記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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勤めながら起業の準備を進めようとして、まずWixでホームページを作ってみた。きれいなテンプレートが選べて、文字を入れ替えるだけで形になる。なのに公開してから一週間たっても、二週間たっても、問い合わせが一件も来ない。そんな相談が起業18フォーラムにはよく届きます。
ページが整っているのに反応がない理由は、デザインではありません。多くの場合、書いてある言葉が「自分にできることの羅列」になっていて、読んだ人が自分ごとにできていないのです。今日はWixというツールを起業準備にどう活かすか、その順番を順を追って見ていきます。
Wixを起業準備に活かす全体像

Wix(ウィックス・Wix.com Ltd.提供)は、用意されたテンプレートに沿って文字や写真を入れ替えるだけでホームページが作れるツールです。コードを書かなくても見栄えのいいページが完成するので、勤めながら準備を進める方にとっては入口として向いています。
ただ、起業準備の道具として見たときに大事なのは、作りやすさそのものではありません。大事なのは、そのページが「あなたが何屋さんか」を一人の読者に伝えきれているかどうかです。
ここで料金まわりの前提を押さえておきます。Wixの無料プランでもページの作成と公開はできますが、独自ドメインは接続できず、アドレスは「yourname.wixsite.com/sitename」のような無料サブドメインになります。ページ上部にはWixのバナーが常に表示され、利用者の側で消すことはできません。
無料プランと有料プランで変わること

「無料で公開できるなら、まずは無料で十分では」と考える方は多いです。実際、最初に試すぶんには無料プランでも問題ありません。ただ、起業準備として人に見せていく段階になると、いくつか差が出てきます。
独自ドメインを使いたい場合や、ページからWixのバナーを外したい場合は、有料のプレミアムプランへの切り替えが必要です。Wix公式ブログ(2025年8月時点)の記載では、最安のパーソナルプランは月額1,300円からとなっています。商品の販売や決済を組み込むネットショップ機能は、無料プランでは使えず上位の有料プランが対象になります。
- 無料プラン:
ページの作成と公開は可能。アドレスは無料サブドメイン、Wixバナーが常時表示、ネットショップ機能は使えない - 有料プラン:
独自ドメイン接続とWixバナー非表示は最安パーソナル(月額1,300円から・2025年8月時点の公式記載)で対応。決済を含むネットショップ機能はより上位のプランが対象 - 判断の目安:
試作は無料で、人に渡す受け皿として育てる段階で有料へ切り替える
最新の料金や条件は改定されることがあるので、申し込み前にWixの料金プランページで必ず確認してください。金額そのものより、「どの段階で何にお金をかけるか」を先に決めておくほうが、迷いが減ります。
反応が出る人と出ない人の分かれ目

私のこれまでの起業支援の経験では、Wixで作ったページの反応が分かれる理由は、デザインの巧拙ではありませんでした。分かれ目は、ページに何を書いているかです。
中小企業庁『2025年版 中小企業白書・小規模企業白書』(2025年4月公表)でも、コストカットだけに頼る経営は限界を迎え、付加価値を高める方向への転換が必要だと指摘されています。ページを持っているかどうかではなく、そのページが自分の付加価値を相手に伝える言葉になっているかが問われているのです。
反応が出ない人のページは、たいてい「できることの羅列」になっています。保有資格を並べ、対応できる業務を箇条書きにし、テンプレートの見出しをそのまま埋めている。情報としては正しいのに、読んだ人が「これは自分のための言葉だ」と感じられないのです。
拙著『会社を辞めずにあと「5万円!」稼ぐ』では、資格の有無よりも、その人にしか書けない景色のほうが先に仕事につながるという考え方を紹介しています。資格を並べた人より、現場で見てきた判断軸を一行で言い切れる人のほうが、月5万円までは早く届きやすいのです。
あなたのページに、資格の名前ではなく「現場で何を見て、どう判断してきたか」が一行でも書かれているか確認してみてください。
一人に向けて書くページの作り方

Wixのテンプレートは「みんなに使える」ように作られています。だからこそ、そのまま埋めると言葉も「みんな向け」になり、誰の心にも刺さらなくなります。ここを反転させるのが、反応の出るページへの第一歩です。
具体的には、書き始める前に「このページを読んでほしいたった一人」を決めます。年齢や職業だけでなく、その人がいま何に困っていて、どんな言葉を使って検索しているかまで思い浮かべる。そのうえで、見出しの一行を「自分は何屋さんか」が伝わる言葉に書き換えます。
- 読者を一人に絞る:
「みんな」ではなく顔の浮かぶ特定の一人を決めてから書き始める - 見出しを一行で言い切る:
資格の羅列ではなく「何屋さんか」が伝わる一行に書き換える - 現場の判断軸を載せる:
本業で当たり前にやってきた判断の理由を、読者に分かる言葉で一つ書く
テンプレートのきれいさは、いったん横に置いて大丈夫です。見た目より、最初の一行が一人の読者に届くかどうかで反応は大きく変わります。
会員さんの実例:羅列から判断軸へ

起業18フォーラムの会員に、建設会社で施工管理を続けてきた田村さん(仮名・50代)がいます。退職前の準備として、48歳のときにWixで自分のページを作ってみたところまでは順調でした。
最初のページは、保有資格と対応できる工事の種類をきれいに並べた、いわゆるテンプレ埋めの作りでした。公開して友人にもURLを送ったのですが、2ヶ月たっても相談は一件も来ませんでした。本人は「デザインが地味だからだ」と思い込み、テンプレートを何度も変えていました。
転機は、勉強会でページを見てもらったときでした。指摘されたのは見た目ではなく、書いてある言葉が資格の羅列で止まっている点です。そこで田村さんは、現場で何百回と判断してきた「手抜き工事を見抜くときに最初に見る三か所」という知識を、読者に分かる言葉で一行に直しました。対象も「これから小さな工務店に発注する個人の施主さん」一人に絞り込みました。
あなたが本業で無意識にやっている判断のうち、一つでいいので「なぜそう判断するのか」を読者の言葉に直してみてください。
書き換えてからは反応が変わりました。公開から数えて18ヶ月目には、家のリフォームを控えた個人の方から見積もりチェックの相談が月に数件届くようになり、月収5万円ほどの相談料収入につながりました。変えたのはデザインではなく、資格の羅列を現場の判断軸に置き換えた一行だったのです。

公開したあとに効く三つの行動

Wixはページが作りやすいぶん、「作って公開したら終わり」になりがちです。けれど受け皿ページは、公開してからが本番です。最後に、公開後にやっておきたい三つの行動を挙げておきます。
ひとつめは、公開したら自分から声をかけること。完成したページのURLを、まず身近な数人に「こういうのを始めた」と直接送ってみてください。待っているだけでは、誰もページの存在に気づきません。
ふたつめは、月に一度だけ見直す日を決めること。問い合わせが来た人がどんな言葉で連絡してきたかを見て、見出しの一行をそのつど調整します。みっつめは、人に渡す段階になったら独自ドメインへの切り替えを検討すること。看板を整えると、相手の受け取り方が一段変わります。
今日できることは、あなたのページの見出しを一行だけ「現場で何を見てきたか」に書き換えてみるだけで十分です。資格を並べ直すより、その一行のほうが、一人の読者をずっと近くまで連れてきてくれます。
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