単身赴任中でも起業準備は進められますか? 平日の夜を味方にする考え方

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

建設関係の会社に勤める40代です。1年前から単身赴任で、家族とは月1〜2回の帰省で会うだけの生活です。前から起業の準備をしたい気持ちはあったのですが、家族と離れている今の状況で進めていいものか迷っています。

単身赴任中でも起業準備は進められるのでしょうか?

起業前質問集

● 回答

日曜の夜、家族との電話を切ったあとの部屋は、急に静かになりますよね。「パパ、また来週ね」という子どもの声が耳に残ったまま、ひとりの夜が始まる。あの時間に「自分はここで何をしているんだろう」と考え込んでしまう方は、少なくありません。

ご質問に対する私の答えは、進められる、です。それどころか、単身赴任の平日夜は、起業準備の中でも「育つまでに時間がかかる仕込み」に最も向いた時間です。ご相談の形式に合わせて、よくいただく問いに順番にお答えしていきます。

Q. 家族と離れたまま準備を進めて、大丈夫なのでしょうか?

まず、この迷いから片づけましょう。単身赴任という選択そのものが、すでに家族のための判断だったはずです。労働政策研究・研修機構(JILPT)が2017年に公表した「転勤に関する個人web調査」では、既婚者が単身赴任を選んだ理由は「持ち家があったため」が48.0%、「子の就学・受験のため」が44.5%でした

多くの人が、家の事情と子どもの環境を守るために、自分が単身で動く道を選んでいます。あなたの赴任も、家族の生活を崩さないための選択だったのではないでしょうか。だとすれば、赴任先の夜をどう使うかは、あなたの裁量に委ねられた時間です。その一部を将来の仕込みに充てることは、家族への裏切りではなく、むしろ延長線上にあります。

Q. 平日の夜、赴任先で具体的に何ができますか?

ここで役に立つのが、拙著『会社で働きながら6カ月で起業する』の第6章で紹介している、情報発信メディアの3つの区分です。お客さまに情報が届く形によって、メディアは次のように分かれます。

情報発信メディアの3つの区分

  • プル型:
    ブログなど、読者が検索して見つけに来てくれるメディア。積み上げた記事が資産として残る
  • 中間型:
    SNSなど、こちらの発信とお客さまの反応が行き交うメディア。関係づくりに向く
  • プッシュ型:
    メルマガやLINE公式など、こちらから直接届けるメディア。信頼ができたあとに強い

この区分で考えると、単身赴任の夜にやるべきことが絞れます。プル型は育つまでに時間がかかるかわりに、場所を選ばず、書きためた分だけ積み上がります。誰にも邪魔されない赴任先の夜は、このプル型を育てる時間として理にかなっています。帰省で週末が埋まる生活でも、平日夜の積み上げは止まりません。

Q. 実際に単身赴任中に準備を進めた人はいますか?

会員の入江さん(仮名・40代・建設関連)も、単身赴任の2年目に準備を始めたひとりです。きっかけは帰省の帰り、赴任先の部屋に戻ってひとりになった夜でした。現場の電話も鳴らない静けさの中で、自分には会社の外に何もない、とふと気づいたそうです。

入江さんは赴任先の夜を使い、現場経験を活かした住まいの点検相談を小さく始めました。最初は誰にも読まれないブログを書き続ける日々でしたが、起業18フォーラムの個別相談で「読者を元請けではなく住み手に絞る」と決めてからは、検索から問い合わせが届くようになりました。

現在は、会社の外の収入が本業の月収の2割ほどを占めるところまで育っています。帰省のたびに、娘さんに仕事の話をせがまれるようになったのが一番の変化だと話しています。

Q. 家族には、いつ・どう伝えればいいですか?

離れて暮らしているからこそ、伝え方には少し工夫が要ります。電話やメッセージだけで「起業を考えている」と切り出すと、声の温度が伝わらず、相手は不安だけを受け取りがちです。

おすすめは、顔を合わせられる帰省のタイミングで、結論ではなく入口だけを渡すことです。次の帰省で、配偶者の方に「もし将来独立したら、応援してくれる?」と一言だけ声をかけてみてください。許可を取る場面ではなく、心の準備を共有する場面だと考えると、気負わずに済みます。返事がどうであれ、ひとりで抱えていた計画が、ふたりの話題に変わります。

Q. 帰省と仕事で手一杯です。夜の時間が確保できるか不安です。

毎晩でなくて構いません。週に2〜3回、寝る前の30分で十分です。プル型の仕込みは締切がないので、止まった週があっても積み上げは消えません。赴任先に戻った最初の夜に、机の上へノートを開いたまま置いておいてください。翌晩、座るだけで再開できる状態を作っておくのが、細く長く続けるコツです。

平日の「朝」と「夜」、起業準備に向いているのはどちらですか?
● 質問 平日は帰りが遅くて夜しか時間がないのですが、朝の方がいいと聞いて迷っています。起業準備は朝と夜、どち

今日できることは、次の帰省の日を思い浮かべて、そのとき配偶者の方にかける一言を決めておくだけで十分です。準備の中身は、赴任先の夜が少しずつ育ててくれます。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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