記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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今、20~30代での会社勤務を経て、40代で独立起業する人が増えています。

ここでは、40代の強みとも言える、技能を磨いてさらに高めた専門性、経験から養われた時代を見る目、そして自分の生き方へのこだわりで起業した例や、フランチャイズで独立を果たした2つの例、あわせて7つの実例、成功例をご紹介します。
40代で起業して成功した7つの事例

成功例1.経験と専門性を生かしたマッサージサロン
甲信越地方のある男性は、父親の病死をめぐって、家族とともに病院との裁判を数年に渡って経験し、医療関係者の労働環境の過酷な実態を知りました。
そのため、医療関係者の健康に役立つ仕事をしたいと、理学療法士の道を選び、資格習得。その後、地元の病院に就職しましたが、そこで知る医療関係者の心身の負担は想像以上のものでした。
一念発起した彼は、病院勤務の傍ら北欧にまで足を伸ばして、心と体とのトータルなケアの研鑽を積み、さらにスキルアップを続けました。
そして、40歳を前に医療関係者の心と体の癒やしのマッサージサロンを開業。サロンのサイトには、医療関係の業種別に参考になるセルフケアのメニューも掲載されていて、長年の病院勤務で培った現場への深い理解と目配りが尽くされています。
今は遠方からの問い合わせも多くなり、東京にも開業。需要はどんどん広がっています。

成功例2.海外向けアンティーク着物ネット販売
一流大学を卒業し、有名百貨店に勤務していたある男性は、出世競争と組織の中での自分の限界を感じ、19年勤務した会社を辞めて奥さんと古着屋を始めました。
そして、紆余曲折はあったものの、アンティーク着物の海外での評判に着目し、ネット販売を始めました。彼自身、成功のポイントは、同年代よりも新しいものに敏感で、パソコンやインターネットの知識があったことだと分析しています。
彼は自分の退職から起業までの日々を綴った本を出版しましたが、一部の人からは「そのくらいの規模では成功とは言えない」という批判を受けたそうです。しかし、彼は、「成功」とは、ビジネスの規模ではなく自分が納得のいく人生を送れているかどうかにある、と語っています。
40代からの起業は、とにかく稼ぐだけの競争原理ではなく、そこから一歩離れた一面もあることは確かです。

成功例3.遺族のこころを癒す手作りの葬儀
一昔前は、地域との繋がりやしきたりが大事にされていたので、世間に話せない事情があるご葬儀は遺族には辛いものでした。
そんな隣人の現実に出会って「葬儀は一体誰のためにあるのか」という問題意識を持った友人同士がいました。
彼らはそれぞれの仕事を辞めて、まず葬儀屋に弟子入りして専門的なスキルを学び、その後小さな葬儀社を始めました。
以来20年がたちましたが、女性の葬儀には色とりどりの花をあしらったり、参列者に高齢者の多いご葬儀には負担の少ない式次第を工夫したり、親族のない喪主には様々な手続きをサポートしたり、しきたりよりも人を大切にした葬儀を続けています。
その頃から手がけていた小規模な家族葬や直葬などは、最近では一般に受け入れられ、新しい葬儀のかたちとして需要が増えています。
これは時代の流れを見極めた起業として成功した好例といえるでしょう。
成功例4.高級ワインの小規模ワイナリー
日本各地で、新しいワイナリーが数多く誕生していますが、長野県にあるマイクロワイナリーのワイン造りは一味違っています。
起業した男性は多彩な経歴の持ち主です。空港の管制官、ダイバーの専門学校の経営、臨床心理士を経た後「人の心を豊かにするモノつくりをしたい」と思い立ってワイン造りの道に入りました。
試行錯誤の末、その土地ならではの葡萄にこだわり、月の満ち欠けなど自然の流れに従って造られた赤ワインは、高級ワインとしてソムリエや造醸家にも広く知られるようになりました。
小規模でも採算がとれるのは、会員を募って限定生産を行うという工夫の結果です。市場にはほとんど出回らないワインですが、確実な販路と評価を得て成功しています。

成功例5.キャンプ体験をサポートする週末冒険プランナー
東北地方出身のこの男性は、子どもの頃から継続的にボーイスカウト活動でキャンプに親しんでいました。
会社勤務の傍ら、週末には野外学校の運営などに携わっていましたが、そんな中で、東日本大震災を経験します。震災後は全国で物流のストップによる生活困難がありました。また、電気に頼らない生活の見直しも叫ばれるようになりました。
そのような背景で、震災をきっかけに会社を退職して独立「自らの力と自己責任で、自然の中で過ごすことを可能にする」人の育成を目指し、関東近郊で週末に本物のキャンプを体験する週末冒険をプランニングしています。
震災を機に、特に都市部では、いざという時に役立つキャンプ体験が見直されています。「大人も子どもも管理されたアウトドアではなく、本物の自然に繋がってほしい」という彼の願いが、「自然の中で元気になりたい」という都会の人々の心をつかんでさらに広がっています。

成功例6.フランチャイズで部屋の原状回復
中国地方在住のある男性は、鉄工会社に16年勤務していましたが、長年の夢は、独立して起業することでした。
そのために調理師免許も取得していましたが、資金面で断念。しかし、得意のDIYを仕事につなげ、フランチャイズで部屋の原状回復の代理店として独立しました。
彼がこのフランチャイズでの起業を決めたポイントは、開業資金が手の届く範囲であること、開業前の技術サポートや営業のノウハウを本部がサポートしてくれることなどの安心感でした。仕事の対象となる「賃貸物件の原状回復」はコンスタントに需要があるので、丁寧な仕事でオーナーの信頼を得れば、安定した顧客を得ることができます。
この男性も、「一度現場に入れば確実にリピートにつながる、こんな楽しい仕事はない」と語っています。頑張ったら、その結果が目に見えやすい、という点が独立起業の良い点と言えます。

成功例7.フランチャイズで100%映像授業の塾経営
製鋼原料を扱う、教育業界とは全く無縁の会社から塾経営者に転身した男性の実例です。
彼の自宅のある地域は大規模マンションが立ち並ぶ子育て世代の多いところです。しかし、子どもは多いのに、学習塾が少なくいため、隣町の塾に通う子どもが多いのが現状でした。
「地元に塾があったら子どもを通わせやすいのに」という友人たちの声に、彼は学習塾の起業を思い立ったとのことです。
この学習塾では、子どもたちは個別のブースでプロ講師の映像授業を視聴するというシステムです。塾経営者は場所を管理するだけで、自分が教えることもなく、講師を沢山雇うわけではないので、経費がかかりません。
これが、彼がこのフランチャイズの塾経営を選んだポイントでした。しかし、彼の場合は、より親身なサポートのためにチューターを雇っています。
授業料も週1コマから対応、という利用者目線の経営で順調に経営を伸ばしているということです。

以上7つの実例から見えてくるものは、次の3つです。
- 経験と専門性を生かしたうえでのスキルアップ
- 経験から時代のニーズを読む力
- 自分の納得のいく人生を求めるこだわり
成功例の起業家の方々は、40代の起業と言っても、特別なことを思いついたわけではありません。ご紹介した皆さんは、今までの経験から、仕事や人生で大切にしたいことを起業に結びつけていましたね。
皆さんの経験や大切にしている事の中にも、今は気づいていない起業アイディア、可能性が眠っているかもしれませんよ。
2026年の40代起業環境はここが変わった

40代の起業を考える前に押さえておきたいのは、足元の労働環境の変化です。総務省2022年調査では非正規雇用者の割合は全雇用者の36.9%。退職金制度を持つ会社は厚生労働省2018年調査で80.5%(2003年86.7%・2008年83.9%から減少傾向)と、長く下がり続けています。
40代といえば、住宅ローン・教育費・親の介護が重なるタイミングです。「定年後にゆっくり起業しよう」と考えていた前提が、退職金の縮小と60代雇用継続の不確実性で崩れてきています。40代のうちに「会社員のまま月収を作る経験」を積むことが、20年後の選択肢を広げます。
- 退職金制度の縮小:1割以上の企業が制度自体を持たない
- 60代の継続雇用:時給ベースで年収半減のケース多数
- 住宅ローン残高:40代の平均は1500万円超
- 親の介護開始:50代で突発的に発生する確率が上昇
40代だからこそ「在職中に小さく作る」が効率的
記事の7事例は会社を辞めてから起業されたケースが多いですが、2026年の主流は「会社員のまま在職中に小さな収益軸を作る」アプローチです。退職して退職金を投じるリスクが大きすぎるからです。
会員Fさんが在職中に月収10万円まで届いた軌跡

会員Fさん(43歳・メーカー営業課長・年収780万円・配偶者と中学生の子2名)は、住宅ローンを組んで間もない時期で「辞める選択肢は一切ない」状態でした。テーマは「中小企業向けの法人営業コンサル」。前職で15年積んだ営業ノウハウを、AIが普及して困っている中小企業オーナーに教えるという掛け合わせでした。
- 1ヶ月目:朝5時起きでブログ20記事を書きためる
- 2ヶ月目:noteで「中小企業営業の壁」シリーズを開始・初月読者47名
- 3ヶ月目:地方の経営者交流会に有給で参加・名刺交換20枚
- 4ヶ月目:交流会で出会った社長から月3万円の顧問契約2件
- 6ヶ月目:紹介で月10万円台に到達・在職継続中
Fさんが他の40代起業希望者と違ったのは、最初から月100万円を目指さず、まず月3万円を作る経験に集中したことです。3万円できれば10万円までの道筋が見えます。10万円できれば30万円までの道筋も見えてくるのです。
転機になった著書のフレームワーク
Fさんが転機にしたのは、拙著『会社で働きながら6カ月で起業する』にある180日4ステージ計画でした。「準備(30日)→種まき(60日)→収益化(60日)→拡大(30日)」と区切ることで、何を今やるべきかが明確になったのです。40代は時間が貴重なので、次の30日に集中する設計が効きます。
40代が陥りがちな3つの落とし穴

罠その1:「経験を活かす」を狭く解釈してしまう
40代の起業相談で多いのは「自分には大したスキルがない」と感じてしまうケースです。これは「経験=専門資格」と狭く捉えているからです。20年の会社員経験には、稟議の通し方・上司への根回し・部下のマネジメント・取引先との折衝など、独立してから手に入りにくいスキルが詰まっています。
罠その2:退職金を初期投資に当てる
40代後半の方からよく出るプランが「退職金で店舗を開く」「退職金で設備投資する」というものです。退職金は最後のセーフティネットなので、初期投資には使わないでください。初期投資は「数万円で始められる規模」に留め、退職金は手をつけずに残します。
罠その3:同期や元上司に相談してしまう
会社員仲間に独立相談すると、ほぼ全員が止めます。同じ立場の人は同じバイアスを持っているからです。相談するなら、すでに独立して3年以上続けている人を選びます。会社員の常識と独立後の常識はまったく違うため、現役の会社員に相談すると判断を誤りやすくなります。
- 経験は「資格」ではなく「会社員のリアル」と捉え直す
- 退職金は手をつけず、月数千円〜数万円で始める
- 相談相手は独立3年以上の人だけに絞る
よくある質問

Q.40代で起業するなら何歳までに始めるべきですか?
- 年齢は判断軸にしない
- 「親の介護が始まる前」が実務上の目安
- 動き出した日が一番若い日
40代後半でも50代前半でも、始めるタイミングは「動こうと決めた日」です。年齢を理由に先延ばしすると、介護や健康問題でさらに動きにくくなります。今日が一番若い日と思って、まずは小さく始めてみてください。
Q.40代で会社を辞めずに起業するのは時間的に厳しくないですか?
- 朝晩30分(1日1時間)で始められる
- 通勤電車の20分も使える
- 休日まる1日より平日30分の習慣化
1日1時間あれば在職中の起業準備は十分回せます。週末にまとめてやろうとすると挫折しやすいので、平日30分×継続が結果につながります。

40代の強みは、20代に戻ってもう一度ゼロから積み直せる体力と、自分の市場価値を冷静に判断できる経験の両方を持っている点にあります。会社員のまま、小さく試してみてください。
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