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● 質問
夏の間に各地の花火大会へ通い、動画を撮影してDVD販売や有料ダウンロード、生配信もしたいと考えています。著作権・主催者許諾・楽曲処理・特商法など、最初に押さえておくべき手続きは何でしょうか?
● 回答
花火動画の販売・配信は、①花火大会主催者の撮影・利用許諾、②BGMやアナウンスのJASRAC等楽曲処理、③特定商取引法に基づく表記、④販売チャネル設計(DVD/ダウンロード/生配信)という4段階で押さえれば、おおむね合法的に進められます。難所はほぼ①と②に集約され、ここを飛ばすと後から差止め・損害賠償の対象になります。
順番に解説していきますね。
花火そのものに著作権はあるのか
多くの方が最初に気にされるのが「花火に著作権はあるのか」という点です。基本的に、定型化された牡丹・菊・柳のような古典花火に著作物性はありません。ただし弁護士ドットコムニュースが取り上げたキャラクター花火の事例のように、特定のデザイン(キティちゃん・ドラえもん等)を空中に描く創作的な型物花火は、デザインの著作権・商標との関係で権利者への確認が安全策になります。
つまり、撮影した花火そのものよりも、花火大会という「興行」と、それを開催する主催者との関係に許諾の論点が集中します。福井健策弁護士(骨董通り法律事務所・2019年)も、イベント撮影の自由はあくまで「個人鑑賞」の範囲であり、公衆送信や商用利用は別問題と整理しています。
①主催者の撮影・利用許諾を最初に取りに行く
花火大会では、会場に「撮影機材の持ち込み制限」「商用利用禁止」と明記したパンフレットが配られているケースが多数あります。主催者は会場の施設管理権を持ち、入場時の規約で撮影条件を定めています。これに反した撮影と配信は、著作権法ではなく契約違反・債務不履行で差止対象になります。
- 大会当日に運営から撮影中止・退場を命じられる
- SNS公開後に主催者から削除要請・損害賠償通知が届く
- 翌年以降の大会で取材証・プレス枠の発行を恒久的に拒否される
- 地元観光協会・自治体との関係も損なわれ、別ジャンルの撮影業務にも影響
許諾を取る順番は「主催者(実行委員会・観光協会)→ 警察協議部門 → 会場管理者(河川敷なら国交省、公園なら自治体)」の3層です。商用利用を明記した撮影申請書を、開催の1〜2か月前までに提出するのが実務的な目安になります。
②BGM・MC音声の楽曲処理(JASRAC・出演者権利)
近年の花火大会は「音楽花火」や「DJのMC付き演出」が増え、会場で流れているBGMがそのまま動画に映り込みます。これがネット配信で最大の落とし穴になります。
JASRAC管理楽曲の場合、インタラクティブ配信(YouTube・ダウンロード販売・ストリーミング)には別途配信使用料の申請と納付が必要です。JASRAC非管理の海外楽曲やインディーズ楽曲、原盤権を持つレコード会社の許諾が必要なケースでは、JASRACの手続きだけでは足りません。
- 選択肢A:撮影時にBGMを録音せず、自前のロイヤリティフリー音源を後乗せする
- 選択肢B:JASRACに配信使用料を申請し、原盤権はレコード会社と個別交渉する
- 選択肢C:花火大会の主催者が一括で楽曲権利処理した「公式配信パートナー」契約を結ぶ
個人事業主が最初に取り組むなら、選択肢Aがいちばん現実的です。Bは年間ベースで数万円〜、Cは大会側に「公式」枠がある場合のみ可能で、地方の中規模大会だと選択肢Cが意外と取りやすかったりします。
③特定商取引法に基づく表記(事業者情報の公開)
動画を販売する以上、特定商取引法に基づく表記をサイトに掲載する義務が発生します。通信販売の場合、事業者名・住所・電話番号・代表者名・販売価格・送料・支払方法・引渡時期・返品条件など、現行の特商法第11条で複数の表示事項が必須です。
会社員のまま動画販売を始めたい方は、特商法表記の本名・住所開示について、現職への所属がバレるリスクと折り合いを付ける設計が必要です。④販売チャネル設計とビジネスモデル
DVD販売は製造原価・在庫リスクが重く、現在はダウンロード販売・サブスクリプション配信・YouTubeの会員限定動画(メンバーシップ機能)の3択に絞られてきています。生配信はYouTube LiveやTwitch、自社のVimeo OTTといった選択肢があります。
ただし、ここで一度立ち止まって考えてください。「花火動画を有料で見たい人」と「夜間花火の撮影技術を学びたい人」、どちらの市場が大きいでしょうか。
拙著『起業神100則』にも書いたのですが、「ドリルを売るな、穴を売れ」というフレームワークがあります。お客様が本当に欲しいのは花火映像そのものではなく、「自分でもああいう動画を撮りたい」「夜間の撮影テクニックを知りたい」というニーズだったりします。
会員Nさん(仮名・元映像制作会社)の事例
会員のNさん(仮名・34歳・元映像制作会社のディレクター)は、もともと趣味で全国の花火大会を撮影されていた方です。最初は自己流で「YouTubeに上げてアフィリエイト収益で稼ぐ」と動き出されましたが、ある大会の主催者から差止め通知が届きました。
動揺してご相談に来られたのが起業18フォーラムでした。勉強会で「主催者契約から逆算する」「楽曲は後乗せに切り替える」「動画講座事業へのピボットも視野に入れる」と方針を整理。11ヶ月目に主催者3社と正式な公式配信パートナー契約を結び、並行して「夜間花火の撮影技術オンライン講座」を月額1,650円で開講。
17ヶ月目には講座の受講者が93名となり、月15.6万円の安定収入に到達されました。動画販売単体ではなく、撮影講座と組み合わせるU字型のリカバリー軌道です。
花火動画配信ビジネスのよくある質問
Q1.主催者に許諾を断られたら、その大会の動画販売は完全にできませんか?
はい、その大会単独での商用配信は基本的に困難です。ただし、観光客として撮った映像を「個人鑑賞」用途で保有することは可能で、商用利用しないSNS投稿(収益化なしの個人アカウントでの共有)であれば、主催者の判断次第になります。販売・配信を前提とするなら、許諾が下りた大会だけに絞り込むのが現実的な進め方です。
Q2.JASRACの配信使用料はどのくらいかかりますか?
JASRAC公式の配信使用料規定では、月間情報料収入に応じた変動料率と、最低使用料の設定があります。個人事業主の小規模配信なら年間で数千円〜数万円規模に収まることが多いですが、原盤権(レコード会社の権利)は別途交渉が必要なため、市販曲を使う場合は実質的に「曲を後乗せで自前音源に差し替える」ほうがコストも手間も少なくて済みます。
Q3.会社員のまま事業を始めても大丈夫ですか?
就業規則の確認が前提ですが、撮影・編集は週末作業で進められるため、起業準備としては相性のいいテーマです。ただし特商法表記で本名・住所を開示することと、勤務先への配慮の両立が必要なので、最初に勤務先の許可フローを通すか、屋号と私書箱で運用するかを決めてから動き出してください。
Q4.どの段階で「撤退」を判断すればいいですか?
1年間動いて、主催者契約が1件も取れなかった場合、または年間売上が10万円を超えなかった場合は、純粋な動画販売モデルからのピボットを検討するタイミングです。Nさんのように撮影講座事業へ転換するか、シーズン外(秋〜春)の他ジャンル撮影で年商を平準化する設計に切り替えるかの2択になります。
まとめ
花火動画の販売・配信は、主催者許諾・楽曲処理・特商法表記・販売チャネル設計の4段階で着実に進めれば、合法的に立ち上げられるビジネスです。難所は最初の主催者交渉と楽曲権利の処理で、ここを丁寧にやれば後の運用は意外と軽くなります。
| ● 質問 創作の事実確認(確定日付の付与)、侵害に関する相談、警告文の発案、交渉代行、弁護士仲介といったサービ 著作権に関するアドバイス業で独立を考えています。 - 起業18フォーラム | 副業から始めて「稼ぐ力」を身に付けられるコミュニティサロン |
映像販売は単体だと小規模に止まりがちなので、撮影講座・コミュニティ運営など、技術や経験を売る方向にも目を配ると、安定軌道に乗りやすくなります。
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