戻ってくることは、ほとんどありませんでした。
きっかけは、起業18フォーラムの勉強会でした。自分の出品ページを会員のみなさんに見せたところ、一人から「これは、誰に向けて描いているページなの?」と聞かれたのです。鴻池さんは、そこで初めて言葉に詰まりました。あらゆる絵柄を載せていたのに、「この人に頼みたい」と思わせる相手が、どこにも想定されていなかったのです。
その一言をきっかけに、鴻池さんは出品ページを組み直しました。配信活動をする人向けのアイコンに対象をしぼり、依頼から納品までの流れを一枚にまとめ、過去に描いた絵も同じ系統でそろえました。すると、依頼の質が変わっていきました。一度頼んだ人が「次はヘッダーも」と戻ってくるようになり、その人がまた別の配信者を紹介してくれる流れが生まれたのです。
15ヶ月目を迎えるころ、鴻池さんが見ていたのは月々の売上の上下ではありませんでした。これまでに絵を届けた依頼者の延べ人数でした。気づけば、その数は60人を超えていました。一人ずつ積み上がっていったその数が、自分の絵が確かに届いてきた証として、手元に残っていたのです。単発の受注を追いかける感覚から、関わった人が増えていく感覚へ。この15ヶ月で、鴻池さんの軸足はそこまで移っていました。
絵で受ける仕事は、市場の中でどこにあるか

「個人が絵を描いて受注する」という働き方は、特別な人だけのものではなくなってきています。土台にあるのは、オンラインで物やサービスを売り買いする市場そのものの広がりです。
経済産業省が2025年に公表した「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」によると、2024年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は26.1兆円で、前年比5.1%増となりました。個人が作ったものやサービスをオンラインで届けられる土壌が、年々厚くなっているということです。
絵の受注は、この大きな流れのひとつの入口です。在庫を抱える必要がなく、自分の手と時間さえあれば始められる。会社に勤めながら、自分の収入の柱を一本だけ持っておきたい方にとって、絵を描いて受けるという選択肢は、現実的な土台の上に立っています。
よくある質問

Q.会社に勤めながらSKIMAで絵を受注しても問題ありませんか?
勤務先の就業規則によります。まずはお勤め先の規程で、届け出や許可の仕組みがあるかどうかを確認しておくと安心です。そのうえで、絵を受注する活動が許可申請の対象になるかを見ておきましょう。お金を受け取る前に、ここを先に整えておくことをおすすめします。
Q.絵に自信がなくても、依頼は来るものでしょうか?
上手いかどうかより、誰に向けた絵かが伝わるページのほうが依頼につながりやすい傾向があります。あらゆる絵柄を並べるより、ひとつの相手をはっきり想定したページのほうが、その相手に届きます。最初から完璧をめざさず、まずは一番得意な系統に絞って出してみてください。
今日の一歩:いちばん小さな1メニューを公開する

絵を仕事にしていくうえで、いちばん大切なのは、完成された出品ページをそろえることではありません。一度、自分の絵に値段をつけて世に出してみることです。出してみて初めて、どんな言葉づかいで依頼が届くのか、どんな相手が自分の絵を選んでくれるのかが見えてきます。

今日できることは、SKIMAでいちばん小さな1メニューを公開してみるだけで十分です。アイコン1点でも、線画1枚でもかまいません。その最初の一件が、鴻池さんのように、延べの依頼者を積み上げていく出発点になります。
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