記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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起業準備を始めると、早い段階で「何を商品にするか」を考え始める方がほとんどです。自分が提供できるもの、得意なこと、資格や経験。そこから商品のアイデアを絞ろうとします。
ところが、不思議なことに「商品を先に決めようとすると行き詰まる」という事例が後を絶ちません。
「何を売るか」ではなく「誰に売るか」が先

「ドリルを売るな、穴を売れ」という言葉があります。ドリルを買いに来た人が本当に欲しいのはドリルではなく「壁に穴を開けること」だという考え方です。これを起業準備に当てはめると、「商品を作ること」より「誰かが抱えている困りごとを解決すること」が先に来ます。
起業準備中の会社員がよく陥るパターンがあります。まず自分の得意なことをリストアップする。次に「これを商品にしよう」と決める。そして「でもこれを買ってくれる人がいるだろうか?」と悩み始め、結局商品が完成しないまま時間が経つ。正直に言うと、このループにはまっている方を多く見てきました。
商品を先に作ろうとするから、顧客が見えなくなります。先に「この人の、この困りごとを解決したい」と決めると、商品は自然に形になります。
- 「何ができるか」から入ると、競合との差別化で詰まる
- 完璧な商品を作ろうとして、永遠に完成しない
- 「誰が買うのか」が曖昧なまま商品だけが洗練されていく
「誰に売るか」を決める3つの問い

「誰に売るか」を決めるとは、ターゲット設定のことではありません。もっと具体的なことです。次の3つの問いに答えてみてください。
まず、「自分がこれまでの人生で、困っている誰かを助けたことがあるか。それは誰に、どんな困りごとに対してだったか」。
次に、「今の職場の中で、自分が『この人なら頼める』と思われている場面があるか。どんな場面で相談されるか」。
そして「自分の業務経験の中で、周囲が苦労しているのに自分にはそれほど難しく感じない場面があるか」。
この3つの問いに答えることで浮かび上がってくる人物像が、最初の顧客に近い存在です。 頭の中で架空のターゲットを設定するより、自分が実際に助けた経験のある「誰か」を思い浮かべるほうが、商品も顧客へのメッセージもはるかにリアルになります。
起業18フォーラムで20年以上にわたって会員さんの事例を見てきた中で、最初の顧客を「架空の人物」として設定した方より、「実際に助けた経験のある具体的な誰か」から出発した方のほうが、ずっと早く最初の売上を作っています。
会社員の業務経験が「誰に売るか」のヒントになる

ここで大切にしてほしいのが、業務経験の棚卸しです。今の仕事で毎日やっていることは、自分には当たり前でも、他の人には価値があります。
例えば、営業職なら「断られた後のフォローアップ術」「初対面でも打ち解けるコミュニケーション術」。経理なら「小さな会社のどんぶり勘定を見える化する方法」。人事担当なら「採用面接で本音を引き出す問い方」。これらは、外部の人間には「教えてほしいこと」です。
自分では当たり前すぎて気づいていない知識やスキルの中に、他の人が「これを誰かに聞きたかった」と思っていた答えが眠っていることがあります。 これが「名もなき強み」です。
業務の棚卸しをするとき、「すごいスキル」を探す必要はありません。「自分がいつもやっていること」「周囲からよく聞かれること」「なぜか自分に回ってくる仕事」。ここに、最初の顧客へのヒントがあります。
- 同僚や後輩から「どうやればいいか」とよく聞かれること
- チームの中で「自分だけが知っている」ことや「自分にしかできない」作業
- 「大変だったけど、今思えばこれが私の強みだった」という経験
「誰に売るか」が決まったあとの小さな一歩

「誰に売るか」の輪郭が見えてきたら、次にやることはとても小さなことです。その人に「こういうことで困っていませんか?」と聞いてみる。商品を完成させる前に、ニーズがあるかどうかを確かめる作業です。
起業準備は「作ってから売る」ではなく「聞いてから作る」の順番で進むほうが、うまくいく確率が高いと感じています。完璧な商品を待たずに、対話から始めてください。
最初の一歩は、遠くにいる見知らぬ誰かへ向けて踏み出す必要はありません。今の自分の周りにいる「助けたい誰か」から始まります。一歩ずつ、一緒に進んでいきましょう。
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